CALNA関連規定

実務委員長のコメント
運営委員長
運営委員長
運営委員長

名古屋大学におけるご遺体を用いた医師の教育及び研究のための組織作りは、海外で開催される同様のセミナーに参加してその重要性を認識したことに端を発し平成25年末頃に始動しました。折しも同時期は、臨床医にサージカルトレーニングを普及するための機運が高まり「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン(平成24年4月発行)」が発行されて間もない時期でした。私たちは本ガイドラインに則り、適正にサージカルトレーニングを実施する方法を模索し、まず外科系の臨床講座および解剖学講座による運営委員会を立ち上げ、セミナー開催のための組織作りや運営方法などについて協議を重ねました。その間に解剖学講座のご尽力のもと、公益財団法人不老会会員様にもご理解を得られ多くの方より文書による同意をいただきました。そして平成27年12月に生命倫理審査委員会で承認されCALNA は発足いたしました。

CALNAにおいてセミナーを開催・参加するにあたって注意すべき点を記載させていただきます。(1)ご遺体に対する敬意は常に欠かさず、畏敬の念をもって接して頂くようにお願いいたします。ご遺体は偏に医学の発展を望み生前より献体への同意を頂いている方です。実習の開始時および終了時には黙祷にて感謝の意をお伝えください。(2)ご遺体は全てが個人情報です。語らず拒否することもないご遺体は、参加者1人1人が責任、自覚を持って扱わなければすぐさま問題が生じ得ます。社会通念上、医学生の解剖実習のようには一般化しておらず、いったん問題が生じれば全国的な影響が懸念されますので十分ご留意ください。(3)私たち臨床医は解剖の資格を有しておらず、手術トレーニングを目的とした解剖は法律で明記されている正常解剖、病理解剖、司法・行政解剖のどれにもあたりません。それゆえ上記ガイドラインからの逸脱行為は一切許されないということです。各診療科に記載頂いたトレーニング内容に沿った実習をお願いいたします。(4)CALNAは解剖学講座の監督のもと、臨床診療科が運営しています。セミナー開催は利用規則に沿って実施してください。解剖室の掃除や後片付けは参加者自身で行い原状復帰してください。(5)セミナー開催後は実施報告書・経理報告書の速やかな提出をお願いいたします。

臨床医にとってご遺体を使用した教育及び研究は、高度に発展していく医療の安全性を高めるだけではなく、医学生の頃に学んだ生命の尊厳や倫理観を今一度見つめ直すことができる貴重な機会であると認識しています。ご献体頂きました不老会会員様の崇高なご意思を胸に刻みながら、今後の医学発展と社会への還元を目指してまいりたく考えております。

最後に、CALNA 設立に関して多大なるご支援をいただきました、千葉大学大学院医学研究院環境生命医学講座の鈴木崇根先生にこの場をお借りして深く御礼を申し上げます。

CALNA 実務委員会委員長
脳神経外科 荒木芳生
脳神経外科実務委員 棚橋邦明・宇田憲司