泌尿器科の病気について
尿失禁

尿失禁とは

尿失禁とは自分の意思に反して尿が漏れることで、膀胱や尿道の病気によって起こる尿失禁には腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)と切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)があります。

尿失禁の原因

腹圧性尿失禁は、外尿道括約筋(尿が漏れないよう尿道を締める筋肉)の働きが障害され、尿道の抵抗が弱くなるために、せき・くしゃみをする、重い物を持つなど腹圧が加わった時に、膀胱内の圧が尿道(括約筋)の圧より高くなるために、尿意を伴わずに尿が漏れるものです。外尿道括約筋機能の障害は、女性では妊娠・分娩、肥満、加齢(老化)などが原因となり、男性では前立腺肥大症や前立腺癌に対する手術が原因となります。

切迫性尿失禁の原因は過活動膀胱(別項参照)です。過活動膀胱では、蓄尿時(膀胱に尿が溜まる)に膀胱が勝手に収縮するため、急にがまんできないような尿意が起こり(尿意切迫感)、トイレまで間に合わずに尿が漏れることがあり、これを切迫性尿失禁と言います。脳卒中や脊髄障害など中枢神経の病気によることもありますが、明らかな原因がないことも少なくありません。また、加齢によっても起こりますし、男性では前立腺肥大症の60%程度に合併します。

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両者が合併することがあり、これを混合性尿失禁と言います。

診断

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の鑑別には、尿失禁の起こる状況や、尿失禁に関与する可能性のある既往歴を明らかにすることが重要です。十分な問診により、ほとんどの場合で尿失禁のタイプを判定できます。