先進医療への取組
ロボット支援手術

今日、さまざまな泌尿器外科手術手技において、従来の開放手術から内視鏡下低侵襲手術への移行が急速に進みつつあります。ダ・ヴィンチ手術では、より複雑で繊細・緻密な手術手技が可能となり、また3次元拡大視野による正確な画像情報を取得できるため、より安全で侵襲の少ない手術が可能となります。ダ・ヴィンチ手術は、従来の内視鏡下手術の利点をさらに向上させ得る次世代の医療改革の一端を担う分野と考えられています。

ロボット支援手術システム(ダ・ヴィンチ手術システム)は日本では平成21年11月に薬事承認が得られ、名大病院ではそれから間もなく、他の地域に先駆けて平成22年3月にこのシステムを導入致しました。平成29年3月までは第2世代機種であるda Vinci Sを使用していましたが、平成29年4月から第4世代の最新機種であるda Vinci Xiを導入してロボット支援手術を行っています。

平成22年5月に前立腺がんに対するロボット支援前立腺全摘除術を開始し、平成23年から腎がんに対するロボット支援腎部分切除術、また平成26年から膀胱がんに対する膀胱全摘除術を開始しました。前立腺がんに対するロボット支援手術は平成24年4月、腎がんに対するロボット支援手術は平成28年4月に健康保険適用となっています。ロボット支援手術では、従来の開創手術に比べて出血量が少なく、低侵襲性、がんの根治性の向上、機能温存面(尿失禁、勃起障害)の改善など、多くのメリットがあります。例えば、前立腺全摘除術では、出血量が少ないことに加え、術後の尿失禁の発生率が低く、また勃起機能を温存することができます。

当科では平成29年7月までに約800例のロボット支援前立腺全摘除術を行っていますが、幸い輸血例は0となっています。

当科でのロボット支援手術件数は急増しており、週に4件のペースで行っています。

ロボット支援手術の概要については下記、名大でのロボット支援手術のビデオをご参照ください(平成25年に作成しており、旧型のda Vinci Sの映像となります。また全国で10台程度しか導入されていない時期に作成したビデオ映像ですが、現在は約260台が本邦で稼働しています)。