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ご支援のお願い

がんの研究に関わるご支援(寄付)のお願い

がんが大きくなると何故ヒトは生きていけないのか

がんは放置するとそれ自体も大きくなりますが、やがて他の臓器に転移します。がんはもとはといえば正常な細胞から発生したはずのものですが、ヒトとしての自制心や品格をもたない、不良な細胞の集まりです。細胞が際限なく増える結果、腫瘍は異常な速度で大きくなり、塊を作って周囲の内臓を食い破ったり圧迫してつぶしたりして害を及ぼします。こうした大量のカロリーを要する活動を支えるのは、それを宿している患者さんが摂取する栄養に他なりません。患者さんが体調を崩し、栄養をあまり摂れなくなっているのに、がんはどんどん増えて大きくなり、ますますカロリーを消費する。全く不埒な連中です。この程度がある限界を超えると、ヒトは栄養失調で生きていけなくなります。

私たちが行うがんの研究とは

なぜがんはこのように元気なのか、なぜやたらに増えるのか、なぜ転移するのか?そして、なぜ同じ臓器のがんでも転移したりしなかったりするのか?なぜ同じ薬を使っても効いたり効かなかったりするのか?

がんの治療を行うにあたって、私たちは防戦一方であり、わからないことが多すぎます。このような疑問を解くために、私たちは研究をせずにいることはできません。がんの増殖のメカニズム、転移のメカニズムが解明されれば、増殖のスイッチや転移のスイッチを切るような薬が開発できるかもしれません。また、そのがんに効く薬があらかじめ分かっているなら、それを使うことにより大きな効果が期待できるでしょう。さらに、がんの増殖に関わるメカニズムは、もしかするとがんの発生そのものにもかかわっているかもしれません。発生の要因がわかれば、がんを予防することもできるかもしれません。

私たちは日常的に患者さんに接し、おなかの中を観察させていただいて、がんをこの目で見ております。そのような立場から、何らかのアイデアに思い至ったり、さらに研究・改善すべき点を提案したりすることができます。この点が、薬物療法専門の先生、基礎研究の先生、あるいは製薬会社の研究職の方々との大きな違いです。そして、私たち外科医の強みは、患者さんにお許しをいただいた上で、実際に切除されたヒトのがんの一部をそのまま研究に使えることです。

がんの最良の治療法は手術なのか

今までの研究で十分に癌の制御が可能な方法がみつかっていないから手術で取り除くわけです。手術を行うことによる身体の負担や、臓器を失うことで生じる後遺症を承知の上で、あってはならないものを取り除くわけですから、ずいぶん野蛮な治療法だと思います。がんの予防ができたり、薬でがんをおさえられたりすると、手術が必要でなくなり、外科医は路頭に迷うかもしれません。しかし、待って入ればすぐにそのような時代が来るものでもありません。よく考えれば、現段階でもがんに効く薬はあるのです。例えば手術で肉眼的に取り切れても一定の確率で再発するステージ2,3の胃がんやステージ3の大腸がんの再発の頻度が、術後に抗がん剤治療(術後補助化学療法)を行うことにより抑えられることは、既に分かっています。肉眼やCTなどの診断法ではみつけられないような微小な転移巣が残ってしまい、これらが手術後に検査でみつけられる大きさまで育ったものが再発なわけです。そして、このような微小ながんについては抗がん剤が効くために、手術のすぐ後から術後補助化学療法を行えば再発を抑えることが可能なのです。しかし、このような効果を持つ抗がん剤をもってしても、ある程度以上の大きさに育ってしまったがんを治すことはまだまだ難しいのです。良い薬ができても、当面はこのように手術との併用でがんを治療する中で、じりじりと少しずつ治療成績が向上するような、そういう時代がまだ続くと思います。そもそも、いつの日か不要になることがあろうと予想されていても、現在は手術が必要な患者さんがたくさんいらっしゃるのですから、すぐに手術を辞めてしまうわけにはいかないですよね。

そこで、がんの研究に加えて、より安全で体に優しい手術の方法やそれに使用する機器を開発することも外科医にとって重要な研究です。私たちがどのような研究を行い、どのような成果を上げているのかについては、随時ホームページに公表いたします。

研究にかかるコスト

とはいえ、研究には資金が必要です。私たちの研究資金はどこからくるのでしょうか。現状を申し上げれば、大学というのは、私たちがいろいろな研究を行う「場」を提供するところです。私たちは大学病院で診療を行い、その診療報酬は病院の収入となります。大学病院は「高度な医療」を提供するところかもしれませんが、診療報酬はあくまでも保険診療の範囲で支払われるものであり、それを超える診療行為は病院の収支からすれば「持ち出し」になります。基本的に、高度な医療はもうからないものなのです。このようなご時世ですので、大学病院といえども赤字経営にならないよう必死に努力をしており、診療報酬を研究に回す余裕はありません。したがって、私たちが研究をしたければ、その資金は自分たちで調達する必要があります。大学は私たちに居場所や実験スペースを与えてくれます。また、高価な実験機器や動物実験施設など、共用の設備を所有しており、これらを一定のルールの下で私たちに使わせてくれます。しかし、各診療科で所有する実験機器や実験に使用する素材、試薬、動物、貯蔵庫などの購入、維持に関わる資金、そして実験を支えてくれるスタッフの人件費などはすべて各診療科で、つまり私たち医師たちが調達します。

その費用の一部は、政府に研究計画を提出して研究資金をいただくシステムにより獲得します。別名、競争的獲得資金と称するもので、毎年いくつかの締切日に日本中から研究課題が殺到し、この中から審査の上で選ばれた研究課題に研究資金がおりるしくみです。この資金源は皆様の血税であり(もちろん私たちも払っておりますが)、資源の乏しいわが国が科学立国として知的財産で国力を伸ばそうとするなら必要な経費です。もっとも、そのニーズは相対的なものであり、やむをえないことではありますが、大きな出費が生じると(たとえば大きな災害が起きた時など)研究費も削られます。今後高齢化、経済状況の悪化などで国力が落ちれば、研究費は減り、わが国から発信される研究成果は激減し、医学の進歩もすべて海外の研究機関頼みとなるかもしれません。このような悲しい日が来ない限り、私たちは競争にうち勝って少しでも研究資金を得るべく、日夜努力していきます。

しかし、こうした資金では実際に必要な額の一部をカバーできているに過ぎず、それ以外の費用は寄付に頼ることになります。寄付の一部は製薬会社等からいただいております。もちろん、利益相反の見地から、その製薬会社が扱っている薬剤に関係する研究に寄付金を使用することは許されておりません(このような結びつきゆえに、その会社の製品に有利なデータを出そうとするような土壌をつくらないようにするためです)。そして、それ以外の寄付金については個人、すなわち教室のOBの方や篤資家の方、そして患者さんやそのご家族などの御厚意に甘えております。驚かれるかもしれませんが、これは世界中で起きていることです。米国にはスローン・ケタリングがんセンター、MDアンダーソンがんセンター、ジョンズ・ホプキンズ大学などの名の知られた一流の研究機関がありますが、実はこれらの名前は偉大な医師や研究者の名前ではなく、設立に大きく貢献した実業家、篤資家の名前なのです。

すべての寄付は正式なルートで大学の経理に入り、私たちは用途を明示してお許しをいただいた金額のみを引き出すことができます。すなわち、正式なルートでいただいた寄付金を個人的な用途に使用することは一切できず、衆人の監視のもとで適正に使用されることが保障されております。こうした事情をご理解の上、私たちの研究を少しでも支えていただくことを皆様にお願いしたいと思っております。御厚意を無駄にすることは決してありませんので、何卒よろしくお願い申し上げます。

寄付金のご案内

名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科のホームページに、学術研究や教育の充実などを目的とした「寄付金」のご案内がございます。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

なお、名古屋大学へのご寄付は、税制上の寄付金控除をうけることができます。

名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科 寄附金

名古屋大学医学部附属病院
〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65番地
 TEL 052-741-2111(代表)
 【休診日】 土・日曜日、祝日、振替休日、
年末年始(12月29日~1月3日)

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