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潰瘍性大腸炎の治療について

内科的治療

以下の治療が病状に応じて行われます。

潰瘍性大腸炎の治療方針

潰瘍性大腸炎の治療方針

薬物療法

サラゾスルファピリジン(SASP。商品名:サラゾピリン)やメサラジン(5-ASA。商品名:ペンタサ)、ステロイド製剤、免疫抑制剤などを病状に応じて使用します。

血球成分除去療法(白血球除去療法(LCAP)、顆粒球除去療法(GCAP))

体外血液循環装置を通して、炎症を起こす免疫細胞(好中球など)を血中から取り除いた後に体内にもどす治療で、薬物療法のみで病状のコントロールできない場合に行われます。

免疫抑制剤持続静注療法

免疫抑制剤(シクロスポリン)を持続的に静脈投与する治療で、通常の薬物治療ではコントロールができない場合などに行われます。

局所療法

ペンタサ注腸、ステロイド注腸、胃粘膜保護剤注腸などが直腸の局所病変のコントロールを目的に行われることがあります。

外科的治療(手術)

手術適応

手術の絶対適応として、劇症、中毒性巨大結腸症、穿孔、大出血、がん化などがあり、前4者は緊急手術の適応になります。また、手術の相対的適応には、前述の内科的治療で病状のコントロールが困難な難治性のものやステロイドの離脱困難や副作用などにより内科的治療の継続が困難な場合が含まれます。

術式

原則的には、全大腸を切除します(大腸全摘術)。術式の詳細は以下のA~Cの組み合わせで決まります。

A.手術回数
  1. 1期手術:一度に切除、吻合を行います。
  2. 2期手術:第1回手術で切除・吻合及び一時的に人工肛門を作り、しばらく肛門吻合部の安静を保った後(3-6ヶ月間)、第2回手術で人工肛門を除去します。
  3. 3期手術:第1回手術では直腸以外の大腸のみを切除(亜全摘)し、第2回手術で完全に大腸を切除、吻合、及び一時的人工肛門を造設し、第3回手術で人工肛門を閉鎖します。患者さんの全身状態が非常に悪いときなどにこの術式を選択します。
B.腹腔操作経路
  1. 開腹手術:腹部中央を縦に約10~15cm程切開して開腹下に全大腸を切除します。
  2. 腹腔鏡(補助)下手術:腹部に0。5~1cm程の穴を5~7個開け、腹腔鏡で観察しながら全大腸を切除します。

一般に腹腔鏡下手術では、美容的な面に加えて手術直後の身体の回復が従来の開腹手術より早いことや術後の痛みが少ないこと等の利点がある一方で、器械で手術をすすめる事による臓器の副損傷の可能性や出血への迅速な対応が難しいこと、手術時間が若干長くなること等のデメリットがあります。

大腸全摘術 術式

【左図】従来の開腹下大腸全摘/【中央図】小開腹下大腸全摘/【右図】腹腔鏡下大腸全摘

【左図】従来の開腹下大腸全摘/【中央図】小開腹下大腸全摘/【右図】腹腔鏡下大腸全摘

C.吻合法

回腸末端部にて約12cmの回腸嚢(直腸の代わりに便を溜める袋)を作成し、これを肛門もしくは肛門管と吻合します。

  1. 回腸肛門吻合(IAA):直腸粘膜を肛門付近(歯状線)までほぼ完全に切除するため、潰瘍性大腸炎の再燃や発がんの可能性がなくなる反面、排便機能が低下する可能性が若干高くなります。
  2. 回腸肛門管吻合(IACA):一般的にはIAAに較べて排便機能の低下は若干少ない反面、一部残存した直腸粘膜の再燃やがん化を併発する可能性がわずかに残ることになります。
  3. 回腸直腸吻合(IRA):残存する大腸が多くなるため、現在はほとんど行われなくなっています。

潰瘍性大腸炎に対する術式

潰瘍性大腸炎に対する術式

IAA IACA IRA 回腸人工肛門
再発 (-) (±) (+) (-)
癌のリスク (-) (±) (+) (-)
吻合方法 手縫い吻合 器械吻合 器械吻合 なし
手術難度
術後排便機能 やや劣る ほぼ良好 ほぼ良好 ストマ

現在当科では原則として、

  • A-2:2期的に…
  • B-2:腹腔鏡下大腸全摘術、及び…
  • C-1:回腸嚢肛門吻合術を行う術式…

を第一選択の術式としていますが、詳細は術前の患者さん病状・希望を考慮の上、最終的な術式を決定しております。

術後の経過

全体の外科的治療の流れと第1期目手術時の入院経過(クリニカルパス)について、下記の図をご覧ください。

潰瘍性大腸炎の外科的治療の経過

潰瘍性大腸炎の外科的治療の経過

大腸全摘術のクリニカルパス

経口摂取量 投薬 ステロイド
(プレドニゾロン)
処置など
術前 術前量 前処置
術後第1病日 水分 +10mg
術後第2病日 重湯 +7.5mg
術後第3病日 三分粥 +7.5mg 肛門ドレン抜去
術後第4病日 五分粥 +5mg
術後第5病日 全粥 整腸剤など +5mg
術後第6病日 +2,5mg
術後第7病日 普通食 術前量 腹腔ドレン抜去
術後第10〜14日目 経口へ 退院
術後3〜6ヶ月 0mg 人工肛門閉鎖

当科での手術件数の推移

当科での潰瘍性大腸炎手術件数

当科での潰瘍性大腸炎手術件数

潰瘍性大腸炎
名古屋大学医学部附属病院
〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65番地
 TEL 052-741-2111(代表)
 【休診日】 土・日曜日、祝日、振替休日、
年末年始(12月29日~1月3日)

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