胃がんの治療法を決めたり、また治療によりどの程度治る見込みがあるかを予想したりする時に、どれくらい病気が進行しているかをあらわす進行度分類(病期:ステージ)を使用します。日本では日本胃がん学会の「胃がん取扱い規約」に基づいて進行度分類を行っています。各検査で得られた所見、あるいは手術時の所見、最終的には手術により切除した病巣の顕微鏡所見により、深達度(がんの深さ)、リンパ節転移、他の臓器への転移の有無にしたがって病期を決定します。以下に進行度、および病期分類について簡単に説明します。
がんが胃の粘膜または粘膜下層にとどまるもの
がんが粘膜下組織を超えているが固有筋層または漿膜下組織にとどまるもの
がんが漿膜に接しているかまたはこれを破って腹腔内に露出しているもの
がんが直接、他の臓器に食い込んでいるもの
※ 早期胃がんとは深達度がT1までの胃がんを、進行胃がんとは深達度がT2からT4までの胃がんを指します。
リンパ節転移がない
胃に接したリンパ節にのみ転移がある
胃に流入する太い血管の根元にリンパ節転移がある
さらに遠くのリンパ節に転移がある
がんが粘膜、粘膜下層にとどまっており、リンパ節の転移がないか、あっても近くのリンパ節のみに転移がある時、あるいはがんが筋層、漿膜下組織まで拡がっているがリンパ節に転移が認められなければⅠ期と分類します。治る可能性がきわめて高い病期です。なお、粘膜下層にとどまる胃がんを「早期胃がん」と呼びます。
がんが漿膜に露出しているが、リンパ節転移がない時、または中程度のリンパ節転移があるが、がんの深さが胃壁内にとどまる場合はⅡ期と分類します。手術により治る可能性の比較的高い病期です。
がんが漿筋に露出しており、同時にリンパ節転移を認める場合や、がんが胃壁内にとどまるものの、中程度のリンパ節転移を認める場合、あるいはがんが他臓器に食い込んでいる場合、Ⅲ期と分類します。進行はしているが、まだ手術により治る可能性の残されている病期です。
遠くの臓器やリンパ節にがんがあると判断された時、腹膜播種が認められた場合、Ⅳ期と分類します。現在の医学では完全に治すことが難しい病期です。
N0 | N1 | N2 | N3 | |
---|---|---|---|---|
T1 | ⅠA | ⅠB | Ⅱ | Ⅳ |
T2 | ⅠB | Ⅱ | ⅢA | |
T3 | Ⅱ | ⅢA | ⅢB | |
T4 | ⅢA | ⅢB | ||
H1,P1,CY1,M1 |
肝転移を認める。
腹膜転移を認める。
腹腔細胞診でがん細胞を認める。
※ 腹水中に(腹水のない症例では腹腔内に生食100mlを注入し、その回収液中に)がん細胞を認める。
肝転移、腹膜転移および腹腔細胞診陽性以外の遠隔転移を認める。