胃がんは粘膜、つまり、胃の一番内側にある細胞から発生します。はじめは細胞レベルの大きさのものが、年単位の時間を経て5mm程度の大きさになると発見可能となります。
その後がん細胞は増殖し、広がりを見せるわけですが、その形式は大きく分けて3通りあります。
1. 胃の壁を深く広がる
胃の内側の粘膜から発生したがんは、進行すると、胃の壁の外側に向かって進んでいきます。がんが胃の一番外側の漿膜を超えると、腹腔内(おなかの中)全体にがん細胞が散らばるようになったり(これを腹膜播種といいます)、また、胃と接している膵臓や大腸、肝臓などに直接食い込むこともあります。
腹膜播種は手術の前の診断が非常に困難なもので、いまだにおなかを開けて初めて切除ができない(というよりも、切除することが治療に結びつかない)とわかることが時にあるのは、このような転移のためです。
おなかの中を水で洗い、この水を回収して調べた場合に、この中にがん細胞が見つかると、おなかの中に一見異常がない場合でも、このような転移を後で起こしてくる可能性が非常に高くなります。
2. リンパの流れに乗ってリンパ節に広がる
リンパ節とは、小豆から大豆の大きさの豆のようなもので、あらゆる臓器の周囲に密集しており、リンパ管でつながっています。リンパ管にはリンパ液がゆっくりと流れています。がん細胞はリンパ管に入ると、リンパ液の流れに乗ってリンパ節に進入し増殖することがあります(リンパ節転移)。
原則として、胃がんの近くのリンパ節に最初に転移し、次第に遠くのリンパ節に広がっていきます。胃がんでもっとも多くみられる転移はこの形をとります。
3. 血液の流れに乗って他の臓器に広がる
胃の壁にある血管の中に入り込んだがんが胃や肺などに流れていき増殖することがあります(肝転移、肺転移)。
初期の段階では、無症状であることが多く、進行してからでないとはっきりとした自覚症状がでてこない場合が多く見られます。
症状の有無にかかわらず、胃がんの早期発見には定期的な検診をお勧めします。