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食道がん

食道がん縫合不全ゼロをめざして〜当科の治療戦略〜

神田講師(左)、清水助教(右)

食道がんは治療選択の幅が広く、その治療方針を決めるためには的確な術前診断が必要です。その診断結果をもとに、患者さんの病状と治療の選択肢を充分時間をかけ理解できるように説明し、治療方針を決めていただくことに努めています。外科治療のみならず内視鏡治療や化学放射線治療など他診療科と協力して治療にあたります。

食道がんは、その解剖学的特性とがん自体の悪性度の高さのため、手術治療は難易度が高くその的確な遂行には高度の医療レベルを要します。そのため、食道外科専門医認定施設での手術関連死亡率や5年生存率は、非認定施設と比べて有意に優れていることが示されています1)。当科では以前より食道がん診療に力を入れており、診療実績は中部圏で有数の食道外科専門医認定施設です。食道外科専門医である神田光郎講師と食道科認定医の清水大助教が担当します。

食道がん手術は、侵襲が最も大きい手術の一つです。全国平均で合併症率41.9%、周術期死亡も3.4%であり、なかでも縫合不全は、治癒するまでに長い期間を要し、定期的な処置も必要となり、重篤な合併症であるといえます。縫合不全は全国平均でも13.3%とまだまだ低いとはいえません2)

われわれ消化器外科2食道グループは、合併症が少ない施設のひとつとして全国的にも有名です。これは当科における食道がん治療に対する診療研究の積み重ねのみならず、大学病院ならではの最高レベルの他診療科との協力と高度な医療設備施、また豊富な症例によりトレーニングを積んだ診療・看護スタッフにより診療が行われているからです。当科では、術前に症例を十分に検討し、食道がんの占拠部位や進行度に応じて診療ガイドラインに準じた治療を原則とし、胸部操作については胸腔鏡下手術を導入し小さな創で術後回復を早め、また胸腔内から頚部の操作を行うよう手技を工夫しています。こうした侵襲を軽減する努力と、安全な吻合手技の確立で低い縫合不全率を実現しました。

また、食道がん手術の管理も大きく様変わりしつつあります。当科では、全国的なものから独自のものまで、様々な臨床試験に参加・計画することで、最新の適切な医療の提供と開発に携わっています。その内容は手術のみならず、化学療法や周術期の栄養管理、さらには合併症に対する治療など多岐にわたります。

さらに、食道がんのほかに心臓や肺に併存疾患を有するなど、当科の関連病院では治療困難となるような症例の経験も豊富です。食道がんでは他がんの手術に比べ食事の食べ方など、術後のリハビリもやや長い期間必要となる傾向があります。そのため、単に手術を行うだけではなく、その後の社会復帰までトータルに患者さんをサポートすることを目標に治療を行っています。

多くの患者さんが順調に回復され、術後平均在院日数は21日と、術後約3週間で退院されています。

1)日本食道学会. 食道外科専門医認定施設の優位性. https://www.esophagus.jp/public/list/superiority.html

2)A Risk Model for Esophagectomy Using Data of 5354 Patients Included in a Japanese Nationwide Web-Based Database. Annals of Surgery (2014)

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