胆道がんとは、肝外の胆道に発生した上皮性悪性腫瘍の総称です。胆道がん取り扱い規約によると、肝外胆管に発生する「胆管がん」、胆嚢に発生する「胆嚢がん」、十二指腸乳頭部に発生する「乳頭部がん」に分類されます。肝内胆管に発生したがんは肝臓がんの一種として分類することになっています。
更に、胆管がんはその発生部位により
に分類されます。
胆道がんとは「平成25年人口動態統計」(厚生労働省)によると、平成25年の胆道がんによる死亡者数は18225人で、これは悪性新生物による死亡者の約5%を占めます。年齢別では60歳代に多く、胆管がんではやや男性に多く、一方胆嚢がんは女性に多く見られます。
今日までにさまざまな研究がなされてきましたが、胆道がんの発生原因についてはいまだ十分に解明されていません。膵・胆管合流異常、先天性胆道拡張症という病気では,胆管がんや胆嚢がんが高率に発生することが知られています。この病気では膵液が胆管・胆嚢内に逆流するためにがんが発生すると考えられています。また、胆嚢結石が胆嚢がんの原因になるといわれていますが、詳細は不明です。
胆管は直径が5~10mm程度の細い管状の臓器であるため、胆管がんが発生すると胆管の狭窄や閉塞が生じ、胆汁の鬱滞が起こります。この状態が進むと胆汁が胆管から血管へ逆流するようになり、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸という症状が現れます。このような状態を閉塞性黄疸といい、胆汁に含まれるビリルビンという色素がその原因です。閉塞性黄疸になると、便の色が白っぽくなったり、尿の色が濃くなったりすることがあります。また、黄疸の出現とともにかゆみを自覚することがあります。
胆嚢がんでは特有の症状はほとんどありませんが、右上腹部に痛みを自覚したり、腫瘤を触れるようになることがあります。また、がんの進行によって胆管が狭窄・閉塞すれば胆管がんと同様に閉塞性黄疸になることもあります。
十二指腸乳頭部がんは、その解剖学的特徴により比較的早期に症状を認めます。がんにより胆汁が鬱滞すると黄疸がでますし、胆管炎や膵炎を惹起すれば、腹痛や発熱を認めることもあります。また、がんからの出血に伴う下血や貧血を認めることもありますが、最近では人間ドックなどで内視鏡検査をして発見される無症状例も少なくありません。