
所属やインタビュー内容は2019年2月時のものです。
名古屋大学医学部医学科 6年
神経遺伝情報学根岸 修人 (埼玉県出身)
研究を志したのは、高校の先生の影響です。受験勉強用に「この薬はこの人が見つけた、と暗記しなさい」ではなく、「どういう経緯でこの薬が発見されたのか?」という背景を話してくださったのです。そこで感じたのが、発見とは何千回もの失敗を通して生まれるということ。自分にも世界を変えるほどの発見ができる可能性がある、と思ったのです。
大学で研究をしたいと考えて医学部を探していたところ、先生から「研究なら東北大学か名古屋大学にしては?」とアドバイスをいただきました。多くの先輩方が、名大の研究環境に満足していたのです。名大の推薦入試は国語が受験科目にあり、研究にはその時点での知識ではなく論理的思考力が必要であることを表していると感じます。
米国ではトップ5%の学生だけが入学できる医学研究トップエリート育成プログラムに相当するとされる、MD・PhDコース。そのコースに進むことができる推薦入学者は、早期から研究に関われるだけでなく、きめ細かい徹底的な指導が特徴です。1年次からとにかく英語論文を読みまくるのですが、当初はとても辛かった。でも1年も経つと、苦もなく読めるようになるから不思議です。
2013年入学。 ※インタビューは6年次の2月時のものです。
名古屋大学医学部医学科 5年
生体反応病理学/分子病理診断学前田 勇貴 (香川県出身)
僕の地元である四国から見ると、いやいっそ世界から見ると、関東も関西も関係ありません。どこが日本において、最も研究ができる環境があるのか――。名古屋大学は理系のノーベル賞受賞者を多数輩出している大学。それが、研究環境の良さを証明していると思います。医学系においても、がんと神経系という二大研究ともいえる領域に強い。それが名古屋大学医学部です。
世界を肌で感じる環境が、名大にはあります。研究室や学内にも留学生や外国人研究者が多く、英語で研究内容を説明したり、ディスカッションしたりという風景が日常です。これが日本だけではなく世界に目を向けている、と名大が言われる所以です。また海外学会を意識して学内でも英語で発表する機会が多く、世界の研究者の一人であるとの実感を持ちながら研究に取り組んでいます。
いまの医学知識が100%正しいわけではない。定説とは間逆の効果があるとされる薬を投与して症状が治ったという例も医学の世界ではあり得ます。研究者は、歴史を塗り替えていく存在だと思います。つねに世界の誰も知らない結果を目の前に、どう考え、どう活かすか。誰もわからないことを一から探っていく楽しさと難しさが研究にはあります。だからこそ面白い。世界をリードすることこそが研究の楽しさではないでしょうか。
2014年入学。 ※インタビューは5年次の2月時のものです。
名古屋大学医学部医学科 4年
神経遺伝情報学長谷川 智哉 (愛知県出身)
名大の先生方は、学生を仲間として見ています。ライバルでも、アシスタントでもない、一人のパートナー。研究者として、自ら考え、行動する。名大の推薦入試は、そんな仲間を選ぶもの。学力だけでなく、熱意が問われるのだと思います。英語もプレゼンも、自分が果たしたいことをいかに伝えるか。将来の仲間に、思いをぶつけてください。
研究環境以外でも、私たちは恵まれています。学生研究会の予算で、国内外の学会に派遣してもらえる。そして経済面だけでなく、大学を挙げて応援してくれていると感じます。チャンスも、サポートも、どれだけありがたいことか。実際に海外で発表もしました。そして次は、支援を受けながら海外の大学に留学予定です。感謝の言葉しかありません。
充実したサポート体制には、ある種の責任も伴います。敷かれたレールの上にいては、革新的な発見はできない。それは、これまでの事例からも肌で感じます。世界に飛び出して得たことを、日本に、後輩に伝えていく。そして、人体の神秘を解明し、研究成果を世界中の人々に還元し、人々の今と未来に貢献する。それが私の義務であり、目標です。
2015年入学。 ※インタビューは4年次の2月時のものです。
名古屋大学医学部医学科 3年
神経性調節学(環境医学研究所)深津 紀暁 (三重県出身)
3年次の後期に半年間の研究期間がある。これは全国的にみてもトップクラスに長い期間です。それが魅力でした。推薦入試対策は、医学の最新ニュースを知っておくこと。それよりも、論理的思考力が問われます。研究は、「なぜその結果が出たか」を組み立てられることが大切です。推薦入試は、その点が問われる試験だと思います。
入学後は、学生研究会による徹底した研究サポート体制があり、学会参加の交通費を負担してもらえます。また、在学時から論文執筆できるほど、“自分の”研究ができる。アシスタントではなく、主担当者。研究に早く携わることで、研究者として他大学出身者をリードできる点も、研究者を志す人にとって大きなメリットです。
研究は、忍耐力も必要ですが、自分がわからないことを受け入れ、他の人に聞ける人が向いています。誰かに相談することで、一気に解決できることがあると覚えておいてください。他の人の研究にふれることも重要。そこから得られるものも多くあります。それができるのも、名大は研究環境が良いと言われる理由です。
2016年入学。 ※インタビューは3年次の2月時のものです。
名古屋大学医学部医学科 2年
神経情報薬理学重原 優奈 (群馬県出身)
医療問題に忸怩たる思いを持っていました。そして、問題に対処するのではなく、問題を根本から解決したいと思いました。医療は発達していますが、未解決の問題も多い。「いま治せない人は、いつまで経っても、このままじゃ治せない」。この言葉を胸に、いつかの誰かのために、研究を続けます。
推薦入学生は、ある意味で特別扱いされます。それは甘えを許されるのではなく、成長を加速するための特別指導です。その経験が、研究者としての基礎を早期に固め、研究への取っ掛かりを与えてくれたと知るのは、先の話です。先輩や他の研究室の発表を聞く機会も多く、研究者を目指す者にとって、厳しいながらも、とても魅力的な環境があります。
世界に通用する研究者になる。その第一関門は、研究手法ではなく、英語です。世界中の研究者と英語でディスカッションして、最先端の知識を身につけなければ、世界を驚かすほどの研究はできないと、ここに来て実感しました。私も未だに苦手意識はありますが、英語で勉強し英語でコミュニケーションをとることが最低限必要であると考え、英語を使うようにしています。
2017年入学。 ※インタビューは2年次の2月時のものです。
名古屋大学医学部 医学部長門松 健治 (鹿児島県出身)
なぜぼくらが研究を続けてきたかというと、芸術と同じで、美しさを感じているからです。これが研究に惹かれる理由で、それがたまたま結果としてノーベル賞につながる。オートファジーもiPSも、免疫療法の話も、すべて、ある意味きっかけは小さいけれど、彼らがずっと続けてきたことに意味があるのです。研究の面白さや美しさに気づいてもらえれば、入学生のマジョリティーは研究に惹かれると思いますね。 そして、医学生理学賞というのは、基本的に最初にそれを発見して、科学が変わるとか、社会が変わる、という発見に与えられている。ぼくらが基礎の立場から目指しているのは、まさにここなのです。
基本的な考えとして、ぼくらのミッションは、医学とか医療の開拓です。グローバルスタンダードの治療をすることは絶対に必要で、大学病院ではどこも目指しています。これはある意味、当たり前のこと。だからぼくらは、医学とか医療を開拓しなければならないのです。基礎研究医でも、臨床研究医でも、進む道はかまわない。研究に同じものがないように、研究者も画一的である必要はありません。ただ、研究が好きで成果を発信したい気持ちや、フロンティア精神がなければ研究者は生き残れない。誰も実現できなかった成果を出し、新たなグローバルスタンダードをつくる。そんな夢と野望を持って飛び込んできてください。学生は研究スタッフではなく研究者仲間、そう思っています。ともに世界の人々に貢献しましょう。