ご挨拶


 このたび、第10回日本レックリングハウゼン病学会を2019年2月24日に名古屋大学医学部附属病院で開催させていただきます。節目となる第10回を主催させていただきますこと、大変光栄に存じております。本学会のテーマは「適切・最新の診療を患者のもとへ」としました。明快な言葉ですが、レックリングハウゼン病の患者さんに適切な診療を行うことは多科・多職種が一致団結して臨まないと達成できるものではありません。また、基礎研究の進歩がないと診療レベルの向上はありません。本テーマのもと、教育講演として診療ガイドラインの解説、診療に際しての年齢別の注意点をそれぞれ鳥取大学皮膚科の吉田雄一先生、愛知県身障者コロニー中央病院副院長の水野誠司先生に、また特別講演として中枢神経の合併症について佐賀大学医学部小児科の松尾宗明教授にお話いただく予定です。最新の診療としては、ゲノム医療の先端を走っておられる慶応大学医学部腫瘍センターの西原広史先生に特別講演でprecision medicineのお話を伺えるものと期待しております。
 レックリングハウゼン病の患者生命を脅かす腫瘍として悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)があります。病理診断-臨床診断の流れの中で、良性から悪性への転化の判断が非常に難しく、しかし今後適切に鑑別して早期に、かつ的確に治療介入していく必要があります。Low grade MPNSTを含めた病理診断の解説を教育講演として兵庫県立がんセンターの廣瀬隆則先生にお願いしてあります。またシンポジウムとして「レックリングハウゼン病と悪性腫瘍」を組ませていただきました。
 今回の学会で、レックリングハウゼン病に関して、現在までにわかっている適切な診療の内容を再確認し、最新の診療についての可能性を勉強することで患者さんに「適切・最新の診療」を届けられるようになることを期待しております。是非とも一般演題へのご応募、および名古屋で開催します第10回の本学会に奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。
 最後に、日本におけるレックリングハウゼン病の診療・研究に多大な貢献をされ、本学会においても創設メンバーの1人として、また第4回の学会長として尽力されました倉持朗先生が2018年8月にご逝去されました。この場を借りて謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

第10回日本レックリングハウゼン病学会学術大会
会長 西田佳弘 (名古屋大学医学部附属病院 リハビリテーション科)