医局案内

医局の概要

高度な専門性に対応して小児医療を目指して

近年のわが国では少子化が進行しているものの、小児医療の高度化や疾患構造の変化に伴い、小児科医の果たすべき役割は多岐に及んでいます。小児科では、500gに満たない新生児から成人期に移行した患者さんまで幅広い年齢を対象とすることに加えて、小児期に発症した全ての内科的疾患領域を担当する必要があります。名古屋大学小児科では、幅広い小児疾患に対し、よりよい医療を提供すべく、診療・研究・教育に努めています。
小児科医はまずgeneralistとして一人一人が幅広い小児科疾患に対応する必要がある一方で、specialistとして高度な専門性を持つことが望まれています。名古屋大学小児科および関連施設には血液・腫瘍、新生児、神経、感染症、循環器、免疫、アレルギー、内分泌、腎臓、遺伝・染色体、代謝、集中治療などを専門とする医師が在籍し、それぞれの領域において専門性の高い医療を提供しています。

さらに、大学や専門施設を中心に難治性疾患や希少疾患の病態解明や新規治療法に関連した研究も活発に行っており、幅広い分野で業績を築き、小児医療の発展に寄与してきました。一方で、名古屋大学小児科では約30の関連施設と連携することで、若手医師が主体となりcommon diseaseを対象とした共同研究を行っています。日常診療から生まれるclinical questionに対して大学と関連施設が一体となって臨床研究を行い、多くの知見を発信し続けています。

臨床研修・研究指導の方針
および体制

名古屋大学小児科は、地域の小児医療の充実を図るとともに、小児医学の進歩に寄与するため、幅広く小児医療・小児保健に貢献できる優れた小児科医を育成することを目標としています。
多岐にわたる小児疾患の臨床経験を積むために、名古屋大学小児科とその関連施設は密に連携を取りながら、独自の卒後研修システムを確立してきました。2017年より日本専門医機構による小児科専門医制度の開始に伴い、名古屋大学医学部附属病院小児科研修医(専攻医)プログラムを策定しました。また、名古屋大学小児科の関連施設の一部は、独自の小児科研修医プログラムを提供しています。いずれの小児科研修医プログラムにおいても、小児科医に必要な幅広い臨床経験を積むことができ、小児科専門医を取得するための効率よい研修を行うことが可能です。

また、名古屋大学小児科とその関連施設には、専門分野を網羅した数多くのグループを有しており、小児科の各専門分野の研修が可能です。さらに、「愛知県四大学小児科・合同研修プログラム」により、愛知県内の他大学や専門施設との積極的な人事交流も行っており、当地域での小児医療のレベルアップに貢献しています。
名古屋大学小児科には、血液・腫瘍、新生児、神経、感染症、循環器の研究室があり、それぞれの専門分野の臨床および基礎的な研究が教員や大学院生、留学生を中心に行われています(詳細は各研究グループのページをご参照ください)。名古屋大学小児科の大学院では、小児疾患に関連した最先端の研究を行い、その成果を論文化する過程を経験することで、小児医療の発展に貢献できる多くの小児科医を育成することを目標としています。また、大学院修了後には海外の研究機関等への留学も奨励しており、現在も多くの関係者が国内外の施設で活躍しています。

沿革

初代教授 藤井 静英 (1915年~1932年)

1915年、藤井静英が愛知医学専門学校教諭、愛知病院小児科部長に就任しました。1931年5月、県立愛知医科大学は、官立名古屋医科大学となり、藤井教授は名古屋医科大学学長兼附属医院長に任命されています。この時期は主に小児感染症に対する研究が行われました。

第2代教授 坂本 陽 (1932年~1960年)

1939年に名古屋医科大学は名古屋帝国大学医学部になりました。戦局の拡大は診療、研究に多大な影響を与えましたが、1948年頃には医局員も増え活気を呈してきました。診療や研究は、感染症に加えて血液疾患など多方面に及ぶようになりました。この時期に乳児白色便性下痢症(白痢)がウイルスを病因とする説を発表しましたが、後のロタウイルスの発見により証明されました。

第3代教授 中江 亮一 (1960年~1966年)

中江教授の専門は内分泌でしたが、小児科学の多様化に伴いウイルス、アレルギー、新生児、内分泌、代謝、心臓、腎臓、血液、神経の各研究班が医局の中で組織され、現在の小児科医局の基礎となりました。

教授不在時代 (1966年~1974年)

1966年から1974年までの間は大学紛争のため、教授不在になりましたが、新体制へ向けての基礎作りの期間となりました。教授不在という困難な状況においても、各診療研究班を中心に活発な教育・診療・研究活動が行なわれました。

第4代教授 鈴木 榮 (1974年~1984年)

鈴木教授は、名古屋大学小児科の卒後研修体制の整備を行い、大学病院と関連施設が連携して小児科研修を行う制度を確立し、現在まで続く名古屋大学小児科の卒後研修の原型となりました。また、各研究班は活発な活動を続け、鈴木教授は坂本教授時代から行われていたロタウルス感染症の研究を中心に行いました。

第5代教授 渡辺 一功 (1984年~2002年)

渡辺教授の専門は小児神経学で、新生児脳波の臨床応用を進めるとともに、乳児良性部分てんかんの疾患概念を確立し、「Watanabe's syndrome」として名を残しています。在任期間には、小児神経以外にも血液、アレルギー、ウイルス、新生児、循環器などの診療グループが精力的に活動を行いました。1999年には新築移転された附属病院に新生児集中治療室が開設され、重症新生児に対して高度医療を提供する体制が確立しました。

第6代教授 小島 勢二 (2002年~2016年)

小島教授の専門は血液腫瘍学で、再生不良性貧血や造血幹細胞移植等の分野で大きな業績を残しました。また、学内にセルプロセッシングセンターや次世代シークエンサーが整備され細胞療法の実施や網羅的遺伝子研究が可能となり、多くの研究成果が発信されました。また、名古屋大学医学部附属病院が総合周産期母子医療センターや小児がん拠点病院の指定を受けたことにより、入院患者数や、教員を含む医局員の数も大幅に増加しました。

第7代教授 高橋 義行 (2016年~現在)

2016年に血液腫瘍学が専門の高橋義行教授が就任し、現在に至っています。

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