名古屋大学小児科臨床研修プログラム(2006年度版)(PDF、Word形式) | ![]() ![]() |
はじめに
名古屋大学小児科に入局し、名古屋大学小児科関連施設にて小児科臨床研修を行う医師が効率的かつ円滑な小児科臨床研修を行えるよう「名古屋大学小児科臨床研修プログラム」を作成した。本プログラムを利用して、有意義な小児科臨床研修に臨んでいただきたい。
なお、日本小児科学会入会をもって小児科専門医の研修開始となるので、日本小児科学会に速やかに入会することを勧める。日本小児科学会入会については、日本小児科学会のホームページ(http://www.jpeds.or.jp/)を、名古屋大学小児科入局については名古屋大学小児科のホームページ(http://www.med.nagoya-u.ac.jp/ped/)を参考にしていただきたい。
2005年1月
名古屋大学大学院小児科学 小島勢二
名古屋大学小児科臨床研修を考えるワーキンググループ
2006年度版の改訂にあたり
昨年、本プログラムを作成し、多くの医学部学生、研修医の方々に利用をしていただいた。2006年度版は、単に専門医/指導医の異動分の変更だけではなく、小児科各分野のサブスペシャリティー技能習得の記載を取り入れた。大学院入学についても従来型の大学院コースと社会人大学院コースにわけて、研究と各分野専門医取得の両立が図れ、また効率よくサブスペシャリティー技能を習得できるようにモデルコースを提示した。本プログラムを参考にして、小児医療のスペシャリストになっていただきたい。
2006年5月
名古屋大学大学院小児科学 小島勢二
名古屋大学小児科卒後研修委員会
T. | 名古屋大学小児科の一般目標 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
U. | 名古屋大学小児科臨床研修プログラムの目的 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
V. | 名古屋大学小児科臨床研修プログラムの管理運営 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
W. | 小児科臨床研修について | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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X. | 経験するべき症候・疾患 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
Y. | 研修の自己評価、指導医評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
Z. | 専門医取得プログラム | ||||||||||||||||||||||||||||||||
[. | サブスペシャリティー技能習得について | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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名古屋大学小児科臨床研修プログラム
・幅広く小児医療・小児保健に貢献するために、すぐれた小児科医を育成し、地域の小児医療の充実を図り、小児医学の進歩に寄与する。
・一般目標の実現を目指して以下の事を実践する。
1)幅広い臨床能力を持つ小児科医を育成する。これからの小児科医は、出生前から成人に至る全課程を総合的にとらえ、成育医療の視点に立った医療の実践を心掛ける。
2)大学附属病院、関連病院が一体となり、各分野における最高水準の先端医療を推進するとともに、それにあたる人材の育成。確保に努める。
3)明日の医学を創り出すのに必要な情報を世界に発信するとともに、研究能力を有する人材を確保する。
4)社会に対し、小児医療、小児保健の重要性を訴え、さらに小児科医の社会的地位の向上に努める。
5)3つの使命である、教育、診療、研究の推進について国内の他施設と協調し、さらにグローバルな視点にたち、国際交流を図る。
・ 本プログラムは上記の「名古屋大学小児科の一般目標」の実践を目指すために作成された臨床研修プログラムである。
・ 小児科医として幅広い臨床経験を積み、小児科診療の基礎的知識・手技を習得し、小児科専門医を取得するための効率よい臨床研修を提供する。
・ 小児科専門医を取得後に、各分野専門医取得のための研修に速やかに移行できるように、各専門分野の専門医取得についての情報を同時に提供する。
・ 小児科臨床研修を通じて、臨床医としての基本的姿勢、病児とその家族に接する態度を習得できるようにする。
・ 本プログラムの管理責任者は小島勢二(名古屋大学大学院小児科学教授)とする。
・ 関連病院部長会などを通して、定期的に本プログラムの研修内容評価、再検討をおこなう。
・ 専門医関連の情報については、1年に1回の更新をおこなう。
・ 本プログラムの修正、訂正などは、名古屋大学小児科卒後研修委員会を中心に作業を行う。
IV.小児科臨床研修について
1)標準的な小児科臨床研修コース
(註)塗潰し部分は名大病院研修の期間
・ 卒後2年間は各研修病院の臨床研修プログラムに沿い、ローテート研修を行う。
・ ローテート研修終了後は、原則的に研修病院の小児科にて小児科研修を開始する。小児科研修に適していない病院である場合は、異動を考慮する。
・ 原則的に新生児研修は必須とする。研修中に新生児研修が行えない場合は必要に応じて異動を考慮する。
・ 原則的に卒後4〜5年(小児科医として2〜3年経験後)に、名古屋大学医学部附属病院小児科にて研修(以下、名大病院研修)を行う。名大病院研修についての研修内容については別に記す。
・ 卒後4〜5年に大学院入学、小児病院などへの国内研修をとるコースも設けるが、ある基準を設けて、その個人を評価しその上で許可をする事を条件とする。
@ 新入局者オリエンテーション
新入局者を対象に、2泊3日の宿泊研修会を開催する。オリエンテーションでは小児科、関連診療科(小児外科、耳鼻咽喉科、皮膚科、精神神経科など)の基礎的講義をおこなう。
「新入局者オリエンテーション」の実例(2004年度実施)
日 時:平成16年11月12日(金)〜14日(日)
場 所:あいち健康プラザ(愛知県知多郡東浦町大字森岡字源吾山1番地の1)
期 日 |
時 間 |
講 師 |
内 容 |
11/12 |
17:00 |
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健康宿泊館1階に集合 チェックイン |
18:00〜19:00 |
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夕食(11階レストラン・ランポーネ) |
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19:00〜20:00 |
早川昌弘 |
小児・新生児蘇生法 |
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20:10〜21:10 |
坂本龍雄 |
アレルギー講義 |
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講義終了後〜 |
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温泉入浴 親睦会 |
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11/13 |
07:30〜 |
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朝食(3階レストラン・サルーテ) |
09:00〜10:00 |
奥村彰久 |
神経講義 |
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10:10〜11:10 |
大橋直樹 |
循環器講義 |
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12:10〜 |
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昼食(自由)フリータイム |
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13:30〜14:30 |
瀬尾孝彦 |
小児外科講義 |
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14:45〜15:45 |
上条隆司 |
内分泌講義 |
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16:00〜17:30 |
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自由時間(入浴など) |
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17:30〜18:30 |
小島勢二 |
血液学講義 |
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19:00〜21:00 |
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懇親会(4階和室) |
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11/14 |
07:30〜 |
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朝食(3階レストラン) |
09:00〜10:00 |
都築一夫 |
腎疾患講義 |
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10:30〜11:30 |
梶田光春 |
代謝疾患講義 |
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講義終了後 |
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解散 |
A 名古屋大学臨床小児科セミナー
各専門分野の第一人者を国内外から招聘して行っている講演形式のセミナーで、年数回開催している。セミナーの後に懇親会を開いて、講師との親睦を深めている。
「名古屋大学臨床小児科セミナー」の実例
第15回名古屋大学臨床小児科セミナー
講 師:Prof. Anton H. Sutor(Freiberg University)
演 題:Guideline for Treatment of ITP
第16回名古屋大学臨床小児科セミナー
講 師:Dr. Charlotte M. Niemeyer(Freiberg University)
症例検討会形式
第17回名古屋大学臨床小児科セミナー
講 師:Prof. Mirko Diksic(McGill University)
演 題:A study of the brain monoaminergic systems using PET
第18回名古屋大学臨床小児科セミナー
講 師:Dr. Tong Wu(北京大学)
演 題:Haploidential Hematopoietic Cell Transplantation (HCT) Compared with Matched HCT from Family Donors: Report of 216 Cases
B 名古屋大学小児科関連病院臨床症例検討会
関連病院を中心とした検討会であり、毎回1つのテーマを決め、その疾患・病態について議論を深めている。年に2回開催されている。
「名古屋大学小児科関連病院臨床症例検討会」の実例
第43回名古屋大学小児科関連病院臨床症例検討会
テーマ:小児の疾病とサイトカイン
世話人:岡崎市民病院小児科
第44回名古屋大学小児科関連病院臨床症例検討会
テーマ:ウイルス感染症の合併症
世話人:トヨタ記念病院小児科
C 木曜会
関連病院から治療、診断に難渋している症例、希有な症例、若手医師の教育上有益と思われる症例を自由にもちよるインフォーマルな症例検討会で、2カ月に1回、木曜日の夕刻に名古屋大学小児科の医局で行われる。なお、2ヶ月間に名古屋大学医学部附属病院に入院した症例の紹介もおこなう。
「木曜会」の実例
場 所:名古屋大学小児科医局
症 例:
(1)ガストログラフィン注腸による広節裂頭条虫の駆虫について難治性ITPの1例
(2)好中球減少症の1例
(3)高度の肝機能障害を来した川崎病不全型(?)の1例
(4)メッケル憩室が消化管穿孔の原因であった新生児の1例
(5)名大病院入院患者提示
D 名古屋大学小児科関連病院新生児カンファレンス
関連病院臨床症例検討会と同様に毎回1つの新生児領域におけるテーマを決め、その疾患・病態について議論を深めている。年に2回開催されている。
「名古屋大学小児科関連病院新生児カンファレンス」の実例
第9回関連病院新生児カンファレンス
テーマ:早産児・低出生体重児の栄養管理
世話人:名古屋第一赤十字病院 総合周産期母子医療センター
第10回関連病院新生児カンファレンス
テーマ:新生児脳障害、けいれんについて
世話人:大垣市民病院 新生児科
E 初心者向け勉強会
後期研修中の医師を対象とした教育プログラムである。小児科の各分野の基本的な知識をレクチャーする。1年間に4回(8項目)を行う。
「初心者向け勉強会」2006年度予定分
・最新の喘息の治療 −新ガイドラインをふまえて−
・頭部の画像診断 −頭部CT、MRIの読み方
・心電図の読み方 −重要な不整脈の診断と治療
・予防接種 −MRワクチン、逸脱した児のスケジュール−
・小児の内分泌的検査 −検査値の解釈と診断・治療−
・血算の読み方
・脳波の読み方
・先天性心疾患について
F 超初心者向け新生児勉強会
関連病院の若手医師、看護師を対象として、新生児医療の基本的な知識をレクチャーする勉強会である。1年間に4回行われる。
「超初心者向け新生児勉強会」2006年度予定分
・輸液・栄養について
・呼吸管理について
・蘇生について
・低出生体重児の管理について
G 初心者向け講習会
小児医療のトピックスについて、その分野の第一人者の講師を招いて、若手医師を対象とした講演を行っている。1年に2回行われる。
「初心者向け講演会」の実例
最新のPALSについて −ガイドライン2005をふまえて−
国立成育医療センター 集中治療科 中川聡先生
小児科臨床研修の中で名大病院研修をおこなう意義は、大学教官・医員・大学院生とのつながり(縦のつながり)と同世代のつながり(横のつながり)を形成することと、各研修病院間の治療の標準化を図ること、国際化への導入、研究への導入である。また、研修病院で経験できなかった症例を経験して、小児科専門医取得のための研修を補完することも目的の1つである。短い研修期間であるが、有意義な研修であると確信している。
・ 研修時期・研修期間:
原則として卒後4〜5年(小児科医として3〜4年目)に、6〜12カ月間おこなう。
・ 研修方法:
Aグループ(血液・腫瘍)、Bグループ(神経、アレルギー、ウイルス、免疫、循環器)、Cグループ(新生児)の各診療グループをローテーションする形式をとる。各グループのローテーションの期間は、研修病院における研修内容を考慮して決定する。
・ 学会発表:
研修期間中に、日本小児科学会東海地方会をはじめ、各分野の学会、研究会にて研究発表、症例報告をおこなう。
・ 名大病院研修における主な教育関連行事:
@ 新入院患者プレゼンテーション/教授回診
毎週木曜日の午後1時から病棟5階の教育スペースで、1週間の新入院患者の症例提示をおこない、その後に5E病棟(小児内科病棟)の教授回診をおこなう。これらを通じて、「症例提示の技術向上」と「各研修病院における治療の違いの標準化」を行う。また、外国人留学生、外国人研修生が参加する場合は、英語による症例提示、討論をおこない、国際化に対応できる小児科医の育成を行っている。
A 医局抄読会
教官と大学院生が中心となり、Science、 Nature、Cellに掲載されている論文の抄読会を1カ月に1回おこなっており、分子生物学的分野のトピックスについての知識を深め、基礎研究へのexposureを図る
B 入院患者症例検討会
教授回診に引き続き、臨床実習の医学部学生を交えて、隔週毎に小児科医局で行っている。入院患者の中から教育的な症例を取り上げて、1症例に1時間と十分な時間をかけて症例検討を行っている。臨床診断に至る過程や鑑別診断を重視したカンファレンスである。
C 関連病院臨床研究
「関連病院臨床研究ワーキンググループ」が中心となり、日常診療で比較的よく診る疾病を対象とした臨床研究を立ち上げている。研修期間中にワーキンググループに参加をして、臨床研究の企画、運営についての方法論を習得する。
D 大学院研究発表会
大学院重点化後は大学院生が小児科医局の半数以上を占め、学外を含め研究活動を行っている。これら大学院生の研究の進行状況および各研究室間での情報交換を目的として、隔月毎に大学院研究報告会を行っている。大学院生は各自の研究の背景、方法論、研究過程について関連病院の医局員を含む公開の場で研究発表をおこなう。
E 全国学会・国際学会報告会
各研究室の最新の成果を報告することで、医局員全体に各分野の研究の動向を紹介し、知識の共有を図ることを目的として隔月毎に学会報告会を行っている
・ 各診療グループの診療の特徴について
<血液研究室>
再生不良性貧血や白血病/悪性リンパ腫といった血液疾患に加えて、神経芽細胞腫やウイルムス腫瘍、脳腫瘍や骨肉腫など固形腫瘍の患者が入院している。これらの疾患に対して、集学的治療を目指し、化学療法や造血幹細胞移植を行っている。2005年では、造血幹細胞移植は骨髄バンクドナーからの非血縁者間骨髄移植7例、非血縁臍帯血移植3例、血縁者間骨髄移植9例、自家末梢血幹細胞移植6例の計25例の実績である。外来では、ファンコニ貧血や先天性好中球減少症(Kostmann, myelokathexis)などの稀な疾患や原因不明の貧血、骨髄不全症候群の患者が紹介されてくる。また、研究と臨床が直結した研究を目指しており、再生不良性貧血や若年型慢性骨髄性白血病発症のモデル動物の作成、白血病発症に関与するGATA1やPTPN11遺伝子解析、造血幹細胞移植後のウイルス感染症の解析、ウイルス特異的細胞障害性Tリンパ球の体外増幅等の臨床研究が進行している。特に今年度は、高度先進医療開発経費で建設したセルプロセッシングセンターがISO9001、ISO13485を取得したことから、本格的な稼動が予定されている。造血細胞移植の治療成績の向上を目指した細胞療法の実施が計画されている。
<アレルギー研究室>
診療所/市中病院/保健所等から「難治」として紹介されてきたアレルギー疾患患者(喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹など)を中心に診療している。しかし、真の難治症例は少なく、症状把握を正確に行い、それに基づいて標準的な治療を提供することで多くの症例で良好な治療結果が得られている。
<ウイルス研究室>
難治性ウイルス疾患(慢性活動性EBウイルス感染症、亜急性硬化性全脳炎など)の治療と肝炎(特にウイルス性)に対する診断(肝生検)、治療(インターフェロン)を中心とした診療を行っている。また、様々なウイルス感染症の遺伝子診断を行っており、特に臓器移植患者(生体肝移植症例)、造血幹細胞移植患者に対するウイルスモニタリングシステムと早期治療システムは他施設にはない先端的医療である。
<神経研究室>
外来患者では難治てんかんの症例が圧倒的に多く、一般病院の患者層とは著しく異なっている。また、市中病院では実施が難しい精密な神経生理学的検査を施行している。特に、発作時ビデオ脳波同時記録は年間100例程の実績がある。臨床教育面では、「小児脳波入門」を行っており、小児脳波が判読できるように指導をしている。また、神経学的所見のとりかた、てんかん患者への問診などの指導も行い、小児神経疾患に対する理解を深められるようにしている。
<新生児研究室>
集学的周産期医療が必要な症例が多い。具体的には、胎児診断がついている先天性横隔膜へルニアや胎児水腫などの症例を産科とともに胎児期から管理をしている。特に先天性横隔膜へルニアには力をいれており、2005年では9例の治療実績があり、国内でも有数の症例数である。また、早産児のみならず、小児外科症例、脳神経外科症例、重症の未熟児網膜症症例など多彩な疾患を研修することができる。
<免疫研究室>
本研究室では詳細な免疫検査や遺伝子診断を行うことが可能である。自ら行うことにより、迅速に結果を得ることができ、外来患者、病棟患者の診断及び治療に役立てている。 また、本邦においての原発性免疫不全症の診断、治療、研究はパイオニア的存在であり、症例の集積は国内ではトップレベルである。臨床診断、遺伝子診断、治療と一貫して行える国内でも数少ない施設の1つである。
<循環器研究室>
主として先天性心疾患の診断やフォロー、胎児心エコーなどをおこなっている。先天性心疾患児の中には心疾患以外の合併症をもつ場合もあるため、他科や他施設との共同で効果的な医療を行うようにつとめている。
・ 各診療グループの症例検討会、勉強会などのスケジュール
<血液研究室>
症例検討会:毎週火曜日(午後4時00分〜)
研究カンファレンス:毎週火曜日(午後6時00分〜)
血液標本検討会:毎週木曜日(午前11時00分〜12時00分)
抄読会:毎週火曜日(午前8時15分〜)臨床的内容に関する文献について
毎週水曜日(午前8時00分〜)基礎的内容に関する文献について
毎週木曜日(午前8時00分〜)総説について
<アレルギー研究室>
症例相談受付:隔週月曜日(夕方)
勉強会:隔週月曜日(午後6時30分〜)あいち小児保健医療総合センターと合同
<ウイルス研究室>
症例検討会:毎週水曜日(午後6時00分〜)
抄読会:毎週水曜日(午後7時00分〜)
<神経研究室>
症例検討会:毎週月曜日(午後5時00分〜)
発作時脳波検討:毎週月曜日(症例検討会の後)
抄読会:毎週月曜日(午後6時00分〜)
画像判読・輪読会:毎週木曜日(午前8時00分〜)
関連病院合同若手勉強会:1〜2ヶ月に1回(午後7時30分〜)
<新生児研究室>
症例検討会:毎週月曜日(午後6時30分〜)
周産期カンファレンス:隔週金曜日(午後6時00分〜)産科と合同
抄読会:毎週火〜金曜日(午前8時00分〜)
<免疫研究室>
症例検討会:不定期(必要に応じて行っている)
勉強会:毎週1回
研修中は、様々な疾病を偏りなく経験することが重要である。研修中に経験するべき症候・疾患については、日本小児科学会が発行している「小児科専門医 臨床研修手帳」の19〜37頁に記載がある。平成21年以降は小児科専門医試験に際して、「小児科専門医 臨床研修手帳」の提出が義務づけられるため、「小児科専門医 臨床研修手帳」を利用して、経験した症候・疾患を記録しておくことが必要である。
臨床研修では、自己評価を行うことが必要である。同時に指導医評価を行うことで、研修内容の見直しがはかられる。研修の自己評価、指導医評価についても日本小児科学会が発行している「小児科専門医 臨床研修手帳」の8〜9頁、12〜17頁に記載があるため、それを利用することとする。
「小児科専門医 臨床研修手帳」は、小児科研修を開始する際に、各施設の責任者から配布をしてもらうこと。
VI.専門医取得プログラム
小児科の専門医制度には、小児科専門医のほかに小児科各分野に専門医制度が存在する。小児科初期研修の目的のひとつに、小児科専門医を取得後にサブスペシャリティーを育成することがあげられる。本学小児科での研修プログラムに、各専門分野における専門医制度に関する情報を提供するので、各分野の専門医取得に利用していただきたい。
@ 小児科専門医制度
名 称:小児科専門医
専門医認定学会:日本小児科学会(http://www.jpeds.or.jp/)
概 要:日本小児科学会が認定する。従来の認定制度より、2002年に小児科専門医制度を新たに施行した。小児科専門医は小児保健を包括する小児医療に関してすぐれた医師を育成することにより、小児医療の水準向上進歩発展を図り、小児の健康の増進および福祉の充実に寄与することを目的とし、所定の卒後研修を終了した会員に対し、試験を実施し、資格を認めている。資格は5年ごとに審査のうえ更新される。
※平成18年までは従来の認定医制度を実施。平成14年から18年に認定医になったものは、登録された以降の1年間以上の職歴、研修内容を添付して試験運営委員会に申請する。試験運営委員会で審査し、専門医に相当する5年以上の研修期間を終了したと認められるものを合格とし、理事会で承認を受ける。
必要条件:
A)試験当日に学会会員であり、学会会員歴が引き続き3年以上、もしくは通算して5年以上であるもの。
B)2年間の卒後臨床研修を受け、その後さらに小児科専門医制度規則第15条に規定する小児科臨床研修を3年以上受けたもの。もしくは小児科臨床研修を5年以上受けたもの。
a)小児科初期研修認定施設に必要な専門医:人数等は規定なし
b)名大関連での専門医認定施設
・専門医認定施設
名古屋大学医学部附属病院、国立病院機構名古屋医療センター、春日井市民病院、岡崎市民病院、公立陶生病院、碧南市民病院、名古屋第一赤十字病院、名古屋掖済会病院、社会保険中京病院、トヨタ記念病院、愛知県厚生農業協同組合連合会加茂病院、愛知県厚生農業協同組合連合会昭和病院、労働福祉機構中部労災病院、愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院、愛知県心身障害者コロニー中央病院、国家公務員共済組合連合会名城病院、あいち小児保健医療総合センター、大垣市民病院
c)小児科専門医を取得するための過程や取得時期:
研修は5年間で、専門医認定施設での研修となる。
d)小児科専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
2年の臨床研修に引き続いて、小児科の指定研修施設で3年間小児科研修。小児科に入局後は、早期に日本小児科学会に所属し研修を開始する。
(学会会員歴が継続3年以上であることが必要であるが、学会費の滞納があると認定医取得がおくれる場合があるため、学会費の滞納には注意すること。)
以下の各項目を各分野の専門医制度につき詳述する。最新の情報については記載してある学会ホームページを参照されたい。
専門医(認定医)の名称、認定学会、取得必要条件
a)専門研修認定施設に必要な専門医(認定医)
b)名大関連での専門医(認定医)認定施設と専門医(認定医)・指導医の人数
c)名大関連病院ごとの特徴(*この際の名大関連とは、関係する研修可能な施設を含む)
d)各分野専門医(認定医)を取得するための過程や取得時期
e)各分野専門医(認定医)を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
<日本小児血液学会> *小児がんに関して専門医(認定医)制度は現在準備中。
名称:日本血液学会専門医(小児科)
専門医認定学会:日本血液学会(http://www.jshem.or.jp/)
必要条件:
・小児科認定医取得後、日本血液学会の認定施設で臨床血液学の研修を3年
・日本血液学会の会員歴3年
・臨床血液学に関する学会発表または論文が2つ以上
・受け持ち入院患者のうち10名の診療実績記録の提出。症例は3領域(赤血球疾患、白血球疾患、出血血栓性疾患)のそれぞれにおいて少なくとも2例を含む)
・専門医認定試験あり
a)専門研修認定施設に必要な専門医:
・認定施設のための専門医の人数の規定はない
・認定施設として毎年書類審査あり
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:(日本血液学会認定の名大小児科関連病院)
名古屋大学医学部附属病院、名古屋第一赤十字病院、国立病院機構名古屋医療センター、愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院、岡崎市民病院、名鉄病院、名古屋記念病院、愛知県厚生農業組合連合会昭和病院、常滑市民病院、社会保険中京病院、トヨタ記念病院、名古屋掖済会病院
・専門医:
名古屋大学医学部附属病院 小児科 小島勢二
国立病院機構名古屋医療センター 小児科 堀部敬三
名古屋第一赤十字病院 小児科 加藤剛二
愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院 小児科 宮島雄二
名鉄病院 小児科 福田 稔
・指導医:
名古屋大学医学部附属病院 小児科 小島勢二
国立病院機構名古屋医療センター 小児科 堀部敬三
c)名大関連病院ごとの特徴
・名古屋大学医学部附属病院:再生不良性貧血・神経芽細胞腫を中心として、広範な難治性の血液・腫瘍疾患をカバーする。症例も多数。幹細胞移植症例数:25例(2005年)。全国大学附属病院の小児科の中では最も多い。再生不良性貧血治療研究会の全国事務局。単一施設での小児再生不良性貧血の治療症例数は世界有数。血液・腫瘍に関する臨床から基礎的研究まで施行。ヒトへの細胞治療を可能にするGMP基準に合致したセルプロセッシングセンターを併設。
・名古屋第一赤十字病院:各種の難治性の造血幹細胞移植を歴史的に数多く手がけており、特に累積移植症例数は全国屈指。また急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、固形腫瘍、非腫瘍性の血液疾患の豊富な症例数を有する。
・国立病院機構名古屋医療センター:厚生労働省が指定する血液・造血器疾患分野の高度専門医療施設であり、小児科においても急性リンパ性白血病・悪性リンパ腫・固形腫瘍を初めとして、広範な血液・腫瘍疾患が多数症例あり。附属の臨床研究センターには、日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のデータセンターがあり、全国から小児造血器腫瘍のデータが登録集計されている。
・愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院、岡崎市民病院、名鉄病院:症例数は上記3病院と比較して少ない。
d)各分野専門医を取得するための過程や取得時期
・小児科専門医取得後、3年以上の認定施設での研修が必要。臨床では研究的な考え方も必要であるため、大学院入学を勧めている。大学院在学中に小児科専門医の資格を取得していれば、最短で大学院修了時に血液専門医の受験資格を得ることも可能である。
・大学院コース:最初の半年〜1年間は大学で臨床研修を行い、残りの期間は診療フリーで研究に専念する。従来型のコース。
・社会人大学院コース:大学(身分は医員に準ずる)あるいは関連施設(名古屋第一赤十字病院、国立病院機構名古屋医療センターなど)で、血液学の分野で3年以上の臨床経験を積み、さらに6ヶ月から1年の研究期間で業績をまとめ、学位を取得して専門医試験を受験するコース。
なお、大学院終了後、専門医を取得した後は海外留学、血液専門施設への就職、教官への任用、等の道が開かれている。
<日本小児アレルギー学会>(http://www.iscb.net/JSPACI/)*現在2階建制度へ移行中
名称:日本アレルギー学会専門医 「日本アレルギー学会専門医(小児科)」
専門医認定学会:日本アレルギー学会(http://www.js-allergol.gr.jp/)
必要条件:
・認定教育施設において通算2年以上の入院患者の診療に従事していること。
・定期的な外来診療をおこなっていること。
・アレルギー疾患患者100例以上の診療実績があること。
・「小児科専門医、日本アレルギー学会の会員歴7年」(検討中)
a) 専門研修認定施設に必要な専門医:
日本アレルギー学会認定指導医1名以上が常勤
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・関連病院における専門医認定施設:
名古屋大学医学部附属病院、あいち小児保健医療総合センター、
藤田保健衛生大学
(小児科専門医に関して、当面は専門医認定施設での研修は要求されない)
・専門医:
名古屋大学医学部附属病院 小児科 坂本龍雄
あいち小児保健医療総合センター アレルギー科 伊藤浩明
労働福祉機構中部労災病院 小児科 山田政功、鈴木聖子
名古屋掖済会病院 小児科 伊藤和江
碧南市民病院 小児科 土井 悟
公立尾陽病院 小児科 菊池 哲
公立陶生病院 小児科 森下雅史
・指導医:
あいち小児保健医療総合センター 伊藤浩明
労働福祉機構中部労災病院 小児科 山田政功
c)名大関連病院ごとの特徴
専門医研修の可能な施設は、指導医が勤務するあいち小児保健医療総合センターのアレルギー科のみ。
d)各分野専門医を取得するための過程や取得時期
小児アレルギーの指導医が在籍する施設(名大関連ではあいち小児保健医療総合センターのみ)で少なくとも1年間の臨床研修を行ったうえで、できれば2年以上の研究活動を経験する(名大関連では名古屋大学大学院のみ)。
e)各分野専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・大学院入学コース:1年間を小児アレルギー専門研修にあてることが望ましい。この場合研修が可能な関連施設は、関連病院内ではあいち小児保健総合医療センターのみであり、他県への国内研修が必要な場合がある。
・社会人大学院コース:あいち小児保健総合医療センターに身分を置き、1年間大学に帰局するコースのみ有用と思われる。大学内の医員のポストについては研究にも参加するコースはアレルギーグループには認められていない。
・大学院以外のコース:一般小児科研修が終了した後すみやかに2年間の小児アレルギー専門臨床研修にあてることが望ましい。診療・スタッフの規模、身分保障等を考慮すると、これにふさわしい研修施設は関連病院内になく、成育医療センター、国立病院機構福岡病院などへ国内研修が必要となる。
名称:日本感染症学会専門医
専門医認定学会:日本感染症学会(http://www.kansensho.or.jp)
必要条件:
・小児科専門医認定後6年以上、日本感染症学会の会員歴5年
・感染症の臨床に関して筆頭者としての論文発表1篇、学会発表2篇、計3篇
・認定試験あり
a)専門研修認定施設に必要な専門医:規定なし
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:規定なし
・専門医:
名古屋女子大学家政学科 磯村思无
名鉄病院 小児科 岩井直一
愛知県厚生農業協同組合連合会昭和病院 小児科 尾崎隆男
社会保険中京病院 小児科 柴田元博
一宮市立尾西市民病院 小児科 成瀬 宏
名称:日本小児神経学会専門医
専門医認定学会:日本小児神経学会(http://www.yo.rim.or.jp/~JSCN/jscnhome.html)
必要条件:
・小児科専門医、日本小児神経学会の会員歴5年
・症例要約30症例と症例詳細報告5例
・筆記試験・面接あり
・日本小児神経学会総会・地方会に出席した合計が20単位以上
a)専門研修認定施設に必要な専門医:1名以上の専門医が必要
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:規定なし
・ 専門医
愛知県心身障害者コロニー中央病院 小児神経科
松本明子、熊谷俊明、三浦清邦、中村みほ
あいち小児保健医療総合センター 神経科 糸見和也
愛知県更生農業協同組合連合会加茂病院 小児科 梶田光春、石原尚子
青い鳥医療福祉センター 麻生幸三郎、羽賀淑子
岡崎市民病院 小児科 早川文雄、鈴木基正
市立半田病院 小児科 中島佐智恵
総合病院南生協病院 小児科 鬼頭正夫
名古屋第一赤十字病院 小児科 丸山幸一
名古屋大学医学部附属病院 検査部 根来民子
名古屋大学医学部附属病院 小児科 夏目 淳
三菱名古屋病院 植村直子(非常勤)
名古屋記念病院 小児科 祖父江文子
愛知県更生農業協同組合連合会安城更生病院 小児科 久保田哲夫
c)名大関連病院ごとの特徴
・名古屋第一赤十字病院:脳症やけいれん重積などの急性期疾患も、脳性麻痺・てんかんなどの慢性疾患も多い。MRI、PETなど神経画像を用いた研究が可能である。NICUを持つため新生児脳波の記録も多い
・岡崎市民病院:脳症やけいれん重積などの急性期疾患も、脳性麻痺・てんかんなどの慢性疾患も多い。新生児脳波を始めとする新生児神経学に力を入れて臨床・研究を行っているほか、サイトカインと中枢神経疾患との関連や、神経画像についても臨床・研究で実績がある。
・愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院:新生児神経の症例数は関連病院中で最多である。脳症やけいれん重積などの急性期疾患も、脳性麻痺・てんかんなどの慢性疾患も多い。新生児神経学に最も重点をおいて臨床・研究を行っているが、てんかんや神経画像の分野でも実績が多い。
・愛知県心身障害者コロニー中央病院:重度の障害児が多く、障害児の包括的ケアを研修するのに向く。また、関連病院の中で筋疾患の研修ができる唯一の病院である。また、先天異常児も多く、遺伝性疾患についての研修も可能である。研究面では愛知県心身障害者コロニー内の研究所とのコラボレーションができる可能性がある。
・青い鳥医療福祉センター:愛知県心身障害者コロニー中央病院よりもさらに療育施設としての性格を持つ。障害児医療に接して理解する機会になると思われる。
・あいち小児保健医療総合センター:地域の中心施設として、先天異常からてんかんまで多くの症例が集まりつつある。今後は研修施設として機能できる可能性が高いが、現在は常勤スタッフ1名であり、十分な研修が困難である。常勤が2名確保できれば、偏りなく研修するのに良い施設になると思われる。
d)各分野専門医を取得するための過程や取得時期
初期研修病院での研修内容にもよるが、小児科専門医を取得後2〜3年程度名古屋大学医学部附属病院か、上記のような研修に適した病院でのトレーニングが必要であると思われる。
専門医取得に関しては、1ヶ所の病院である程度の期間研修すれば何とかなると思われるが、小児神経科医としてはneurologically sick children, neurologically handicapped childrenの偏りなく診療できることが望まれるため、2〜3ヶ所の研修施設で診療に従事するのが理想であろう。
e)各分野専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・大学院に進学する場合:最低1年は名古屋大学医学部附属病院での臨床業務に従事する。代務で神経外来を継続的に担当する。
・大学院に進学しない場合:上記のような研修に適した病院で2〜3年研修するか、名古屋大学医学部附属病院で医員として臨床業務を行う。
・神経研究室としては、指導できる医師を適当な病院に配置することが必要と考えており、NICUのある病院すべてに指導力のある医師を最低1人、できれば複数配置したい。複数を配置する理由は、神経疾患の診療においては複数の目で見て客観性・妥当性を確保する必要があるからである。脳波の判読ひとつをとっても、一人で行っていると偏りができてしまうのは避けられない。
名称:周産期新生児専門医
専門医認定学会:日本周産期・新生児医学会(http://plaza.umin.ac.jp/%7Eneonat/)
必要条件:
・日本小児科学会専門医
・日本周産期・新生児医学会会員歴が3年以上
・認定研修施設における3年間の研修(6カ月は指定された基幹病院での研修が必須)
・学会が認める周産期医学,周産期医療に関連する原著論文 1 編以上を筆頭著者として査読制度のある雑誌に発表していること。
・学会が認める周産期医学関連学会に所定の回数,参加し,かつ筆頭演者として発表を行っていること。
・筆記試験あり
a)専門研修認定施設に必要な専門医:
・1名以上の指導医が必要
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・暫定期間中のため、専門医認定は平成19年以降となる。指導医は日本周産期・新生児医学会の専門医委員会が選考した暫定指導医である。
・研修認定施設:
基幹施設:名古屋第一赤十字病院総合周産期母子医療センター
愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院小児科
大垣市民病院第二小児科(小児循環器・新生児科)
指定施設:名古屋大学医学部附属病院周産母子センター、公立陶生病院小児科、トヨタ記念病院周産期母子医療センター、岡崎市民病院小児科、愛知県心身障害者コロニー中央病院新生児科
補完施設:半田市立半田病院小児科
・指導医(暫定指導医):
名古屋第一赤十字病院 総合周産期母子医療センター 鈴木千鶴子
愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院 小児科 小川昭正
大垣市民病院 第二小児科(小児循環器・新生児科) 大城 誠
名古屋大学医学部附属病院 周産母子センター 早川昌弘
公立陶生病院 小児科 家田訓子
トヨタ記念病院 周産期母子医療センター 岡田純一
岡崎市民病院 小児科 早川文雄
愛知県心身障害者コロニー中央病院 新生児科 山田恭聖
c)名大関連病院ごとの特徴
・名古屋第一赤十字病院総合周産期母子医療センター:愛知県が認定する総合周産期センターである。年間500症例を超える入院実績がある。超低出生体重児をはじめ、周産期管理が必要な症例が豊富である。
・愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院:年間30例ちかくの超低出生体重児の入院実績がある。専門医研修における基幹病院であり、西三河地区の中心的病院に位置づけられる。
・大垣市民病院:超低出生体重児をはじめとして、重症新生児の症例がおおい。小児循環器科があるため、先天性心疾患の症例も豊富である。岐阜県において、新生児、小児循環器、新生児外科の部門がそろっている唯一の病院である。
・名古屋大学医学部附属病院周産母子センター:周産母子センターとして、集学的周産期医療を行っている。胎児診断された新生児外科疾患症例が豊富であり、特に先天性横隔膜ヘルニア症例は増加しつつあり、成績も良好である。一酸化窒素吸入療法、体外式膜型人工肺を用いる症例もおおく、三次救命の研修が可能である。また、関連施設のまとめ役的存在であり、関連施設からのデータ管理、分析などもおこなっている。
・愛知県心身障害者コロニー中央病院新生児科:愛知県内唯一の新生児搬送専用救急車を持ち、県内外から年間約400例の入院がある。超低出生体重児の治療を始め脳低体温療法、体外式膜型人工肺、人工透析、一酸化窒素吸入療法など新生児の集中治療を全て学ぶことができる。
・岡崎市民病院、トヨタ記念病院、公立陶生病院:地域の周産期センターであり、超低出生体重児をはじめとする診療実績は優れている。
・関連病院内のデーターベースを構築し、インターネットを利用して関連施設間で情報を共有している。超低出生体重児の登録については、関連施設全体で年間100例の超低出生体重児の入院登録があり、臨床研究にあたり十分な症例数が用意されている。
d)各分野専門医を取得するための過程や取得時期
・研修期間は3年間
・基幹研修施設または指定研修施設・補完研修施設で研修となる。
・3年間の研修期間のうち、6ヶ月は基幹病院(名古屋第一赤十字病院・愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院・大垣市民病院)での研修が義務付けられている。
e)各分野専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・小児科初期研修終了後(小児科専門医取得後)に、研修可能な施設に勤務をして、専門医研修を開始する。研修中、最低6カ月は基幹病院へ赴任することとする。
・関連施設で研修群を構成して、効率的な研修ができるように、新生児研修プログラムを整備中で、施設間における研修内容の違いを極力少なくする努力を行っている。
<日本小児循環器学会> *小児循環器専門医制度を検討中 (http://jspccs.umin.ac.jp/)
名称:日本循環器学会専門医
専門医認定学会:日本循環器学会(http://www.j-cire.or.jp/)
必要条件:
・小児科専門医、日本循環器学会の認定施設で3年、会員歴6年
・循環器疾患について30症例。手術所見と剖検例をあわせて3例
・認定試験あり
・喫煙が心血管病の危険因子であることを認識し、禁煙の啓発に努めるもの
a)専門研修認定施設に必要な専門医:専門医制度なし
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数:専門医制度なし
c)名大関連病院ごとの特徴
・大垣市民病院:ベッド数は888で西濃地域40万人の救命救急医療、第三次医療を担っている。当科は循環器、新生児領域に特化した小児科で15床のNICUを有している。医師は小児循環器3、新生児4、3〜4年目小児科ローテーター複数名から構成されている。新生児先天性心疾患の治療、カテーテル治療、小児の不整脈の診断などを中心に周産期から高齢者まで循環器疾患に対応が可能である。 2005年の実績は小児心カテ数129、カテーテル治療46、先天性心疾患手術64(開心術50)である。
・名古屋第一赤十字病院:周産期センターがある為に、胎児期からの心疾患の診療に関わることも多く、出生前からの心疾患管理を学ぶことができる。この領域は胎児心臓病学として発展途上である。また新生児全員の心疾患スクリーニングエコーを行っているため、エコー診断も容易に習得することができる。勿論、外科治療も行っているので、自分で診断した心疾患の一貫した経過を理解することが可能である。2005年実績は小児心カテ数約90、カテーテル治療約10、先天性心疾患手術75件である。外科治療については新生児の手術数が17件、低出生体重児が24件とNICUがあるため低出生体重児が多く、また、心臓以外の疾病を合併した子が多いのが特徴といえる。
・あいち小児保健医療総合センター:2003年4月から心カテや手術が始まり、開院以来患者数は順調に増加している。2004年度の心カテ数228件、心臓手術122件、2005年度の心カテ数270件(予定)心臓外科の手術も130件(予定)の実績がある。心エコー検査も年間3000件以上、ホルター心電図も年間500件を超している。先天性心疾患だけでなく不整脈や心筋症などにも力を入れており、小児循環器疾患全体がきっちり診療できることを目標とした教育を行っている。学会活動も活発に行うように心掛け、2005年度、2006年度とも学会発表が約50題(含共同演者)、紙上発表約20(含共著)あり、新知見の積極的な発表を行っている。
・名城病院:古くから小児心臓病患者に対して取り組んできているため、経過の長く成人に達した患者が多いことが特徴である。現在、今後の課題となる成人先天性心疾患の患者さんに心臓外科、内科、脳外科、産婦人科、整形外科等様々な科と連携して治療、経過観察に当たっている。また、不整脈管理、カテーテル治療等もおこなっている。心カテ件数は50件程度、先天性心疾患手術15件程度である。
・社会保険中京病院:対象患者は8割が先天性心疾患で、他2割が川崎病、心筋症などの後天性心疾患、不整脈などである。開設以来東海地区最多の手術を行っており、現在は年150例前後の手術数です。心臓カテーテル検査は心エコーや3DCTの進歩とともに減らせており、かつては年間400例でしたが現在は280例前後となった。それに反してカテーテル治療数が増加し、昨年は59例施行した。その実績から心房中隔欠損症に対するカテーテル治療可能の施設認定を受け、2006年4月の保険収載以後本格的に開始する予定である。胎児から成人までの成育医療にも力をいれており、胎児心エコーを年間約20例に行い、産科と協力し早期に治療体制を作ることに貢献している。年々増える成人先天性心疾患には心臓外科や、循環器内科などと協力して診療にあたっている。とくにこの分野で増加している、不整脈のカテーテル焼却術が可能になり治療に幅が増えてきた。
<日本先天代謝異常学会>(http://www1.neweb.ne.jp/wa/jikei-ped/jsimd2.html)
名称:日本人類遺伝学会専門医
専門医認定学会:日本人類遺伝学会(http://www6.plala.or.jp/jshg/)
必要条件:
・小児科専門医不要(無関係)
・日本人類伝学会が指定した研修施設・関連施設において3年以上の臨床研修
・会員歴が連続3年以上
・遺伝医学に関係した筆頭者としての学会発表または論文が2編以上
a)専門研修認定施設に必要な専門医:規定なし
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:規定なし
・専門医:名大関連病院にて該当者なし
<日本小児腎臓病学会>(http://nephron.med.tohoku.ac.jp/jspn/)
名称:日本腎臓学会認定医(小児科)
専門医認定学会:日本腎臓学会 (http://www.jsn.or.jp/jsn_new/index.html)
必要条件:
・小児科専門医であること
・5年継続をして日本腎臓学会の会員であること
・日本腎臓学会が指定する研修施設において研修を3年以上行っていること
・所定の経験症例の記録及び要約の提出が可能であること
a)専門研修認定施設に必要な認定医:
・指導医1名以上および認定医1名以上が常勤。
・身体障害者福祉法の規定による更生医療担当医療機関(腎機能障害)として指定。
・医療法で定める特定機能病院、総合病院または日本腎臓学会が認めた透析療法の研修施設として適切な有床施設であること。
b)名大関連での認定医認定施設と認定医・指導医の人数
・認定医認定施設:(日本腎臓学会認定施設)
名古屋大学医学部附属病院、中部労災病院、春日井市民病院、岡崎市民病院、名古屋第一赤十字病院、愛知県厚生農業組合連合会愛北病院、愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院、社会保険中京病院、国家公務員共済組合連合会名城病院、名古屋掖済会病院、トヨタ記念病院
・腎臓指導医:
社会保険中京病院 小児科 都築一夫
・腎臓専門医:
名古屋大学大学院 成長発達医学 上田典司
社会保険中京病院 小児科 都築一夫
名古屋第一赤十字病院 小児科 月舘千鶴子
碧南市民病院 小児科 野口弘道
c)名大関連病院ごとの特徴
・社会保険中京病院:小児の腎不全を多数例扱う。腎生検も多数例。腹膜透析のフォローアップ症例も多い。
・名古屋第一赤十字病院:小児の腎疾患を扱うが、病院が小児に関しては3次医療機関にあたるため、急性期に伴う腎疾患も多い。
d)各分野認定医を取得するための過程や取得時期
小児科専門医を取得後、日本腎臓学会が指定する研修施設において3年以上研修を施行する。
e)各分野認定医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・大学院以外のコース:小児科専門医を取得した後に、日本腎臓学会の指定する研修施設で3年間の研修を行う。なお、日本腎臓学会の会員歴が5年以上必要なため、腎臓を選考すると決めたら小児科の後期研修を行っているうちに日本腎臓学会に入会しておくことが望ましい。
・大学院入学コース:在学中は研究に専念し、その後、日本腎臓学会の指定する研修施設で3年間の研修を開始することになる。
・社会人大学院コース:日本腎臓学会の指定する研修施設に在籍しながら研究を行うことになる。
<日本小児内分泌学会>(http://edpex104.bcasj.or.jp/jspe/)
名称:日本内分泌学会 内分泌代謝科(小児科)専門医
専門医認定学会:日本内分泌学会(http://square.umin.ac.jp/endocrine/index.html)
必要条件:
・小児科専門医
・継続4年以上の会員歴、研修期間6年以上
・内分泌代謝疾患臨床に関する学会発表、又は論文発表が5編以上あり、少なくとも 2編は筆頭者であること
a)専門研修認定施設に必要な専門医:規定なし
小児科に関しては、指導医および認定教育施設の整備が整っていないので、認定施設は特定していない
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:規定なし(平成20年まで)
・専門医
もりもり子供クリニック 小児科 森 理
労働福祉機構中部労災病院 小児科 立松 寿
・指導医
小川クリニック 小川正道
なごやかこどもクリニック 上條隆司
c)名大関連病院ごとの特徴
日本内分泌学会認定教育施設とはなっていないが、次の4病院で小児内分泌疾患の診療(入院)を行っている。
・岡崎市民病院小児科:甲状腺疾患や小人症などの診療を行っている。
・労働福祉機構中部労災病院小児科:糖尿病を含めた小児内分泌の診療。
・総合上飯田第一病院小児科:小人症の治療や性腺・副腎疾患の診療を行っている。
d)各分野専門医を取得するための過程や取得時期
小児科専門医取得後、3年以上の研修。認定された以外の施設でも、内分泌代謝疾患の臨床経験を十分に積み、かつ内分泌代謝科指導医の承認のある際には専門医の受験申請ができる(平成20年まで)。
e)各分野専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・特別なモデルコースは今のところ存在しないが、上記3病院を含んだ名大関連病院で専門医、指導医と連絡を取りながら小児内分泌疾患の経験をするのが一つの方法と考えられる。全国のこども病院や他大学で小児内分泌を学ぶという選択肢もありうる(国内留学)。また内分泌・遺伝の基礎研究も重要で、希望があれば、名大環境医学研究所・内分泌代謝部門(妹尾久雄教授)での研究も可能である。
・平成20年までには名古屋市で少なくとも一つは内分泌学会認定施設を作りたいと考えている。
<日本小児心身医学会>(http://jisinsin.umin.ac.jp/)*小児科では専門医制度なし
名称:日本心身医学会専門医
専門医認定学会:日本心身医学会(http://www.interq.or.jp/japan/shinshin/)
必要条件:
・小児科専門医不要(無関係)、
・日本心身医学会の認定施設で3年、会員歴3年
・心身医学に関する学会発表3回以上、学術論文3編以上
・学会(支部を含む)で主催した心身医学会講習を受講
a)専門研修認定施設に必要な専門医: 1名以上の指導医
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:なし
・専門医:現在のところ関連病院では不在
e)各分野専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・現行ではモデルコースを策定することは困難である。
・あいち小児保健医療総合センターにて独自の「心療科レジデント研修プログラム」がある。プログラムの詳細は、http://www.achmc.pref.aichi.jp/5010/5010.htmlを参照されたい。
<日本小児臨床薬理学会> *小児科では専門医制度なし。
名称:日本臨床薬理学会専門医
専門医認定学会:日本臨床薬理学会(http://www.jade.dti.ne.jp/~clinphar/)
必要条件:小児科専門医不要(無関係)
名称:臨床遺伝専門医
専門医認定学会:日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリング学会(http://www6.plala.or.jp/jshg/)
必要条件:
・小児科専門医を取得していることが望ましい
・日本人類遺伝学会または日本遺伝カウンセリング学会の会員歴3年以上
・臨床遺伝専門医制度委員会の認定施設で3年研修
・3年間に遺伝医学に関わる論文発表2編もしくは学会発表4回が必要
・30例の遺伝臨床経験の要約
・口頭試問・筆記試験あり
a)専門研修認定施設に必要な専門医:
・臨床遺伝専門医2名以上(うち1名は指導医)
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数(指導医は参考:他科)
・専門医研修認定施設
愛知県心身障害者コロニー
・専門医:
愛知県心身障害者コロニー中央病院 小児科 水野誠司
・指導医:
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 若松延昭(神経内科)
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 小笠原信明(生化学)
c)名大関連病院ごとの特徴
・愛知県心身障害者コロニー:コロニー中央病院では染色体異常の新患が年間50名、奇形症候群や遺伝性疾患の症例も豊富である。遺伝カウンセリングは年間約50名の来訪者があり、専門医取得に必要な症例や発表できる症例は十二分にある。また隣接する発達障害研究所で分子遺伝学、細胞遺伝学の基礎を学ぶことも可能である。
d)各分野専門医を取得するための過程や取得時期
・小児科の十分な基礎研修を終えておくと良い。研修指定施設に勤務できない場合は遺伝医学セミナーの参加などで受験は可能であるが、その場合も研修指定施設への登録は必要である。
・3年間に遺伝医学に関わる論文発表2編もしくは学会発表4回が必要。また遺伝カウンセリングもしくは遺伝臨床の経験(30例)の要約が必要。口頭試問(遺伝カウンセリングロールプレイ)と筆記試験がある。
・以前は小児科、産婦人科関係が大部分であったが、最近は内科、精神科の臨床医が増加している。小児科医の研修が望まれる。
e)各分野専門医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・研修開始届けを提出後、一定数の遺伝医療の実績を積む必要がある。
・愛知県心身障害者コロニーに勤務して遺伝医療に従事する。
・愛知県心身障害者コロニーで研修届けを提出後、遺伝医学セミナーに毎年参加。症例数の多い病院で勤務し、愛知県心身障害者コロニー非常勤などで実績を積む。
・国内他施設に短期留学する。
名称:日本東洋医学会専門医
専門医認定学会:日本東洋医学会(http://www.jsom.or.jp/html/index.htm)
必要条件:
・小児科専門医、日本東洋医学会の認定施設で3年、会員歴3年
・50症例の一覧及び、そのうち10症例の臨床報告提出
・認定試験(筆記試験、口頭試問)あり
a)専門研修認定施設に必要な専門医:規定なし
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設: 規定なし
・専門医:
公立陶生病院 小児科 山口英明
広瀬クリニック 広瀬滋之
<日本小児救急医学会> *小児では現在は専門医制度なし
名称:日本救急医学会専門医
専門医認定学会:日本救急医学会(http://www.jaam.jp/index.htm)
必要条件:
・小児専門医不要(無関係)
・日本救急医学会の認定施設で救急部門の専従医として3年
・会員歴3年、臨床経験5年
・筆記試験あり
<日本小児リウマチ学会> *小児では専門医制度なし
名称:日本リウマチ学会専門医
専門医認定学会:日本リウマチ学会(http://www.ryumachi-jp.com/)
必要条件:
・小児科専門医不要(無関係)
・認定教育施設での臨床3年、会員歴継続5年
B 小児科学会の専門分野ではないが、小児分野と関連がある専門医(認定医)
<日本てんかん学会> *小児・成人で共通
名称:日本てんかん学会認定医(臨床専門医)
専門医認定学会:日本てんかん学会(http://square.umin.ac.jp/jes/)
必要条件:
・小児科専門医不要(無関係)、現在てんかん診療に従事
・日本てんかん学会の研修認定施設で1年、会員歴5年
・種々の病型を含む50例の具体的なリストおよび症例詳細記述5例
・てんかんに関する論文(原則として臨床論文。最近10年間のもの5編、うち3編は筆頭著者としての臨床論文)。
a)専門研修認定施設に必要な認定医:規定なし
b)名大関連での認定医認定施設と認定医・指導医の人数
・認定医認定施設:学会が認定
・認定医
愛知県心身障害者コロニー中央病院 小児神経科 三浦清邦
愛知県青い鳥医療福祉センター 麻生幸三郎
公立尾陽病院 小児科 羽賀淑子
名古屋大学医学部附属病院 検査部 根来民子
名古屋大学医学部附属病院 小児科 夏目 淳
総合病院南生協病院 小児科 鬼頭正夫
c)名大関連病院ごとの特徴
・名古屋第一赤十字病院:てんかんの症例数は多い。夏目先生が画像解析の知識を持っており、研究も可能である。全般的に偏りなく研修できる可能性がある。
・岡崎市民病院:てんかんの症例数は多く、けいれん重積など多い。脳波や神経画像について臨床・研究で実績がある。全般的に偏りなく研修できる可能性がある。
・愛知県厚生農業組合連合会安城更生病院:てんかんの症例数は多い。周生期障害の合併症としてのてんかんの症例も多い。脳波や神経画像について臨床・研究で実績がある。全般的に偏りなく研修できる可能性がある。
・愛知県心身障害者コロニー中央病院:重度の障害児が多く、その合併症としてのてんかんが多い。
・あいち小児保健医療総合センター:てんかんの症例が集まりつつある。今後は研修施設として機能できる可能性が高いが、現在は常勤スタッフ1名であり、十分な研修が困難である。常勤が2名確保できれば、偏りなく研修するのに良い施設になると思われる。
d)各分野認定医を取得するための過程や取得時期
小児科専門医を取得後、1年の認定施設での研修を含め、2〜3年程度名古屋大学医学部附属病院か、上記の研修に適した病院でのトレーニングが必要であると思われる。認定医取得に関しては、1ヶ所の病院である程度の期間研修すればなんとかなると思われるが、病院により症例の内容には差があるため、2-3ヶ所の研修施設で診療に従事するのが理想であろう。
e)各分野認定医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・大学院に進学する場合:最低1年は名古屋大学医学部附属病院での臨床業務に従事する。代務で神経外来を継続的に担当する。
・大学院に進学しない場合:上記研修に適した病院で2〜3年研修するか、名古屋大学医学部附属病院で医員として臨床業務を行う。
・いずれにせよ、指導できる医師を適当な病院に配置することが必要である。神経研究室としてはNICUのある病院すべてに指導力のある医師を最低1人、できれば複数配置したい。複数を配置する理由は、神経疾患の診療においては複数の目で見て客観性・妥当性を確保する必要があるからである。脳波の判読ひとつをとっても、1人で行っていると偏りができてしまうのは避けられない。
<日本臨床神経生理学会> *小児・成人で共通
名称:日本臨床神経生理学会認定医(http://square.umin.ac.jp/JSCN/)
専門医認定学会:日本臨床神経生理学会
必要条件:
・臨床経験が5年以上(初期臨床研修期間の2年間を含む)
・日本臨床神経生理学会会員歴を3年以上有すること
・脳波あるいは筋電図・神経伝導の臨床的検査・所見診断に3年以上従事した経験をもつこと
・日本臨床神経生理学会主催の学術集会、技術講習会および関連講習会、または関連学会への参加が2回以上あること
・認定研修施設あるいは認定委員会がみとめる研究施設における1年以上の研修歴を有すること
名称:日本透析医学会専門医
専門医認定学会:日本透析医学会(http://www.jsdt.or.jp/)
必要条件:
・小児科専門医であること
・3年以上継続して日本透析医学会の会員であること
・日本透析医学会認定施設・教育関連施設において3年以上、日本透析医学会研修カリキュラムに基づいた透析療法に関する臨床研修を終了していること
・診療実績として、所定の経験症例の記録及び要約の提出が可能であること
・研究業績として、日本透析医学会年次学術集会への参加が1回以上、筆頭者としての血液浄化法に関する発表1件以上、および原著(筆頭者でなくてよい)1編以上が必要である
a)専門研修認定施設に必要な専門医:指導医1名以上および専門医1名以上が常勤
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・日本透析医学会専門医:
社会保険中京病院 小児科 都築一夫
・日本透析医学会指導医:
社会保険中京病院 小児科 都築一夫
c)名大関連病院ごとの特徴
・社会保険中京病院:成人領域では血液透析症例数は非常に多い。小児では腹膜透析を中心に透析医療を行っている。
e)各分野認定医を取得する制度を構築する上での考えられるモデルコース
・大学院以外のコース:小児科専門医を取得した後に、日本透析医学会認定施設・教育関連施設で3年間の研修を行う。
・大学院入学コース:在学中は研究に専念し、その後、日本透析医学会認定施設・教育関連施設で3年間の研修を開始することになる。
・社会人大学院コース:日本透析医学会認定施設・教育関連施設に在籍しながら研究を行うことになる。
<ICD制度協議会(日本小児感染症学会など16学会・研究会で構成)>
名称:ICD(Infection Control Doctor)
認定組織:ICD制度協議会(http://www.icd.umin.jp/)
必要条件:
下記の3条件を全て満たす場合、ICD(Infection Control Doctor)に応募が可能である。ICD認定委員会で3条件を満たしていることを確認し、協議会がICDとして認定する。
A協議会に加盟しているいずれかの学会の会員であること。
B医師歴が5年以上の医師または博士号を取得後5年以上のPhDで、病院感染対策に係わる活動実績(下記1〜3)があり、所属施設長の推薦があること。
(1)感染対策委員またはそれに準ずる活動の証明があること
(2)インフェクションコ ントロールに関連した学会発表又は論文計3編があること
(3)本協議会の主催 する講習会または厚生労働省の委託による院内感染対策講習会への参加実績が3回以上あること
C所属学会からの推薦があること。
a)専門研修認定施設に必要な専門医:規定なし
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・ICD(Infection Control Doctor):
名古屋大学大学院ウイルス学 木村 宏
愛知県厚生農業組合連合会昭和病院 小児科 尾崎隆男、西村直子
名鉄病院 予防接種センター 宮津光伸
社会保険中京病院 小児科 柴田元博
トヨタ記念病院 小児科 木戸真二
一宮市立尾西市民病院 小児科 成瀬 宏
藤田保健衛生大学 小児科 浅野喜造
永井小児クリニック 永井 秀
花田こどもクリニック 花田直樹
名古屋逓信病院 小児科 佐野雅子
市立半田病院 小児科 大木隆史
<日本臨床腫瘍学会> ※2006年度に第1回専門医試験が開催
名称:がん薬物療法専門医
専門医認定学会:日本臨床腫瘍学会(http://jsmo.umin.jp/)
必要条件:
・小児科専門医
・学会認定の研修施設にて2年の臨床研修
・がん治療に関する研究活動5年、がん治療に関する業績
・日本臨床腫瘍学会の会員歴2年
a)専門研修認定施設に必要な専門医:
・暫定指導医2名、または、暫定指導医1名と専門医1名の常勤
・放射線治療装置、施設IRB、病理学会認定病理専門医の勤務
・悪性腫瘍患者が常時20名以上入院、年間がんの薬物療法が50例以上
b)名大関連での専門医認定施設と専門医・指導医の人数
・専門医認定施設:(日本臨床腫瘍学会認定の名大小児科関連病院)
国立病院機構名古屋医療センター(小児科としては国立病院機構名古屋医療センターのみ)、社会保険中京病院、公立陶生病院、名古屋掖済会病院
・専門医:
国立病院機構名古屋医療センター 小児科 堀部敬三
・暫定指導医:
国立病院機構名古屋医療センター 小児科 堀部敬三
VIII. サブスペシャリティー技能習得について
小児科研修終了後(小児科専門医取得後)には、小児科の中の各専門分野サブスペシャリティーの技能習得も可能である。サブスペシャリティーの技能を習得する方法には大きく分けて、一般大学院コース、社会人大学院コース、専門医取得を目標とした研修コースがある。分野によって異なるが、大学院コースでもその間に専門の臨床経験を積むことで各分野の専門医を取得することが可能である。さらに国内、国外への留学も可能である。身につけた専門技能は、関連病院の専門診療や大学の教官として生かされていくことになる。
1)一般大学院コース
従来の大学院に入学するコースである。大学院に在籍して研究を行う。基礎研究室における研究や国内留学をして研究を行うことも指導教官との相談で可能な場合がある。
2)社会人大学院コース
今までの論文博士に代わるコースである。関連病院勤務や大学非常勤医員として働きながら大学院に入学する。1年以内とはなるが研究に専念する期間も指導教官との相談で考慮される。
3)専門医取得を目標とした大学院以外の研修コース
関連病院に勤務しながら専門医および専門技能取得を目指すコースである。関連病院にも専門診療を必要とする患者さんは多く、各分野の専門医も多くいる。
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大学院コース |
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研修医 |
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研修医 |
小児科 |
大学 病院 |
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大学院以外のコース |
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研修医 |
小児科 |
大学 病院 |
初期 赴任 |
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各分野のサブスペシャリティー技能を習得するには、それぞれを専門とする指導者と相談をして、効率よく研修をする必要がある。各専門分野のモデルコースなどについては次頁以降に示す。
血液腫瘍性疾患の治療施設は、全国的にも大学附属病院や小児病院などの専門施設に限定されており、名古屋大学小児科の関連においても、名古屋大学医学部附属病院、名古屋第一赤十字病院、名古屋医療センターがそれにあたる。血液腫瘍学の特徴として、分子生物学や免疫学などの基礎医学の理解が、臨床に直結することから、一般、社会人コースを問わず、大学院に進学するのが望ましい。
1)一般大学院コース
名大病院研修を終了後、上記の2施設あるいは,他の関連病院において0.5〜1年間の研修を終了後、大学院に入学する。名大の関連病院外で研修し、大学院入学を希望する場合の入学時期は、本人の希望に沿う。大学院入学後は、それまでの血液腫瘍性疾患の診療経験に応じて、0.5〜1年間、造血幹細胞移植の診療経験を含め、専門分野の診療に従事する。後半の3年間は、病棟、外来業務は免除で研究に専念する。大学病院に在籍中の臨床経験で、診療実績を満たすことは十分可能であることから、学位と専門医を同時に取得することをめざす。大学院卒業後は、専門施設での診療に従事するほか、海外留学、専門施設での経験をへて、教官や研究職への道が開かれる。
2)社会人大学院コース
社会人大学院の入学時期は、−般大学院入学コースと同様である。名古屋大学医学部附属病院においては、非常勤医員のポストを得ることができる。名古屋第一赤十字病院、名古屋医療センターでポストがあれば、籍をおいたまま、大学院に入学することも可能である。また、条件が許せば、3施設をローテートすることもありうる。名古屋大学医学部附属病院では、一般大学院コースと同様に種々のセミナーをはじめ、教育的機会が与えられる。また原則として、病棟の診療に従事するが、4年間のうち、一定の期間は研究に専念することも考慮する。大学院在籍中の診療経験をもとに学位論文を作成するとともに、十分な診療実績が得られることから、専門医の取得も可能である。大学院修了後は、専門施設での診療に従事するほか、専門性をもった小児科医として地域医療に従事する道が開かれている。また、本人の希望によっては一般大学院コースと同様に、海外留学や、教官への道も開かれている。
小児アレルギー専門医になるためには、アレルギー学に対する強い関心と専門的知識を持ち、アレルギー臨床の経験と実績があり、高い水準でアレルギー疾患の診療を行う能力を身につけなければならない。表現を変えるとすると、アレルギー外来はほとんどの病院や小児科診療所に開設されているが、こうした最前線からの手に負えない症例の相談に応じる能力が求められる。また、この分野では経験主義的で非科学的な診断や治療の押し付けが横行しており、専門医は情報を広く収集するだけでなく、重厚な免疫学・アレルギー学的素養で「ガセネタ」を排除する力量が日々試される。これは本人自身の問題であると同時に、周辺にこうした医療的貧困がはびこらないよう、教育者としての役割も求められる。そこで、小児アレルギー専門コースでは、数多くとも関連病院でアレルギー疾患の治療にあたることを専門コースに加えることをせず、できれば1年間、小児アレルギー専門施設で集中して臨床研修を行うことを推奨する。その上で、免疫学・アレルギー学の専門的知識をつけるために大学院などで2年間、アレルギー研究に参加することができればベストである。専門コースは多様であっていいが、とりあえず、3コースを提示する。
1)一般大学院コース
4年間のうちの1年間を小児アレルギー専門臨床研修にあてることが望ましい。研修が可能な施設は、関連病院内ではあいち小児保健医療総合センターのみであり、場合によっては他県への国内研修が必要な場合がある(大学は教官1名分の診療規模であり、研修条件が揃っていない)。残る3年間のうち2年間はアレルギー研究に参加する。研究能力の飛躍、新分野の開拓のためには国内外への留学が求められる。
2)社会人大学院コース
大学にはアレルギー診療のための非常勤医員のポストがなく、大学で臨床研修をしながら研究にも参加するという学内コースは設定できない。あいち小児保健医療総合センターに身分(レジデント)を置き、大いに努力し、空いた時間を大学に研究に通い続けるコースは可能かもしれない。また、博士号取得だけを目的とすれば、一般関連病院から定期的に大学に研究に通うことも可能で、大学内のスタッフによる研究上のサポートは行う。
3)大学院以外のコース
一般小児科研修を終了した後、すみやかに2年間の小児アレルギー専門臨床研修に入る。この場合、診療規模や身分保障などを考慮すると、これにふさわしい研修施設は関連病院内にはなく、成育医療センターや国立病院機構福岡病院などへの国内研修が必要となる。ただし、アレルギー学の基礎的な専門知識の修得に不備があり、その克服のため個人的な努力が求められる。最大の困難は医局の人的資源の不足であり、実現に向けて粘り強く交渉する必要がある。
ウイルス感染免疫と深くかかわりのある小児感染症学会には独自の専門医制度はない。感染症学会が認定する専門医制度はあるが、主として内科感染症医対象としており、取得している小児科医は少ない。一方、Infection Control Doctor(ICD)は専門医ではないが、病院内の感染対策業務を行ういわゆるInfection Control Team (ICT)として活動するのに求められる資格であり、取得が勧められる。ICDには小児感染症分野において、ウイルス感染症のみならず、細菌感染症も含めた幅広い知識が要求される。また、ウイルス感染症は、非常に幅の広い疾患であるため、他の疾患の専門グループや他科との連携が欠かせない分野である。よって、専門的な治療手技は持たないかもしれないが、活躍の場は広い。ウイルス疾患が如何に生じるのか、なぜその診断法を用いるのか、どうしてこの治療を適用するのか、などの臨床的疑問に対応するためには、感染免疫の基礎的理解が非常に重要と考える。将来、感染免疫研究に専念したいという者はもちろんのこと、優秀な臨床医を目指す者にこそ、分子生物学や細胞生物学・免疫学などの基礎的研究は有用である。よって、大学院に進学し一定期間基礎的研究すること薦めている。一般大学院・社会人大学院、いずれのコースも可能である。
1)一般大学院コース
名大病院研修を終了後であればいつでもよい。名古屋大学医学部小児科のみならず、関連研究施設である愛知県がんセンター腫瘍免疫部、名古屋大学大学院微生物免疫学講座にての研究も可能である。大学院卒業後は、積極的に海外留学を奨励している。ちなみにウイルス研究室では、この16年間で14名の大学院生が修了したが、うち8名が海外留学している。8名中5名が研究機関・施設で教官もしくは部長として働き、2名は現在留学中である。また、専門的知識・経験を生かして感染症臨床に従事するあるいは臨床研究を行うなど幅広い活動をしている。
2)社会人大学院コース
入学時期は一般大学院コースと同様である。ウイルス研究室関連臨床施設(あいち小児保健医療総合センター感染免疫科など)で臨床に従事しながら、臨床ウイルス学研究を行う。一定期間(少なくとも1年間)はいずれかの研究施設で基礎的研究を行うことが望ましい。
小児神経疾患はあらゆる病院の入院患者さんや外来において経験するが、詳しく小児神経学を学ぶためには名古屋大学病院や基幹施設である名古屋第一赤十字病院、安城更生病院、岡崎市民病院、あいち小児保健医療総合センターなど、さらには障害児を専門に診療する愛知県コロニー、青い鳥医療センターにおいて、指導者のもとで経験を積むことが望ましい。名大病院研修終了後は大きく分けて以下の3つのモデルコースが考えられる。
1)一般大学院コース
大学院生として名古屋大学で専門研修、研究を開始する場合、最初の1年間は大学の神経外来および入院患者の診療に従事することで、小児神経学の臨床経験を積み研究の準備も行う。同時期に脳波判読などの専門技能習得も行う。その後は臨床業務を免除され研究に専念することができるが、臨床研究に関連する外来や病棟業務を継続することを希望する場合は継続も可能である。また学外の研究施設で研究を行うことも可能である。現在、岡崎の生理学研究所における神経生理学的研究、愛知県コロニー発達障害研究所や福岡大学で小児神経疾患の遺伝子研究を行っている者がいる。小児神経学会専門医取得のための臨床経験は大学院中にも積むことが可能である。卒業後は基幹病院や専門施設での診療、国外留学も可能である。
2)社会人大学院コース
社会人大学院に入学した場合、大学の医員として、または関連病院に勤務し小児神経臨床研修を行いながら大学院生として臨床研究も行う。前半を関連病院、後半を大学で医員として勤務することも可能である。関連病院に勤務する場合、可能であれば小児神経の指導者のいる基幹病院で臨床研究を行うことを考慮する。研究をまとめるため1年以下の研究に専念する期間も考慮される。1)のコースと同様に専門医取得のための臨床経験を積むことが可能である。卒後は1)と同様に基幹病院や専門施設での診療、国外留学などが可能である。
3)大学院以外のコース
学位よりも専門医の取得に主眼を置いたコースである。大学の非常勤医員として、または関連病院に勤務し小児神経の臨床研修を行いながら日本小児神経学会専門医取得を目指す。同専門医取得には連続して5年以上の会員歴、症例要約、学会出席や発表、論文執筆、小児科学会など基本領域の学会の専門医などが必要であるが、これらは大学病院や基幹病院での診療、研修で取得可能である。いずれのコースも、てんかんの診療、研究を行い日本てんかん学会の認定医(臨床専門医)を取得することも有用である。
周産期専門医(新生児)は小児科専門医取得後に研修を開始することができるため、大学病院研修終了後に速やかに小児科専門医を取得することが望ましい。周産期専門医(新生児)の研修期間は3年であり、そのうち6ヶ月は基幹施設での研修が義務づけられている。名古屋大学小児科関連施設では、名古屋第一赤十字病院、大垣市民病院、安城更生病院が周産期専門医(新生児)の研修における基幹施設である。残りは基幹施設または指定施設で研修を行う。名古屋大学小児科関連施設の研修指定施設は、名古屋大学医学部附属病院、公立陶生病院、トヨタ記念病院、岡崎市民病院、愛知県コロニー中央病院である。
1)一般大学院コース
基本的に病棟業務は行わずに、研究に専念するが、専門医研修を開始する意味で、大学院4年間の中で最後の0.5〜1.0年間は、時間内の病棟勤務を行うこととする。大学院修後は関連の研修施設へ異動をして、研修を継続する。大学院修了後に、国内外の研究施設での研究を希望する場合は、留学を優先として、留学後に研修の再開を考慮する。
2)社会人大学院コース
学会の指定する研修施設に籍を置きながら、名古屋大学新生児関連施設研究ネットワーク(NU-NRN)のシステムに基づき、臨床研究を開始する。基本的に大学院4年生で、大学に籍を移して、研究のまとめを行うこととする。
3)大学院以外のコース
大学病院研修終了後または初期赴任後(小児科専門医取得後)に学会の指定する研修基幹施設、研修指定施設へ異動をし、研修を開始する。
1)一般大学院入学コース
原発性免疫不全症候群の理解のためには基礎免疫学の知識が必須であること。疾患の診断、病態解明を行なうためには細胞生物学的、分子生物学的研究技術の修得が必要であること。稀な疾患であり、ほとんどの症例が大学に集積していることなどから大学院入学により知識、技能を習得することを強く勧める。大学院卒業後は希望により海外留学も可能である。
2)社会人大学院コース
上記理由により大学院以外のコースは基本的には勧めない。
3)大学院以外のコース
上記理由により大学院以外のコースは基本的には勧めない。
1)一般大学院コース
臨床上の視点も重要であり大学院4年間のうち6ヶ月〜1年間は時間内の病棟業務は行うものとする。関連外施設での研究を希望する場合その目的などと照らし合わせて許可を得られることを条件とする。大学院修了後は関連の専門施設へ異動して研修を継続する。大学院修了後の国内外での研究の希望がある場合も相談に応じる。
2)社会人大学院コース
関連の専門施設において研修を行いながら臨床研究を開始する。中途で約2年大学院に籍を移して研究のまとめを行う。
3)大学院以外のコース
大学病院研修終了後または初期赴任後に関連の専門施設での研修を行う。
単に小児の腎・尿路疾患のみでなく、広く腎・尿路の生理・病態に関する知識が必要となる。体液(水・電解質)、高血圧(血圧調節)、慢性腎不全(保存期を含む)、急性腎不全、透析療法、腎移植なども重要な事項である。更には、成人の腎疾患(糖尿痛腎症や膜性腎症など)に対する一般的な知識も必要であるが、学会や研究会への参加などによって習得可能である。並行して(ほぼ同時期に)日本透析医学会専門医を取得するための研修も、在籍する研修施設によっては可能である。
1)一般大学院入学コース
在学中は研究に専念し、その後、日本腎臓学会の指定する研修施設で3年間の研修を開始することになる。
2)社会人大学院コース
日本腎臓学会の指定する研修施設に在籍しながら研究を行うことになる。
3)大学院以外のコース
小児科専門医を取得した後に、日本腎臓学会の指定する研修施設で3年間の研修を行う。なお、日本腎臓学会の全点歴が5年以上必要であるため、腎臓を専攻すると決めたら小児科の後期研修を行っているうちに日本腎臓学会へ入会しておくことが望ましい。
大学に教官のいない現状では研修は非常に困難である。先天代謝異常症に興味をもたれた時には、分子遺伝学的研究の可能な国内他施設で研修を行うことになる。
研修開始届けを提出後、一定数の遺伝診療の経験を積むことが必須である。モデルコースとしては症例数の多い病院(主に愛知県心身障害者コロニー中央病院)で診療の実績を積む臨床中心のコースと、大学院で分子遺伝学的研究に従事しながら非常勤で臨床経験を積む方法に大別される。
1)愛知県心身障害者コロニーに勤務して臨床遺伝診療に従事する。
2)愛知県心身障害者コロニーで研修届けを提出後、遺伝医学セミナーに参加してポイントをためながら症例数の多い病院で勤務する。
3)遺伝性疾患を対象とする他のグループの研究に従事しながら、平行してコロニーで研修届けを提出し、遺伝医学セミナーに毎年参加してポイントを増やしつつ、症例数の多い病院で非常勤で勤務する。遺伝性疾患を対象とする他グループで研究を行いながら臨床遺伝専門医を取得することは十分可能である。