当研究室は1970年代より原発性免疫不全症の基礎的、臨床的検討を行ってきました。なかでも1981年に日本で初めて重症複合免疫不全症(SCID)に対して骨髄移植をおこない免疫能の改善に成功し、その後現在まで16例のSCIDに対して造血幹細胞移植を行っています。これは日本における単一施設での移植としてはトップの症例数です。 さらに現在では、SCID の臨床診断⇒遺伝子診断⇒造血幹細胞移植までを一貫して行える日本でも数少ない施設です。このように、当研究室は長年の症例の積み重ねにより、研究面だけでなく実際の臨床面でも優れたノウハウを持っています。 また、抗体産生不全症(伴性無ガンマグロブリン血症(XLA)、分類不能型免疫不全症(CVID)、IgG サブクラス欠乏症など)、高 IgM 症候群、Wiskott-Aldrich 症候群 (WAS)、Ataxia-telangiectasia、IPEX 症候群などのリンパ球系の疾患ばかりでなく好中球系の異常である慢性肉芽腫症(CGD)やリンパ球と好中球系の両方の異常を持つWHIM 症候群など多彩な原発性免疫不全症をフォローアップしています。 |
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研究テーマ: | |||
1. |
SCID における前処置の有無も含めた造血幹細胞移植方法の検討。 | ||
2. | SCID におけるフローサイトメーターを用いた簡易診断法と確定診断のための遺伝子解析 (現在はγC鎖、JAK3、IL-7Rα、RAG1/2、Artemis については遺伝子診断が可能、またこれまで行われていなかった JAK3 の簡易診断を可能にした。今後CD3δについても遺伝子診断が出来るよう準備を進める予定。) |
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3. | SCID における遺伝子治療への対応準備(当小児科が主体となり運営する GMP 基準に則ったセルプロセッシングセンターの稼動が始まるため遺伝子治療への対応がより容易になる。) | ||
4. | 当科で20年以上の長期フォロー中の XLA、CVID などガンマグロブリン補充を必要とする患者の QOLや長期予後、治療法の検討。 | ||
5. | 好中球とリンパ球の両方の異常を持つ WHIH 症候群について責任遺伝子である CXCR4 異常の遺伝子診断、CXCR4 異常による好中球、リンパ球異常の分子生物学的検討、造血幹細胞移植も含めた治療法や予後の検討。 | ||
スタッフ: | |||
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