名古屋大学大学院医学系研究科 脳神経外科
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脊髄・機能グループ


1.グループ紹介

 脳神経外科は頭、頚部、胸部、腰部、四肢から指先など全ての神経疾患を扱う診療科であり、脳の病気だけでなく、脊髄神経、手足の末梢神経の病気も積極的に治療を行なっています。
名古屋大学脳神経外科 脊髄・機能グループは脊髄・脊椎疾患、末梢神経疾患及び顔面痙攣・三叉神経痛など、その多くが機能に関係する疾患を中心に、臨床および教育を行っています。
平成20年7月1日より、名古屋大学脳神経外科が、日本脊髄外科学会認定指導施設に認定されました。また、サテライト病院として、さくら病院でも数多くの手術を行っております。脳神経外科学会専門医のサブスペシャリティーとして脊髄外科学の重要性が叫ばれているところですが、私たち脳神経外科学教室は現在脊髄外科手術における拠点施設になっており、脊髄外科医を育てる重要な場となっております。現在脊髄・脊椎疾患の手術件数が増えており、なかなか基礎研究に手がまわらない状況ではありますが、これまで基礎的研究としてラットやマウスを用いた脊髄損傷モデルにてシグナル解析などを行ってきました。

2.スタッフ

*日本脊髄外科学会認定医 **日本脊髄外科学会認定指導医

1)現在の名古屋大学脳神経外科のメンバー
西村 由介** Yusuke NISHIMURA (平成13年卒: 講師・グループ長)
灰本 章一* Shoichi HAIMOTO (平成19年卒: 大学院生)
山本 優 Yuu YAMAMOTO (平成19年卒: 大学院生)
福岡 俊樹 Toshiki FUKUOKA (平成20年卒: 大学院生)
江口 馨 Kaoru EGUCHI (平成20年卒: 大学院生)
吉川 哲史 Satoshi YOSHIKAWA (平成21年卒: 大学院生)

2)さくら病院(脊髄指導施設のサテライト病院)
山田 博是**   (昭和37年卒:さくら病院 脊髄センター長)
秦 誠宏*   (平成5年卒:さくら病院 副院長)

3)脊髄・機能グループにこれまでに在籍していたメンバー
高安 正和**   (昭和53年卒:愛知医科大学脳神経外科教授)
原 政人** (昭和63年卒: 稲沢市民病院 副院長・脊髄センター長)
高木 輝秀*   (平成3年卒:高木外科内科医院)
西澤 俊久   (平成5年卒:刈谷豊田総合病院)
山内 克亮*   (平成7年卒:やまうちクリニック)
吉田 光宏*   (平成8年卒:市立四日市病院)
青島 千洋   (平成10年卒:静岡済生会総合病院)
中島 康博**   (平成11年卒:稲沢市民病院 脳外科部長)
野田 智之*   (平成12年卒:大垣市民病院)
服部 新之助*   (平成13年卒:名古屋掖済会病院)
中村 茂和*   (平成14年卒:半田市立半田病院)
竹本 将也*   (平成15年卒:社会保険中京病院)
牧野 一重   (平成16年卒:安城厚生病院)
梅林 大督* (平成17年卒: 稲沢市民病院)

3.臨床としての各種疾患への取組み

1)脊髄・脊椎疾患
 脊椎・脊髄疾患の多くは、加齢とともに生じる『変性疾患』であり、その多くが神経症状を発して医療機関を受診されます。しびれや痛みが、神経によって引き起こされていることが、国民にも理解され始めており、私たち脳神経外科医のもとを受診する機会が増えているものと思われます。近年、脳神経外科医が携わる脊椎脊髄手術は明らかに増加傾向にあり、専門施設での症例は飛躍的な数字になっています。私たち脳神経外科医は、脊椎・脊髄疾患を神経障害の観点から治療を行っているのが特徴です。欧米では、脊椎・脊髄疾患の7割以上が“Neurosurgeon”(神経外科医)によって治療されています。“Neurosurgeon”とは神経全般を扱う外科医ですが、日本では脳神経外科医さらには脳外科医という呼称になってしまったが故、脳以外は扱っていないと国民に考えられてしまったようです。これは脳神経外科医自身にも言えることで、脳しかみることのできない脳外科医は確かに存在します。現在、日本脳神経外科学会では、サブスペシャリティーとして脊髄外科学分野があります。その学会である日本脊髄外科学会では、かなり厳しい基準で指導医を認定しており、さらには指導施設にて若手医師の養成を広く行っております。今後脊椎・脊髄疾患を診断治療できる脳神経外科医は確実に増え、国民が安心できる体制が整っていくものと思われます。
 脳神経外科医が脊椎脊髄疾患を扱うことの利点は、マイクロサージャリーに慣れていることです。そのため、脊髄を愛護的に扱うことや、確実な神経減圧において優位に立っています。脊髄髄内腫瘍などの脊髄腫瘍の手術は、当然私たち脳神経外科医がするべき手術であり、世界でみても“Neurosurgeon”が必ず行っています。唯一日本が例外です。これらの腫瘍は脳腫瘍と同様のものであり、手術操作においても術後の後療法(化学療法や放射線治療など)においても脳神経外科の方が慣れています。しびれを感じた際に、例えばそれが手であれば、手に原因があるという考えで医療機関を受診されるのかもしれませんが、それらの原因が神経からきていることが今後ますます認識されれば、脳神経外科への受診が増えていくものと思われます。
 さて、当グループでは上位頚椎から腰仙椎にいたるすべての脊椎領域の手術を行っております。また、扱う疾患も頚椎椎間板ヘルニア変形性頚椎症腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症不安定腰椎症等の変性疾患、脊柱靭帯骨化症(後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症など)、脊髄腫瘍、脊椎腫瘍、脊髄・脊椎外傷、感染症、先天奇形など多岐にわたります。

2)末梢神経障害
 当グループでは、末梢神経絞扼性疾患の治療も行っています。手根管症候群、肘部管症候群、足根管症候群、胸郭出口症候群、梨状筋症候群などがこれにあたります。私たちはこれらの疾患に対して、顕微鏡を用いて、少しでも神経損傷の危険性を減らすように手術を行います。また、末梢神経にできた腫瘍(神経鞘腫、神経線維腫など)に対する手術も積極的に行っております。とりわけ、腕神経叢部にできた腫瘍の手術の経験が多くあります。

3)顔面痙攣と三叉神経痛
 これらの疾患は、外科的に治療可能なもので、機能的脳神経外科の代表的疾患です。その原因の多くが、血管(主に動脈)と神経(顔面神経・三叉神経)が接触して症状をきたすものです。共に外科的治療(神経血管減圧術)が、根本的治療ですが、対症療法が選択されているケースが往々にして見られます。脳神経外科として啓蒙が必要な疾患と考えられます。これらは、手術的治療の有効性は十分に証明されていますが、今なお、意外に合併症率が高いことも知られています。最も多い合併症は、聴力障害であり、その他顔面神経麻痺などがあります。機能手術であるだけに、このような合併症をきたしてはなりません。私たちは聴性脳幹反応や、顔面神経モニターを駆使した手術を行っており、これらの合併症ゼロにするべく努力を行っています。近年、私たちが手術する症例は増加傾向にあり、良好な手術成績を残しております。
 私たちのモットーとしては、@最新の治療法を含めた広い選択枝の中からそれぞれの患者さんに最も適した最良の方法を選ぶこと、Aできるだけ患者さんの負担の少ない手術方法で行うこと、B神経モニタリングを行い、手術中の神経損傷を未然に防ぐこと、C術中ナビゲーションシステムによる手術の安全性、術中MRIなどによる手術の確実性の向上をめざすこと、であります。手術手技に習熟していることは当然必要なことですが、さらに安全かつ確実な手術が行われなければなりません。また、新しい治療法にも取り組んでいく必要があります。当施設は、手術支援機器(ナビゲーションシステム、神経モニタリング装置、術中MRIなど)を豊富に取り揃えております。

■名古屋大学医学部脳神経外科を受診される前に■
(1)脳の病気か脊髄の病気か
 患者さんが訴える症状が脳からくるのか脊髄からくるのかを判断するのは困難なこともあります。しかし、大まかには見当がつく場合もあります。簡単に言うと、体の左半分、右半分に力が入りにくくなったり、感覚が鈍くなったりしたときには脳の病気の可能性が高く、右足だけ、左手だけといった部分的な症状、両足の脱力などの左右同時にわたる症状は脊髄の病気である可能性が高いと考えられます。しかし、これはあくまでも原則であり、例外はいくらでもあります。このため、体のどこかの力が入りにくい、感覚が鈍い、しびれがある、痛みがあるなどの症状がある方は、その症状がどこからきているかを正確に見つけるために脳と脊髄神経、末梢神経の神経全てを診察することができる脳神経外科を受診して、正確な診断を受ける必要があります。

(2)神経の病気からくる症状
 神経は圧迫されたり引っ張られたりすると神経の中で血の巡りが悪くなったり、物質の流れが悪くなります。そうなると神経が気絶した状態になったり、悲鳴を上げたりするのでいろいろな症状が出てきます。 脊髄、末梢神経の病気で出現してくる症状は・・・
  〇歯医者さんで痛み止めの注射をした後のように温かい、冷たい、痛いといった感覚がわかりにくくなる
  〇手に手袋をつけている、もしくは何か足の裏に布がついているように感覚が鈍い
  〇手足に正座を長時間した後のようにビリビリしたしびれが常にある
  〇首や体を動かした時に手足に電気が走るようにビリッと痛みが走る
  〇頭、首、背中、腰が痛い、重い
  〇手足がつりやすくなる、手足が張る
  〇歩いていると足元がふらつく
  〇ボタンがけ、おはしでの食事、字を書くなど細かい作業がしにくい
  〇手足の力が入りにくい
  〇尿が出にくい、残尿感がある、便の感覚がわかりにくい、便をきりにくい
などがあります。
しかし、これらの症状は脳の病気でも出現することがあり、神経学的診察、画像診断(CT,MRI,単純写真)により、正確に診断して治療する必要があります。

(3)当院での手術の実際
 
当院では全例手術用顕微鏡を用いて手術を行っています。

この写真は脊髄腫瘍摘出術ですが、手術用顕微鏡を用いると、このように肉眼では見えないような細かい神経の1本1本がしっかり見えてきます。この神経をわずかでも傷付けることがないように細心の注意を払って手術を行っています。

(4)術中モニタリング  脊髄、脊椎の病気の手術では、神経を扱うので手術中に神経を傷つけていないか確認しながら手術を行うことが安全です。全身麻酔後に頭部と四肢に電極を取り付け、電流を流して神経の反応を見て、神経の損傷の有無をチェックするのが術中モニタリングと呼ばれる技術です。我々は脊髄脊椎手術の全例で手術中の神経機能のモニタリングを行いながら手術を行っており、より安全で確実な手術を行う為にも、神経機能の術中モニタリングが欠かせません。実際は、脳から末梢へと繋がる運動神経と、末梢から脳へと繋がる感覚神経とに分けて検査を行います。運動神経のモニタリングは、頭蓋もしくは脳表を直接電気刺激して、手術で影響が及ぶと思われる部分の脳神経を経て連絡している筋肉から筋電位を測定します。感覚神経のモニタリングは、手術で影響が及ぶと思われる部分の脳神経を経て連絡している知覚神経を直接電気刺激して、頭蓋もしくは脳表から誘発電位を測定します。手術中に神経が無理に索引されたり、器具で圧迫されたりした際に神経への影響を迅速に知ることができます。神経を巻き込む腫瘍の剥離術では、疑わしい部位を直接電気刺激することによって神経線維と腫瘍との分離同定が可能です。また神経を栄養する血管の環流に変化が生じると、関連する運動/感覚検査モニタリングに変化が現れるため慎重な対応ができ、より安全な手術の遂行が可能となります。手術操作中に神経を刺激して波形に異常が生じた場合には一時的に操作を中断したり、手術を終了する目安にしています。これにより、手術操作による神経損傷の可能性は大きく減少する可能性が高いと考えています。モニタリング検査は脳波/筋電図を業とする臨床検査技師が、執刀医の指導監督の下で慎重に行っています。
 

4.私たちが手術を行う対象疾患

  1) 脊椎変性疾患
 (1)頚椎椎間板ヘルニア
 (2)変形性頚椎症
 (3)胸椎椎間板ヘルニア
 (4)変形性胸椎症
 (5)腰椎椎間板ヘルニア
 (6)腰部脊柱管狭窄症
 (7)不安定腰椎症腰椎すべり症

 2) 脊椎靭帯骨化症
 (1)頚椎後縦靭帯骨化症
 (2)頚椎黄色靭帯石灰化症
 (3)胸椎後縦靭帯骨化症
 (4)胸椎黄色靭帯骨化症
 (5)腰椎後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症(稀)


3) 脊髄腫瘍
(1)脊髄髄内腫瘍(神経上衣腫、星細胞腫、血管芽腫、血管腫、脂肪腫などが多い疾患です。)
(2)硬膜内髄外腫瘍(神経鞘腫、髄膜腫が多くみられます。)
(3)硬膜外腫瘍(転移性脊椎腫瘍など)

4) 脊髄血管障害
(1)脊髄動静脈奇形
(2)脊髄硬膜動静脈瘻
(3)脊髄出血(非常に少ない疾患です。)

5) 先天性奇形
(1)キアリ奇形
(2)脊髄空洞症
(3)環軸椎亜脱臼(必ずしも先天性ではありませんが・・・)、頭蓋底陥入症などの頭蓋頚椎移行部病変
(4)二分脊椎(脊髄髄膜瘤、脊髄脂肪髄膜瘤など)
(5)脊髄係留症候群
(6)脊髄分離症・分離すべり症(外傷が原因かもしれませんが・・・)

6) 脊椎・脊髄外傷
(1)環軸椎亜脱臼
(2)歯突起骨折
(3)脱臼骨折
(4)粉砕骨折
(5)圧迫骨折

7) 感染症
(1)化膿性脊椎炎・椎間板炎

8) 末梢神経障害
(1)末梢神経腫瘍
(2)絞扼性末梢神経障害
   a)手根管症候群
   b)肘部管症候群
   c)胸郭出口症候群
   d)梨状筋症候群
   e)足根管症候群
   f)回内筋症候群

9) 痙性麻痺に対するバクロフェン持続髄腔内投与療法(ITB療法)

10) 顔面痙攣・三叉神経痛

5.手術統計(2008年)

1)脊髄・脊椎手術および末梢神経手術
施設での手術数は名古屋大学とさくら病院での脊髄・脊椎手術の総数です。脊髄指導医(原)の関与した手術には、サテライト病院(さくら病院)以外の手術症例を含みます。

  施設での手術 脊髄指導医の関与した手術
頚椎椎間板障害
(脊柱管狭窄症を含む)
102 件 36 件
頚椎後縦靭帯骨化症 10 件 8 件
腰椎椎間板障害 34 件 17 件
腰部脊柱管狭窄症 126 件 42 件
胸椎椎間板障害 2 件 1 件
胸椎靭帯骨化症 4 件 2 件
脊髄腫瘍 25 件 25 件
脊髄空洞症 2 件 2 件
二分脊椎 2 件 2 件
脊髄動静脈奇形 0 件 2 件
末梢神経疾患 12 件 8 件
その他 62 件 31 件
381 件 176 件

腰椎変性疾患で、固定術を行った症例が約1/3と、固定術が増加傾向にあります。

2)顔面痙攣・三叉神経痛の手術 9 件
顔面痙攣  1 件
三叉神経痛 8 件

昨年は、たまたま顔面痙攣の手術が少ない年でした。)

6.教育の実際

1)学会・研究会など
主に若手の同門の勉強会の場として名古屋脊髄・脊椎外科懇話会を年2回(5-6月頃、11-12月頃)主催しています。症例検討が中心ですが、ハンズオンも行っております。また、5-6月頃に行う名古屋脊髄・脊椎外科懇話会では、脳神経外科専門医試験対策を兼ねた症例検討を行なっています。
学会発表は非常に重要であり、脊椎・脊髄に関係した学会・研究会では必ず発表しています。珍しい症例は、若い医師が今後遭遇する可能性があり、その際には必ず治療の助けになるため発表する責任があると考えています。また、私たちの治療結果を報告することも、私たちが行ってきたことを振り返るよい機会と考えており、今後のより良い治療につながるものと思っています。
詳しくは、8.学会発表に記載しています。

2)症例検討会
手術症例の治療法などの検討を、私たちのグループ間で行い、さらには脳神経外科医局検討会でも行っております。

3)脳神経外科専門医・脊髄外科認定医養成のプログラム
春に脳神経外科専門医試験対策講義を行っております。
名古屋大学脳神経外科は日本脊髄外科学会認定指導施設であり、当科で研修を行うことにより脊髄外科認定医を取得できます。2008年は日本脊髄外科学会教育セミナーで『末梢神経の外科』の教育講演を行いました(原)。また、昨年5月に行われた愛知医科大学での第14回愛知頭蓋底手術手技ワークショップでは講師として手術手技指導をしました(原)。

研究の実際

1)臨床研究
A.低侵襲脊髄・脊推外科手術
頚椎椎間板ヘルニアに対して、経椎体的椎間板ヘルニア摘出術を行っています。すなわち前方より椎体下方に約5mm径の小孔を設け、可及的に椎間板組織を残すべく、椎間板腔に入らないようにして、脊髄もしくは神経根を圧迫している病変部のみを摘出する方法です。
 脊髄前方病変で、とりわけ1椎間の場合、チタンケージなどによる前方固定術が普及していますが、可動性の消失により、隣接椎間への負担が増大し、将来的に上下椎間に頚椎症頚椎椎間板ヘルニアを惹起しやすくなると言われております。私たちの手術方法では、若干の椎間板腔の狭小化を認めるものの、1年後の手術椎間の可動性は十分に保たれるというデータを得ており、隣接椎間にとって非侵襲的な手術法であると考えられます。さらに、第6/7頚椎部、第7頚椎/第1胸椎部の手術では、椎間板腔の狭小化もごく軽度であることが判明しました。今後もこの治療法を継続していきます。
 また、後縦靭帯骨化症では前方手術が必要な場合、自家椎体骨を切り取り骨化靭帯摘出後、そのまま自家椎体骨を完納する手術法を行っております。後縦靭帯骨化症では、脊柱の可動性が失われていることが多いため、自家椎体骨を完納する方法はより低侵襲であると考えられますが、手技が煩雑で、技術を要します。
これらのように、一般的な疾患に対してはより侵襲の少ない手術法をめざしており、まれな疾患に対しては、安全かつ確実な治療を心掛けております。すべての症例において、手術支援機器の役割は、かなりの比重を占めております。

(関連論文)
・ 頚椎椎間板ヘルニアに対する経椎体到達法.原 政人.脊椎脊髄ジャーナル21: 831-836, 2008
・ 頚椎変性疾患に対する低侵襲な経椎体的神経除圧術. 原 政人、野田 智之、服部 新之助、西村 由介、吉田 純. 脊椎・脊髄神経手術手技 9: 140-143, 2007
・ Oseoplastic Anterolateral Vertebrotomy without Fusion for Multilevel Cervical Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament. Takayasu M, Hara M, Takagi T, Suzuki Y, Yosida J. Neurosurgery 45: 500-507, 1999

B. 頚椎前方固定(ウイリアムス法)における、脊柱形態の変化
 以前より私たちの施設では、前方固定として自家椎体骨を用いる方法を行ってきました。この方法は、手術手技が煩雑であり、広く普及するには至っておりません。このためか、これまで手術後の脊柱変形などの報告がほとんどなされていません。これまでのデータをまとめ、報告します。
(関連論文)
・ 高齢者に対する自家椎体骨を用いた前方固定術の有用性. Takayasu M, Takagi T, Hara M, Yosida J. 脊髄外科13: 23-28, 1999
・ Anterior Cervical decompression and Fusion for Cervical Spondylosis Using Vertebral Grafts Obtained from the Fusion site. Technical Advantage and Follow-up Results. Takayasu M, Hara M, Suzuki Y, Yosida J. Acta Neurochir 140: 1249-1255, 1998

C. 頭蓋頚椎移行部病変に対する固定法
 伝統的に当科においては、この珍しい部位の症例が多くあります。しかし、手術方法は変遷しているのが実情です。それぞれの手術手技による利点・欠点を明らかにし、症例ごとの手術方法の選択について考察します。
(関連論文)
・ 頭蓋頚椎移行部病変に対する後方固定−C1外側塊スクリュー/C2椎弓根スクリューの有用性. 野田 智之、原 政人、中島 康博、服部 新之助、吉田 純. 脊髄外科21(1): 11-17, 2007
・ 経口手術. Takayasu M, Takagi Teruhide, Hara M. 脊椎脊髄ジャーナル 17(5): 394-400, 2004
・ Treatment of traumatic atlanto-occipital dislocation in chronic phase. Takayasu M, Hara M, Suzuki Y, Yoshida J. Neurosurg Rev 22(2-3): 135-7, 1999
・ 頭蓋頚椎移行部病変におけるinstrumentation. Takayasu M, Hara M, Saito K, Yosida J. 脊髄外科 11: 135-142. 1997

D.後方筋群温存手術の有用性
 低侵襲手術の代表的方法です。頚椎、腰椎共に後方筋群温存を意識した手術を行っています。以前の手術法との比較を、臨床症状および、MRIなどの放射線学的所見などで行い、その相違を明らかにしていきたいと考えています。
(関連論文)
・ En Bloc Laminoplasty performed with Threadwire Saw. Hara M, Takayasu M, Takagi T, Yosida J. Neurosurgery 48: 1-5, 2001

E.術中神経モニタリング
 術後に神経症状を悪化させないようにすることが、脊髄髄内腫瘍のみならず、多くの脊髄手術においても求められています。私たちは、以前から術中の神経モニタリングを行っていますが、より精度の高い方法で神経モニタリングができるように工夫すると共に、精度の高い手術を目指します。

2)基礎研究
臨床に即した研究に力を入れており、これまでラットやマウスを用いた脊髄損傷の研究を行っています。
(関連論文)
A.ラット脊髄損傷モデルにおけるfasudil hydrochlorideの神経回復効果
Protein kinase inhibition by fasudil hydrochloride promotes neurological recovery after spinal cord injury in rats. Hara M, Takayasu M, Watanabe K, Noda A, Takagi T, Suzuki Y, Yosida J. J Neurosurg (Spine 1) 93: 94-101, 2000

B.マウスの脊髄損傷後神経細胞におけるJAK/STATシグナルの活性化
Activation of JAK/STAT signaling in neurons following spinal cord injury in mice. Katsuaki Yamauchi, Koji Osuka, Takayasu M, Nobuteru Usuda, Ayami Nakazawa, Norimoto Nakahara, Mitsuhiro Yoshida, Chihiro Aoshima, Masahito Hara, Jun Yoshida. Journal of Neurochemistry 96: 1060-70, 2006

C.マウスの脊髄損傷部への人神経幹細胞の静脈内投与での集積
Intravenously transplanted human neural stem cells migrate to the injured spinal cord in adult mice in an SDF-1- and HGF-dependent manner. Takeuchi H, Natsume A, Wakabayashi T, Aoshima C, Shimato S, Ito M, Ishii J, Maeda Y, Hara M, Kim SU, Yoshida J.  Neurosci Lett.426(2): 69-74, 2007

D.マウス脊髄損傷モデルに対するアミノ酸タウリンの効果―中島康博

8.学会発表

1)国際学会
1.MASAHITO HARA MD; Shinnosuke HAttori MD; Yusuke Nishimura MD; Jun Yoshida MD. Less Invasive Transvertebral Approach for the Cervical Spinal Degenerative Diseases. 24th annual meeting of AANS/CNS section on disorders of the spine and peripheral nerves. 2008.2.27-3.1 Orland USA
2.Shinnosuke HAttori MD; MASAHITO HARA MD; Yusuke Nishimura MD; Jun Yoshida MD. Lumbar spinous process-splitting trumpet laminectomy for lumbar spinal canal stenosis- Less Invasive canal expansion preventing lumbar paraspinal muscle damage-. 24th annual meeting of AANS/CNS section on disorders of the spine and peripheral nerves. 2008.2.27-3.1 Orland USA

2)国内全国学会
1.西村由介,原 政人,服部新之助,若林俊彦.末梢に生じた神経鞘腫10例の治療経験.第23回日本脊髄外科学会.2008.6.12-13松島(宮城) 日本
(口演)
2.西村由介,原 政人,服部新之助,若林俊彦.術後に生じた環軸椎回旋性亜脱臼の6例の放射線学的検討.第23回日本脊髄外科学会.2008.6.12-13松島(宮城) 日本
(口演)
3.服部新之助,原 政人,西村由介,若林俊彦.側彎/すべりを有する腰部脊柱管狭窄症に対する棘突起縦割椎弓切除術.第23回日本脊髄外科学会.2008.6.12-13松島(宮城) 日本
(口演)
4.原 政人,服部新之助,西村由介,若林俊彦.当科における脊髄・末梢神経神経鞘腫の疫学と発生形態および治療成績.第23回日本脊髄外科学会.2008.6.12-13松島(宮城) 日本
(シンポジウム)
5.野田 篤,久野智彦,田ノ井千春,原 政人.当科における頸椎椎弓拡大形成術.最近の症例より.第23回日本脊髄外科学会.2008.6.12-13松島(宮城) 日本
(口演)
6.中島康博,吉田光宏,秦 誠宏,原 政人,山田博是.C2神経根減圧術により軽快した大後頭神経痛の2例.第23回日本脊髄外科学会.2008.6.12-13松島(宮城) 日本
(ポスター)
7.原 政人,中村茂和,服部新之助,西村由介,若林俊彦.頚椎後縦靭帯骨化症に対する前方手術.日本脊椎脊髄手術手技学会.2008.9.19-20大津 日本
(口演)
8.原 政人,服部新之助,西村由介,中村茂和,若林俊彦.腰部脊柱管狭窄症の手術法の変遷-個人的経験より-.日本脳神経外科学会総会.2008.10.1-3. 岩手 日本
(シンポジウム)
9.西村由介,原 政人,服部新之助,中村茂和,若林俊彦. dumbbell型、末梢型神経鞘腫の分類と治療戦略.日本脳神経外科学会総会。2008.10.1-3. 岩手 日本
(ポスター)
10. 服部新之助,原 政人,西村由介,中村茂和,若林俊彦.後方すべりを伴った腰部脊柱管狭窄症に対する棘突起正中縦割椎弓切除術.日本脳神経外科学会総会.2008.10.1-3. 岩手 日本
(ポスター)
11.中村茂和,原 政人,服部新之助,西村由介,若林俊彦.頚椎後縦靭帯骨化症に対する椎体形成的骨化靭帯切除術日本脳神経外科学会総会。2008.10.1-3. 岩手 日本
(口演)
12.中島康博、山田博是、秦 誠宏、原 政人.腰仙部脊柱管内に発生した硬膜外嚢胞性病変の5症例.日本脳神経外科学会総会。2008.10.1-3. 岩手 日本
(ポスター)
13.秦 誠宏、山田博是、中島康博、原 政人.CTガイド下経皮的椎体形成術についての検討.2008.10.1-3. 岩手 日本
(ポスター)
14.西村由介,原 政人,服部新之助,中村茂和,若林俊彦. dumbbell型、末梢型神経鞘腫の分類と治療戦略.日本脊髄障害学会。2008.10.1-3. 岩手 日本
15.原 政人.腰椎椎弓根スクリュー固定術.Aichi Summer forum for practicalspinal surgery Hands-on seminar 2008.8.24名古屋 日本
(依頼講演及びハンズオン)
16.原 政人.頚椎前方固定術.Fundamental Principle of Treatment for Spinal Disorders 2008.12.20東京 日本
(依頼講演及びハンズオン)

地方会・研究会
1.西村由介、原 政人、服部新之助、吉田 純.末梢神経鞘腫9例の治療経験. 第40回中部脊髄外科ワークショップ.2008.3.15名古屋 日本
(口演)
2.西村由介、原 政人、服部新之助、若林俊彦.再手術を要したdumbbell型hemangioblastomaの1例.第41回中部脊髄外科ワークショップ.2008.8.30.名古屋 日本
(口演)
3.服部新之助.脊髄腫瘍の基礎知識-専門医試験対策-. 第40回中部脊髄外科ワークショップ.2008.3.15名古屋 日本
(ミニレクチャー)

著書及び論文は、7.研究の実際のところに関連論文として記載しています。

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