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ローレツ(Albrecht von Roretz 1846-1884)は、監禁され粗衣悪食を与えられて人権が侵害されていた精神病患者の扱いを見て、英独仏等の建築を参考にして、博愛、人道主義に則ったノンレストレイント・システム(non-restraint system 無拘束治療法)に基づく癲狂院(精神科病院)の建設を愛知県令に建議しました。1880年(明治13年)4月、公立病院構内に落成した癲狂室棟は、わが国屈指のものでした。
平屋で他の病室とは隔離し、建物の中央にツェルレ(Zelle 隔離室)式の病室が2室あり、周囲は廻り廊下にして、東方廊下を隔てて看護人室が2部屋ありました。ツェルレの外部は泥壁木柱、内部は壁を畳床とし中層には帆木綿を張り、更にペンキを塗り、床は厚板が敷いてあります。
この復原図は、1995年に名古屋で開催された第24回日本医学会総会の委嘱により、名古屋大学工学部建築学科の小寺武久(1933-2006)教授と溝口正人(1960- )助手が作成しました。 |