本学医学系研究科 髙橋 雅英 教授が「日本医師会医学賞」を受賞しました - ニュース&イベント | 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科

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本学医学系研究科 髙橋 雅英 教授が「日本医師会医学賞」を受賞しました

 令和元年11月1日に、名古屋大学理事・副総長であり、本学医学系研究科の髙橋 雅英 教授が日本医師会医学賞を授与されました。
 日本医師会医学賞は昭和36年(1961年)から続く賞で、毎年、日本医師会医学賞選考委員会によって選考され、基礎医学、社会医学、臨床医学の分野において医学上重要な業績をあげた3名の研究者に贈呈されています。
 今回、髙橋雅英教授は基礎医学分野での受賞で、受賞テーマは「がん遺伝子RETと細胞運動制御因子Girdinの発見と機能に関する研究」です。

 髙橋雅英教授は、1985年にNIH3T3細胞を用いたトランスフェクション法を用いて、遺伝子再構成によって活性化される新規がん遺伝子RETを発見しました。その後、RET遺伝子再構成は甲状腺乳頭がん、肺腺がんの原因となることが明らかになり、多くのがんで検出されるキメラ型がん遺伝子のプロトタイプの1つになりました。またRETは点変異による活性化により家族性腫瘍である多発性内分泌腫瘍症2A, 2B(MEN2A, 2B)型を発症すること、一方、機能失活型変異によりヒルシュスプルング病を発症することが報告され、変異により多様な臨床像を生じる代表的なヒト疾患遺伝子として注目されており、髙橋教授のグループはRET遺伝子変異による上記疾患の発症機序を世界に先駆けて明らかにしてきました。さらに米国のグループとの共同研究によりRETのリガンドが神経栄養因子GDNFおよびneurturinであることを明らかにし、遺伝子改変マウスを用いて、GDNF-RETシグナル伝達系が腎臓の発生、腸管神経系の形成、精子幹細胞の維持(精子形成)に必須であることを証明しました。一連の研究により疾患の発症メカニズムや形態形成のメカニズムの解明に大きく貢献してきました。
 さらに、RETを含む受容体型チロシンキナーゼのシグナル伝達に重要なAktキナーゼの役割に注目して解析を行い、Aktの新規基質としてGirdinと名付けた新たな分子を発見しました。機能解析の結果、Girdinはアクチン結合蛋白であり、Aktによるリン酸化や他の機能蛋白との相互作用により制御を受けることで、がんの浸潤・転移、血管新生、神経新生など生理的、病理的現象に関わる細胞運動を制御することを明らかにしました。加えて、Girdinが海馬依存性の神経機能や病態(長期記憶、てんかん発作など)に関与すること、イギリスの研究グループとの共同研究において、Girdin遺伝子の胚細胞変異によりPEHO症候群(小頭症、てんかん発作などを示す家系)を発症することを世界で初めて報告し、疾患発症のメカニズムの解明にも貢献してきました。

日本医師会医学賞写真.jpg

▲受賞パーティーの様子