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本学医学系研究科 祖父江 元 特任教授が「武田医学賞」を受賞しました

 平成30年11月12日に、本学医学系研究科の祖父江 元 特任教授(神経変性・認知症制御研究部門)が武田医学賞を受賞しました。

 武田医学賞は昭和29年(1954年)から続く賞で、毎年、武田科学振興財団の選考委員会によって選考され、我が国の医学界で顕著な業績を挙げ、優れた貢献を果たした研究者2名に贈呈されています。

 今回の祖父江特任教授の受賞テーマは「運動ニューロン疾患の発症責任機序の同定とそれに基づくdisease-modifying therapyの開発」です。

 祖父江特任教授らは、運動ニューロン疾患の球脊髄性筋萎縮症(SBMA)では、ポリグルタミン鎖の伸長した変異アンドロゲン受容体が運動ニューロン核内に蓄積・凝集していることを見出し、この病態を反映する動物モデルを開発しました。またその解析から抗テストステロン薬のリュープロレリンが、SBMAマウスモデルにおいて変異アンドロゲン受容体の核内蓄積・凝集を抑え、治療効果があることを明らかにしました。これをふまえて、ヒトSBMA患者にリュープロレリンの医師主導治験を行い、運動機能の低下や誤嚥性肺炎を抑制し、死亡を回避できることを示しました。この結果、平成29年(2017年)にリュープロレリンがSBMAの進行抑制薬として承認されました。加えて、祖父江特任教授はさらに多くの治療標的候補分子を明らかにしています(シャペロンやE3リガーゼの調節分子、TGF-β、CFLF-2、CGRPなど)。

 また、もう一つの運動ニューロン疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)についても、大規模レジストリからの解析や神経変性の病態を反映する新たなモデル動物の開発や解析を通して、治療標的分子としてのdynactin-1、dorfin、c-abl、titinなどを明らかにし、これらを分子標的とするdisease-modifying therapy開発への展開が進んでいます。

 現在、神経変性疾患の治療は神経細胞が消失脱落した後に、そのニューロトランスミッターなどを補充する補充療法が主体ですが、今回の業績は神経変性疾患の神経変性病態そのものを抑止する治療が可能であることを世界に先駆けて示したものです。

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▲武田医学賞を受賞した祖父江特任教授(写真左)