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先端応用医学(協力)オミクス解析学(医真菌)

研究室概要

真菌は最も単純な真核生物として、ヒトを始めとする高等生物を構成する細胞の基本的特徴を備えている。また真菌の中にはヒトなどへ感染を起こして様々な疾患の起因菌ともなる病原性真菌も存在する。
当分野では酵母やカビなどの真菌を材料として、ゲノム情報、遺伝子発現情報を背景にした遺伝子多型、環境応答型遺伝子の転写制御メカニズム、細胞の構造や機能、代謝についての遺伝子発現ネットワークなどの解明に向け、多面的なアプローチを行っている。
今般の医療の高度化、先端化、人口の高齢化などに伴い、真菌感染は増加すると予想されており、真菌を通して得られ、発信される情報は重要さを増すと考えられる。当分野の研究の発展と継続が真菌研究をリードしブレイクアウトすることをめざし、鋭意研究を進めている。

研究プロジェクト

  1. (中川)  
    病原性微生物にとって、宿主の免疫系から免れて生残することが自らが生き残り感染を成立させていく第一歩である。貪食系細胞から放出される活性酸素の解毒にカタラーゼは不可欠な役割を担っているが、近年カタラーゼ遺伝子破壊株が菌糸形成欠損を示すことが明らかになり、カタラーゼ活性と菌糸成長との関わりについて検討を進めてきた。特にカタラーゼタンパク質の局在と菌糸形成欠損の関係に注目し、「細胞表層」をキーワードに研究を進めている。細胞表層は菌が最初に貪食系細胞や活性酸素に遭遇する場であり、この場の遺伝子支配を明らかにすることがカタラーゼと菌糸成長との関連を解くカギとなると考えている。幸い、Candida albicansでは1遺伝子破壊株ライブラリが利用可能であり、このライブラリをスクリーニングすることでカタラーゼと菌糸成長をつなぐ手がかりになる遺伝子が明らかにされることが期待できる。
  2. (神戸)  
    カンジダ・アルビカンスは健常者の口腔内、皮膚あるいは膣内に常在し、内因性真因感染の原因となる最も代表的な真菌である。マイクロサテライト領域に基づいてカンジダ・アルビカンスの遺伝子型を調べると、健常者では同一個体内に生息するカンジダ・アルビカンスの遺伝子型は均一でなく、約2/3以上のヒトで異なる遺伝子型が混在する。一方、感染病巣部から分離した株の遺伝子型は殆どの例で均一である。健常者口腔から分離した株では5種類の主要遺伝子型(genotypes I, II, III, IV, V)がみられる。これらの遺伝子型を感染病巣部から分離した株と比較すると、genotype V株は表在性および深在性カンジダ症の全てにおいてみられない。これに対し、genotypes II, III(特に、genotype III)は表在性および深在性カンジダ症の全てから分離され、同様の結果は膣カンジダ症の患者に由来する株でもみられた。これらのことから、genotype IIIカンジダ・アルビカンスがカンジダ症発症に深く関わっていると考えられる。トルコで分離した株でも5種類の全ての遺伝子型が確認できるが、これらとは別の主要遺伝子型が存在した。現在、genotypes IIIとVの株、および他国の主要遺伝子型株間の生物学的性状の違いを調べている。
  3. (紅)  
    真菌を材料に、ゲノム情報を利用した分子遺伝学的なアプローチにより細胞の増殖や成長における細胞骨格分子の多面的機能を解析している。これらの分子には細胞の増殖と深く関わっているものが多く、抗ガン剤、および種特異的な性質を利用した抗真菌剤の標的として注目している。他方、カビの産する二次代謝物質に注目し、ゲノミクス、及びトランスクリプトーム解析を中心に、国内外の他研究機関との共同によるメタボロミクス解析と連携し、新規機能物質の開発、あるいはカビの早期発見、診断に向けた研究を進めている。

教員

構成員名役職所属
中川 善之 准教授 オミクス解析学
神戸 俊夫 講師 オミクス解析学
紅 朋浩 助教 オミクス解析学

研究実績

  • 2016年
    1. Oakley CE, Ahuja M, Sun W-W, Entwistle R, Akashi T, Yaegashi J, Guo C-J, Cerqueira GC, Wortman JR, Wang CCC, Chiang Y-M, Oakley BR.. Discovery of McrA, a master regulator of Aspergillus secondary metabolism. Mol. Microbiol., 2016; in press.
  • 2013年
    1. Yoshikawa Y, Umezawa N, Imamura Y, Kanbe T, Kato N, Yoshikawa K, Imanaka T, Higuchi T. Effective chiral discrimination of tetravalent polyamines on the compaction of single DNA molecules. Angew. Chem. Int. Ed., 2013; 52: 3712-3716.
    2. Takagi Y, Fukano H, Shimozato K, Tanaka R, Horii T, Kawamoto F, Kanbe T. Genotypes of Candida albicans isolated from healthy individuals and their distribution in patients with oral candidiasis. J. Infect. Chemother., 2013; 19: 1072-1079.
  • 2012年
    1. Tantular IS, Pusarawati S, Khin L, Kanbe T, Kimura M, Kido Y, Kawamoto F. Preservation of wild isolates of human malaria pararites in wet ice and adaptation efficacy to in vitro culture. Tropical Medicine and Health, 2012; 40, 37-45.
  • 2011年
    1. Takagi Y, Hattori H, Adachi H, Takakura S, Horii T, Chindamporn A, Kitai H, Tanaka R, Yaguchi T, Fukano H, Kawamoto F, Shimozato K, Kanbe T. Genotypes of Candida albicans involved in development of candidiasis and their distribution in oral cavity of non-candidiasis individuals. Med. Mycol. J., 2011; 52,315-324.
    2. Yoshikawa Y, Komeda S, Uemura M, Kanbe T, Chikuma M, Yoshikawa K, Imanaka T. Highly efficient DNA compaction mediated by an in vivo antitumoractive tetrazolato-brtidged dinucleatr platinum (II) complex. Inorg Chem., 2011; 50, 11729-11735.
    3. Makita N, Yoshikawa Y, Takenaka Y, Sakaue T, Suzuki M, Watanabe C, Kanai T, Kanbe T, Imanaka T, Yoshikawa K. Salt has a biphasic effect on the higher-order structure of a DNA-prptamine complex. J. Phys. Chem., 2011; 115, 4453-4459.
    4. Shimizu K, Hattori H, Adachi H, Oshima R, Horii T, Tanaka R, Yaguchi T, Tomita Y, Akiyama M, Kawamoto F, Kanbe T. Microsatellite-based genotyping of Candida albicans isolated from patients with superficial candidiasis. Med. Mycol J., 2011; 52, 129-138.
  • 2010年
    1. Tantular IS, Matsuoka H, Kasahara Y, Pasarawati S, Kanbe T, Tuda JSB, Kido Y, Dachlan YP, Kawamoto F. Incidence and mutation analysis of glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency in eastern Indonesian populations. Acta Med. Okayama, 2010; 64, 367-373.
    2. Huang QM, Tomida S, Masuda Y, Arima C, Cao K, Kasahara TA, Osada H, Yatabe Y, Akashi T, Kamiya K, Takahashi T, Suzuki M. Regulation of DNA polymerase POLD4 influences genomic instability in lung cancer. Cancer Res., 2010; 70, 8407-8416.
    3. Huang QM, Akashi T, Masuda Y, Kamiya K, Takahashi T, Suzuki M. Roles of POLD4, smallest subunit of DNA polymerase delta, in nuclear structures and genomic stability of human cells. Biochem. Biophys. Res. Commun., 2010; 391, 542-546.