医局案内

診療内容について

入院患者数は、年間約240名で、その診療の内訳は、腎炎・ネフローゼが約35%、腎不全が約30%、膠原病約15%、糖尿病性腎症約10%、その他が約10%です。
外来患者数は、1ヶ月で約800名、透析を中心とした血液浄化療法は年間約1200件です。

1.腎炎・ネフローゼについて

健診や開業医の先生から、蛋白尿や血尿、むくみから腎炎・ネフローゼを疑われ、受診を勧められた患者様に、血液・尿検査、画像検査を行い、腎炎・ネフローゼ(腎臓病Q&A「慢性腎炎、ネフローゼといわれたがどうすればいい?」)の診断を行っています。その結果、さらに精密検査が必要と判断された場合には腎生検(腎臓病Q&A「腎生検ってどんな検査?」)を実施しています。腎生検の施行数は年間約40例で、主に超音波ガイド下で実施しています。腎生検は危険を伴う検査であるため、安全性に細心の注意を払って行っています。私たちの科の過去5年間の腎生検による合併症の頻度は、出血例(輸血を必要とするあるいは退院が長くなる)1.7%、目にみえるような血尿例0.8%です。また、腎生検が必要なのに、腎生検を受けることが禁忌といわれているような患者さんの場合には、泌尿器科と相談して、腹腔鏡下での腎生検という方法で、診断することも可能です。
腎炎・ネフローゼの治療は、その原因となる病気の種類や活動性によって違いがあります。必要があると判断された場合には、ステロイド剤や免疫抑制剤による治療も行います。その際には、治療成績や副作用について十分説明しています。
腎炎の中で最も多いIgA腎症の治療方法は、施設によって様々で、意見が分かれていますが、私達の科では、腎生検を行い、ステロイド治療の適応を慎重に判断してから実施しています。IgA腎症に対するステロイド治療成績は、3年間の追跡でほぼ100%の方に尿蛋白減少効果を認め、腎機能もほぼ95%のケースで低下せず安定を保っています。IgA腎症の一般的なステロイド治療は1ヶ月以上の長期入院を必要としますが、私たちの科では、短期入院治療用のプロトコールを決めて実施していますので、治療を開始してから約1週間で退院できます。その後は3ヶ月目と5ヶ月目に4日間治療のため入院していただきますが、その間は内服治療を外来で行います。入院期間は短くても、良い治療効果を上げています。

【当科におけるIgA腎症に対するステロイド療法のプロトコール】
当科におけるIgA腎症に対するステロイド療法のプロトコール

2.慢性腎不全について

透析導入までの慢性腎不全に対しては、食事・薬物療法を中心とした保存療法を積極的に行い、最大限透析導入までの期間を延長できるように、アンジオテンシン受容体拮抗薬や経口毒素吸着薬の投薬を行っています。外来診療では、コントロールしにくい高血圧やむくみがある場合、あるいは、初めて慢性腎不全を指摘された患者様には、教育・治療のための入院を勧めています。
入院中、腎臓の働き、腎不全の解説や食事指導を行い、将来の透析への理解と不安を少しでも解消できるよう説明を行っています。
血液透析には、前もってシャントの準備が必要となります。私たちの病院では、シャント作成は血管外科が担当しています。透析が必要となる場合、入院して透析を開始していただいています。私たちの科では、医療控除の対象となる腎臓機能障害に関する身体障害者の申請も行っていますので、ご相談下さい。

3.糖尿病性腎症について

糖尿病性腎症は、糖尿病の合併症のひとつです。糖尿病性腎症になると、ひどくむくんだり、血圧がなかなか下がらなかったりすることが多く、また腎臓の働きも腎炎に比べて、早く悪くなります。
私たちは、糖尿病の診療を行っている代謝・内分泌科と協力しながら診療に当たっています。糖尿病があって、蛋白尿がでる、むくむ、血圧が下がらない、腎臓の働きがが悪いといわれた患者様は、早めに腎臓内科への受診をお勧めします。
名大病院は総合病院として、糖尿病の患者様の心臓や足の血管、網膜症などの合併症に対して、各科が連携しながら診療にあたっています。

4.膠原病について

膠原病の診断・治療は、私たちの科の主に診療のひとつです。膠原病を疑われた患者様は、私たちの腎臓内科へ受診して下さい。
私たちの科は、皮膚科や整形外科と連携しながら診療を行っています。重症や難治性の患者様には血漿交換や免疫吸着療法も行っています。

5.透析室について

名大病院では、血液透析や血漿交換などの血液浄化療法は、院内にある透析室で、私たちの科が担当しています。ベット数は6床と少なく、やりくりしながら年間約1200件以上施行しています。
急に腎臓が悪くなって透析が必要となったり、劇症肝炎や神経系の難病、あるいは難治性の膠原病のため血漿交換が必要とされる患者様や、透析患者さんで、心臓や腹部の手術を名大病院で受けられる患者様を対象としています。透析室では私たちの科の医師とスタッフと協力しながら行っています。

6.外来診療について

私たちの科の外来患者数は1ヶ月間で約800人で、毎日(月〜金)腎臓内科の医師が診療に当たっています。初診の方は、AM8:30〜11:30が受付時間となっています。
大学病院は、紹介状がなくても受診することはできますが、初診料がかかります。受診の際には、簡単な紹介状や過去の健診の結果を持参して頂きますと参考となります。

7.入院費用について

国立大学病院は、入院費用について、H.15年7月から一般病院とは異なる方法で計算されるようになりました(外来費用は従来と同じです)。
健康保険を使って診療費を負担することは変わりありませんが、これまでの検査や手術に掛かった費用分を支払うというやり方ではなく、「包括医療」といって患者様の病名が決まると、国が決めた一日あたりの入院費用を入院期間分掛け合わせて計算される方法に変わりました。
大体、一般の3割負担の患者様の場合、食事代を含めて、腎生検の検査入院ですと7日間の入院で約10万円くらい、腎炎・ネフローゼの検査・治療入院の場合1ヶ月間の入院で約25万円、慢性腎不全の教育入院では2週間で約15万円くらいかかりますが、私たちの計算では、これまでの入院費とほとんど変わりません。
入院費用については、慢性腎不全の身体障害、特定の地域の難病指定の疾患に該当する患者様の場合、医療費の免除が受けられる可能性があります。詳しくは病院内の医療社会事業部にご相談下さい。