尿失禁

膀胱頸部指示器(Bladder Neck Support Prosthesis : BNSP)(下図)は、膀胱頸部過可動による女性腹圧性尿失禁に対して、腟内へ挿入する器具である。原則としては自分で自由に腟への挿入・取出が可能であり、必要時にのみ使用可能な器具であり、有効な成績が報告されている。高齢者では、萎縮性腟炎のため、挿入が困難であることがある。
腟内コーン(下図)は、腟内へ一定の重さの挿入具を挿入し、立位でコーンが腟から落下しないように腟の収縮を行うことで、女性腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋訓練を行うものであり、一種のバイオフィードバック補助による骨盤底筋訓練治療である。
経腟・経肛門電気刺激療法や骨盤磁気刺激療法は、海外では腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁に対する有効性が示されているが、本邦では、厚生労働省に認可された治療用機器がない。その有効性については、まだ検証中の段階である。

 

尿排出障害

前立腺肥大症に対するレーザー治療、高温度治療、尿道ステント留置は、低襲侵性治療として行われ、一般には薬物治療に比べて有効な成績が報告されているが、経尿道的前立腺切除術と比較した十分なデータがない。標準的治療としての位置づけは得られていないものの、高齢者や種々の合併症により外科的治療が困難な例では、有用性があると考えられる。