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訓練の目的 | |||
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腹圧性尿失禁発生の要因のひとつに、骨盤底弛緩、すなわち骨盤底筋群(骨盤の底にハンモック状に広がる筋肉群)がゆるむことがあげられている。骨盤底弛緩により、膀胱尿道の可動性が増大し(膀胱頸部尿道過可動)、そのために尿道括約筋機能が低下するものである。ゆるんだ括約筋機能を回復するために、骨盤底筋収縮練習を行うことが骨盤底筋訓練の目的となる。 | ||
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一般に、膀胱頸部尿道過可動を原因とする腹圧性尿失禁のうち、軽症のものについては70%程度の有効性が報告されているが、内因性尿道括約筋不全(尿道の括約機能そのものが障害されているもの)では成績は不良である。また一般に、高齢者では成績が不良といわれているが、高齢者においても積極的な訓練により良好な成績が得られることが示されている。 | ||
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訓練の方法 | |||
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一定のプログラムにもとづいて、本人が骨盤底筋を収縮させる練習を繰り返し行うものである。骨盤底筋訓練の方法に関して説明したパンフレットなどもあるが、読んだだけでは正しい訓練ができず、また特に高齢者では、医師、看護婦あるいは専門指導者により指導を行わなければ、有効な訓練は得られないことが多い。 | ||
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実際には、下着をぬぐ、あるいは下げた状態で対象者に仰向きに寝てもらい、膝を立てて開脚し、女性では腟、男性では肛門を締めるようにしてもらう。腟・肛門を締めるというのは、頭の方へ引き上げるような感じで行うことを説明する。また、この時決して便をする時のように腹圧をかけないように指導する。 | ||
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指導者は女性では腟に2本の指、男性では肛門に1本の指を挿入した状態で、腟・肛門を締めてもらい、指が締められて、頭方向へひきあげられる感じがあれば、正しい運動であり、うまく行われていればそのことを対象者に伝える。もし、指が外へ押し出されるような運動であれば、うまく行われていないので、そのことを対象者に伝えて、やりなおしてもらう。このように指導者が指を使いながら、対象者が正しく腟・肛門を締める運動を覚えるように指導する。 | ||
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対象者が正しい運動をできるようになったら、1〜5まで数えながらゆっくり腟・肛門を締めていき、そしてゆるめる運動を行わせる。10秒くらい休んで同じ運動を繰り返す(ゆっくり収縮訓練)。 | ||
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この訓練を毎日行うことが重要であり、目安としては2ヶ月続ける。 | ||
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可能であれば、時々指導者が指を使った指導を繰り返し、正しい運動が行えているかどうかを確認する。 |