認知障害患者を対象とした場合の排尿障害診断票記入のヒント

1. 

尿意を訴えない(尿意がわからない)

  溢流性尿失禁の見極め(神経因性膀胱)、尿意がなければ切迫性は考えにくい

トイレを探したり、陰部に手をあてがってそわそわするなど、排尿したいような素振りがあれば尿意があると判断する。

2. 

咳・くしゃみ・笑うなど腹圧時に尿がもれる

  腹圧性尿失禁の見極め

尿が十分に溜まっていると判断した時(ex:排尿後2時間たってまだおむつが濡れていないなど)、仰臥位・立てひざとして、大きな咳をさせるか、いきませるか、下腹部をおして、尿が外尿道口より漏れるかどうか観察する
患者が陰部を見られるのを嫌がる場合には、ポータブルトイレにおろすなど腹圧があがる動作時に、陰部にあてた乾いたティシュが濡れるかどうか観察する

3. 

尿がだらだらと常にもれている

  溢流性尿失禁の見極め

外尿道口を観察し、尿がだらだらと漏れでてくるのを観察する。
膨隆した下腹部をおすと漏れが多くなるのを観察する

4. 

パンツをおろす、あるいはトイレに行くまでに排尿を我慢できず尿が漏れる

  切迫性尿失禁の見極め

おしっこがしたいと訴えた直後に、排尿してしまっていたり、パッドが濡れていることを観察する

5. 

排尿の回数が多い(起床から就寝まで:8回以上、または夜間:3回以上)

排尿記録が有用であるが、認知障害があると難しい

6. 

いつもおなかに力を入れて排尿している

  溢流性尿失禁の見極め

排尿する際、力んでいるかどうか観察する

7. 

排尿途中で尿線が途切れる

  尿排出障害の見極め

排尿途中で排尿の音が途切れるか、実際の排尿状態を観察する

8-11. 

観察は難しくない

12. 

尿失禁に関心がない、あるいは気づいていない

  機能性尿失禁の見極め

認知障害だけでなく、尿失禁から脱却しようとする意欲の欠如状態を判断する