機能性尿失禁

排尿状態の詳細チェック

尿失禁の原因となる要因、主に身体運動障害(ADL低下)と痴呆の2つの因子について評価し、尿失禁に関与する要因を拾い上げ、それぞれについて解決法を検討し、個々の状態にあわせた介護・ケア計画をたてる。

一般にADL障害のみが尿失禁要因となっている場合には、排尿管理は比較的行いやすく、高度な痴呆が存在する場合には困難なことが多い。

尿意のチェック

尿意があるかないかのチェック

尿意がうまく伝えられるかどうかのチェック

尿意の表現のチェック

排尿意欲のチェック

自力あるいは介助によりトイレあるいはポータブルトイレに移動して排尿する意欲があるかどうかのチェック

自力あるいは介助により採尿器を用いて排尿する意欲があるかどうかのチェック

排尿間隔のチェック

排尿記録にもとづいて排尿間隔をチェック

オムツ着用の場合は頻回にオムツの濡れ具合をチェックして排尿間隔をチェック

排尿動作のチェック
 ・トイレまでの移動      ・ベッドサイドへの移動
 ・着衣・下着の着脱      ・便器の使用
 ・採尿器の使用

トイレ環境のチェック
 ・トイレまでの距離       ・トイレまでの移動行程の状況
 ・ポータブルトイレの使用 
   ・採尿器の使用

 

排尿の介助

排尿の誘導および排尿環境について個々に最善のケア方法を施行する。
介護者、看護者のマンパワーやQOL、経済的状況なども考慮する必要がある。

排尿誘導と介助

ADL障害に対しては、トイレ、ポータブルトイレ、採尿器など可能な排尿方法を選ぶ。
昼間と夜間を分けて考えてもよい。

排尿記録での排尿間隔を参考にして、尿意を訴えることのできる例では、尿意があればすぐ、尿意を訴えられない例では排尿間隔にあわせて時間毎に排尿誘導を行い、排尿の介助を行う。
尿失禁なく排尿できるケースを繰り返すことにより、尿意の強化、意欲の強化、意識づけができる。

 

おむつはずしが最終的な目的であるが、使用する場合もなるべく、取り外しの不便なオムツはさけ、パッドなどを用いて排尿管理をすすめる。

 

その他、個々の例にあわせて、有効な介助法を検討する。

排尿環境の改善
 ・生活場所とトイレと位置関係、行程
 ・ポータブルトイレ、採尿器具の利用
 ・着衣の工夫(着脱しやすいもの)
 ・夜間の介助が困難な場合は、夜間のみの排尿管理を別に検討

 

泌尿器科医紹介

機能性尿失禁以外の排尿障害が合併すると思われる場合

排尿管理がうまくいかず、専門医の意見を聞きたい場合