インタビュー 教えて先輩!! 老年医学の道って、どんな道?

鈴木 裕介 先生

紙谷 博子 先生

関連病院勤務 かなめ病院 2003年 宮崎大学卒

寄り添い、学び、成長できる。

復帰後のバックアップも万全のチーム医療が強みです。

Q:なぜ地域在宅医療学・老年科学教室を選んだのですか?

A:子育てを経て、老年医学をもう一度勉強しなおしたいと思いました。

私はもともと名大病院で初期研修を行いました。総合的に診る医師になりたかった私にとって、総合診療部 老年内科があり、各科の最新の医療も学べる理想的な場所でした。後期研修では、国立長寿医療センターへ。医師4年目で出産し、子育てと夫の転勤等の都合により急性期病院勤務から離れて、比較的ゆったりした療養型病床やリハビリ病床、在宅医療・往診などを経験しました。多くの高齢者診療に携わったなかで、とくに地域に根差した在宅医療に魅力を感じ、ライフワークにしたいと思う ようになりました。そして子育てが一段落つき、もう一度、老年医学を学び直したいと決意。大学院生として大学に戻りました。

患者さんとご家族の「生活」をお手伝いするために、一番困っていることを一緒に考えます。

老年内科業務は毎日充実しています。老齢化するにつれ どうしても体の不調が増えてきますから、たくさんの患者さんに求められている診療科ともいえます。一つの体に多くの病気を抱えているため、各臓器別の知識を総合してバランスをとりながら治療を選択することが急性期での老年内科医の仕事です。また、急性期病院を退院して地域へ戻るときには「どれだけ体が動かせるか」「その人の生活を誰がどう支 えるのか」など、患者さんとご家族が一番困っていることを一緒に考えて対策をとることが重要です。急性期病院で治療して救った命を、老年内科医や地域医師が引き継ぎ、生活の中で守っていく。この視点が老年内科医と臓器別専門医との違いだと思います。私なりの考えですが、老年内科医師の役割は「患者さんの安定した生活のお手伝い」。私はそのことに気づいて、老年内科のやりがいを実感しています。

人に寄り添うチーム医療だから、多くの人と出会え、働きやすく、刺激も多いですね。

改めて老年医学を学び直したいと考えて大学に戻り4ヵ月が経過。名大病院では学びたい情報にあふれ 毎日のように勉強会も行われます。患者さん一人ひとりを丁寧に診て考える時間を持てる環境は、とても恵まれていると思いますね。治療方法についても、チームで検討してより良い診療ができます。とくに、老年内科の教授は相談もしやすく「臨床で患者さんに寄り添う中で研究を」というスタンスが自分自身にあっていてとても働きやすいと感じます。子育てへのバックアップ体制もあり、快く助けてくれる仲間・家族の存在もありがたいですね。

多くの人が最期まで住み慣れた地域で生きることのできる社会づくりに貢献したいと思います。

これから取り組みたい課題の一つが 団塊の世代が75歳以上になり高齢者人口が増大する「2025年問 題」。地域医療の混乱を避けるために厚生労働省が推し進める、地域包括ケアシステムの構築に力を注ぎたいです。多くの高齢者が地域に根差した医療体制で守られ安心して生活するためには、老年内科医師・地域在宅医師の果たす役割は、これからもっと多様化し、重要になっていくでしょう。その一員として、自らが成長するとともに、後輩医師の見本となり、地域社会に貢献していきたいと考えています。