インタビュー 教えて先輩!! 老年医学の道って、どんな道?

梅垣 宏行 先生

梅垣 宏行 先生

准教授、外来医長 1990年 名古屋大学卒

手本がないことが、やりがい。

全国でも数少ない老年科で学べば、楽しく、柔軟に成長できます。

Q:なぜ地域在宅医療学・老年科学教室を選んだのですか?

A:もともとは中枢神経に興味があり、脳と体の関わりを学びたいと思っていました。

例えば、認知症の方は糖尿病をお持ちのケースが多い。学生時代、その関係性がとても興味深いと感じていました。学生のみなさんは「え?そこから老年科医に?」と思われるかもしれません。ですが、当教室には、高齢者ケアの臨床中心に取り組まれる方から高齢者特有の疾患を研究される方まで、本当にさまざまな方がいるんです。

米国のジョンス・ホプキンス大学の先生が老年医学を“A lot of fun”と表現していたことが強く心に残りました。

20代の後半だったでしょうか、私はアメリカの「国立衛生学研究所」に留学し基礎研究をしていました。そのとき、ジョンス・ホプキンス大学の方々にもお会いする機会がありました。これが貴重な経験でした。生き生きと高齢者医療に取り組まれていて、老年医学を“A lot of fun”と表現されたんです。高齢者医療は、楽しい。当時の日本では、「老い=暗いイメージ」でしたから、私はその言葉に強く惹かれました。そして、それまでは急性期医療に興味があったのですが、一気に医師としての方向性を転換してしまいました。今では、高齢者医療に対してQOLという概念がありますが、当時は楽しむだなんて自分にとっては意外な発想で、新しい発見をしたと感じ、私自身の中にパラダイムシフトが起こりました。

高齢者医療は、すごくアクティブ。体温の伝わるコミュニケーションを。

現在、当教室には初期からずっと名大病院で研修している医師が複数名います。他の科もすべて見たうえでここを選んでくれたということですから、指導する立場として、大変うれしく、彼らにこの教室をさらに盛り上げてほしいと思います。若い人たちに、診療を好きになってほしい。これは、私の心からの願いです。老年医学はまだ日本に普及しているとは言えず、イメージ先行で、理解されていない部分がたくさんあります。例えば、高齢者の方の後始末をするなんていうイメージを持たれることもあります。しかし、それは全くの誤解です。ジョンス・ホプキンス大学の先生からの言葉のように、毎日が「非常に楽しい」のです。診療ではたくさんの言葉を交わす。口だけではない、目と目のコミュニケーションだってある。あうんの呼吸。その患者さんにとって、今、どんなコミュニケーションが最適なのかをじっくり考えるんです。広い知識をもち、経験を積むほど深みが増す分野なのです。一向に収束しない、広がりのある医療ですから、ぜひ好奇心旺盛な多くの方に学んでほしいと思っています。

認知症専門医はニーズが高い。チャレンジしがいのある分野です。

老年医学はまだ普及していないと言いましたが、裏を返せばロールモデルが少なく、自由な分野であるということです。私自身、学生時代は老年科医になるなんて夢にも思っていませんでしたが、本当に何をやっても楽しく、やりがいがあります。また、高齢社会の中で、確実にこの分野の需要は高まっています。認知症専門医の研修プログラムも、ニーズがあっても他ではなかなか整備されていませんが、ここなら高齢者医療のトレーニングが確実に積めて、老年病専門医を取得後1年で認知症専門医を取得できます。今のうちに、新しい分野へ挑戦してみてください。