インタビュー 教えて先輩!! 老年医学の道って、どんな道?

助教、医局長 2006年 東海大学卒

社会経験があるから、できる。

「世の中を見てきた人」が、活躍できる医療です。

Q:なぜ地域在宅医療学・老年科学教室を選んだのですか?

A:前教授の井口先生に「会社生活を送った経験を活かせる分野だ」と、背中を押していただきました。

私が医学部を卒業したのは2006年。それまでは文系で政治学を専攻、就職して社会人生活を送ってきました。医学に興味を持ったのは、老年科学教室の前教授・井口先生との出会いがきっかけ。私が医師国家試験に合格し、どんな医師になろうか迷っていた頃、井口先生は仰ったんです。「あなたは社会のいろんな場面を経験してきたのだから、それを無駄にしないで。治療をする専門医と患者さんとの間に入る仕事をしたほうがいい。」社会経験に自信を持っていいんだと、感じることができた大切な一言です。

「先生だったらどうする?」そんなことを聞かれるのも、老年科医ならではだと思います。

「治療をする専門医と患者さんとの間に入る仕事」これは老年科医を本当によく表している言葉だと思います。今は多くの医療技術があります。「もう90才だから、自然に任せて何もしない」「とことん、どんな医療も提供する」どちらも、違う気がします。医師の自己満足であってはならない。高齢者ご自身、ご家族の方が決めることであり、私たちは選択を前に不安になる方々に、正しい情報を提供した上で一緒に考えながら、医療を提供していきます。「この判断で、本当にいいの?先生だったらどう思う?」と、よく聞かれます。私たちはその迷いやとまどいを大切にした上で限りある人生の最終段階を、できれば本人にとっても、ご家族にとっても満足できるものにしたい。100%の介護も治療もないけれど、患者さんのことを本当に大切に考えて、家族が悩んで決めたことは、きっと正しい。そう信じていただけるまで、何度も何度もお話し合いを重ねます。

心に敏感になりながらも、科学者としての情報提供を。

後期研修医としてここに来て4年目ですが、最近ひしひしと感じるのは「人の底力はすごい!」ということです。経験的に、回復が困難と思った90代の方が回復されることもよくあります。また男性医師に恋していきいきしてくる高齢女性もいます。ひとくくりに高齢者というけれど、人間的魅力にあふれた人に接することも、とても多い。先輩医師曰く、「年相応なんて考えるのはよくない。歳をとればとるほど個人差が大きくなる。」と。私たちは、そうした人たちの体や心の動きを細かく感じ取りながら、科学者として、確かな情報提供をしていきたい。健やかな老いを見守る科学者、というと大げさかもしれませんが、信頼される存在でありたいですね。

年齢も、男女も差別しない。まっすぐ医師の道に進んでいない人を、積極的に受け入れてくれる環境だと思います。

老年内科に飛び込んできた私。純粋に医学部を卒業した方とちがい、私のように途中で医師となった人間を受け入れることは、リスクのあることだったと思います。医局の中での差別をある程度覚悟していました。でも、その心配はいりませんでした。ここは、「何をやろうと自由」という雰囲気があるんです。まさに、フレキシブル。高齢者ケアを実践している方や、高齢者特有の疾患について深く研究する方、様々な方が所属しています。医師キャリアを決まったかたちに当てはめなくて良いから、絶対に飽きませんよ。このオープンな教室で共に過ごす方をお待ちしています。