xR技術を医学・医療分野の新しい教育,診療支援,医療機器開発につなげる医・工・産の連携の場となるセンター

― シミュレーションセンターからxRセンターへ  

  21世紀に入り,すべての医療職の卒前・卒後教育から専門的な診療手技修得に至るまで, 実際の医療現場を模した各種の疑似環境の中で行うシミュレーション教育が重視されるようになり, さらに治療手技や診療結果をシミュレーションすることも行われるようになりました. 「シミュレーション」が専門職の教育に導入されたのは,航空機パイロット養成が最初で1920年代に遡ります. 医学教育へは,1960年代から模擬患者や蘇生訓練のマネキンが使用され,臓器モデル,動物モデル,カダバー(CST), そしてバーチャル・リアリティ(VR)技術の利用に至るまでいろいろな手法が開発されてきました. この意味では,VRはシミュレーションの1つの方法と言えます.一方,VRシステムを構築するには, 入力とディスプレイの間にシミュレーションのシステムが必要で,シミュレーションは,VRに不可欠な構成要素であるとも言えます. このように,シミュレーションとVRは密接な関係があります.

  「シミュレータ」は,航空機パイロット訓練用のフライトシミュレータがコンピュータの性能向上とともに発展し, 1990年代末にフライトシミュレータの技術を生かしたVR手術シミュレータが登場しました. 2000年代には内視鏡手術を中心にさまざまな診療手技VRシミュレータが製品化され,医学教育におけるVR新時代を予想させましたが, 特に高コストのために頭打ちに終わりました.しかし,2016年頃からVR技術が急速に発展し, HMD内ではあるものの高い臨場感が圧倒的な低コストで実現するようになり,AR, MR, SRなど, さまざまな現実空間と仮想空間の組み合わせが実用化されています.これらは,広義のVRとも言えますし, すべて包括してxRという用語も生まれています.いわば第2世代に入ったVR技術は,性能と価格が急速に改善し続けており, ビジネスの多方面への導入が進み始めています. 医学・医療分野においても,以前からの教育・訓練における利用法拡大のほか,新たな診療支援への応用が始まっており, 今後,存在感が急速に高まると予想されています.

  2013年に発足したシミュレーションセンターは,「すべての医療者の教育,診療支援,研究の場としてさまざまな擬似環境を提供する」ことを目的とし, バーチャルとフィジカル,デジタルとアナログの両面でアプローチしてきました.今後は,VR技術発展に対応し, よりデジタルへシフトすることを企図してします.そこで,従来の「シミュレーションセンター」から「メディカルxRセンター」に名称を変更しました.

  今後とも,医・工・産の連携により,新しい教育,訓練,診療支援システムのみならず医療機器の開発を共同で行えるセンターをめざします.




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