はじめに

 私たちの教室では神経とがんの接点で生命活動の作動原理を探求しています。 神経芽腫は交感神経由来の小児がんです。神経の発生発達とがん発生という2つの命題の接点にあります。 一方、神経回路再編・可塑性について、私たちは硫酸化糖鎖を中心に研究しています。 これは世界的にも緒についたばかりの新しい分野ですが、糖鎖生物学の生命科学への起爆剤の一つとして期待されます。 これを基に神経と糖鎖の融合研究推進のための新学術領域「神経糖鎖生物学」http://shinkei-tosa.net/を立ち上げました。

 基礎医学の立場から生命活動の作動原理解明を目指しますが、その成果が社会に還元されなければ医学系研究科の中で研究する意味はないと考えています。 例えば治療薬の標的となるたくさんの候補分子を見つけても、薬にしやすいものとしにくいものがあります。 教室の研究には、他分野の専門家に加えて企業との共同研究を通して社会還元のための助言も頂いています。

 当教室では生化学、分子生物学を軸にした教育研究を徹底します。 このような軸足を得て保つことは重要です。 加えて現代の生命科学者に必要なのは、複数にまたがる領域を俯瞰できる力です。 そのために若手を中心にした活動を行っています。 小さいながらも知の巨人を目指すことに躊躇すべきではないと思います。 若い研究者の参集を歓迎いたします。

門松 健治