名古屋大学大学院医学系研究科 予防医学
若井建志の研究テーマ
教授 若井建志

  • がんの疫学研究
    わが国の代表的ながんのコホート研究であるJACC studyに参画し、これまでに肺がん、大腸がん、乳がんと生活習慣や血清生体指標との関連を検討してきた。
    また、症例対照研究の手法により、肺がん、大腸がん、乳がん、膀胱がんの危険因子を明らかにしてきた。さらに平成17年度から開始された、遺伝子型検討を含めた全国規模の多施設大規模コホート研究(日本多施設共同コーホート研究:J-MICC Study)では、現在、中央事務局長を務めている。
  • 栄養疫学研究
    食事と疾病発生との関係を検討するため、栄養素や食品群の摂取量が推定可能な調査票(食物摂取頻度調査票)を開発し、その妥当性を示した。この調査票を用い、膀胱がん、肺がん、IgA腎症、炎症性腸疾患、花粉症、あるいは骨密度と食事との関連を、横断的研究や症例対照研究により明らかにしてきた。さらに本調査票は、高齢者や歯科医師を対象としたコホート研究でも使用しており、死亡や疾病発生のリスクが最低となる適正な栄養素・食品群摂取量を今後検討していく予定である。
    また、上記JACC studyの食物摂取頻度調査から栄養素などの摂取量を推定し、栄養素・食品群摂取とがん罹患、全死亡との関連を検討している。
  • 腎疾患の疫学研究
    わが国で慢性透析療法を受けている末期腎不全患者は毎年増加し続け、 2004年末には約248,000人(日本透析医学会による)に達している。また軽度から中等度の慢性腎不全患者が、これまでわかっていた以上に多いことが近年報告されつつある。
    そこで、慢性腎不全予防の手がかりを得るため、慢性腎不全患者数の推計、末期腎不全の記述疫学的検討、 gA腎症患者の予後調査などを実施してきた。今後は軽度・中等度の慢性腎不全有病率を把握するとともに、慢性腎不全発生の関連要因を検討していく予定である。