• 名古屋大学排泄情報センター チャンネルまる
  • 第19回日本排尿機能学会

腎移植

腎移植とは

  腎臓の機能が低下し、体内に老廃物や水の蓄積が起こってきた状態が末期腎不全です。この末期腎不全の治療方法として透析療法と腎移植があります。 透析療法は血液透析と腹膜透析にわけられ、どちらの透析療法も、時間的制約や食事、水分摂取の制限がある他、腎臓の本来持つ全ての機能を 補うことができないため様々な問題が起こります。 
これに対し、腎移植は他人(ドナー)の腎臓を手術により自分の体内へ移植するために、本来の腎臓の機能がほぼ回復し、透析療法に比べ患者様の生活の質を向上させると考えられています。
ただし、腎移植を行っても移植腎の機能は必ずしも永久に続くとは限らず、現在では移植腎が実際に働いている期間は最長では30年を超えますが、平均10−15年程度となっています。

腎の提供と移植後の適用について

  腎移植を行うためには腎の提供が必要となります。亡くなられた方から提供される献腎移植と、健常な提供者より片方の腎を提供される生体腎移植があり、日本においては約8割が生体腎移植です。生体腎移植の腎提供者には親、兄弟の肉親が多いですが、近年では夫婦間での腎移植も増えています。現在では、提供者と移植を受ける人が違う血液型であっても特別な処置を行えば安全に移植を行うことが可能です。しかし、移植を受ける患者様の血液の中に腎提供者に対する抗体を持っている場合は移植後に強い拒絶反応を起こすため、一般的にはその提供者からの腎臓は移植できません。
  腎移植の適応は全ての末期腎不全患者様にあります。しかしながら全身麻酔での数時間の手術が必要になりますので、麻酔、手術に耐えうるだけの心臓や肺の機能が必要になります。また移植後は提供腎を排除する免疫反応が体内で起こるため、これに対し免疫機能を下げるための免疫抑制剤が必要となります。免疫抑制剤により感染症の増悪や悪性腫瘍の発生の危険があるため、感染症を有する患者様や、悪性腫瘍を治療中の患者様には移植を行うことができません。


腎移植の成績

  腎移植の成績は免疫抑制剤の進歩により日々良くなっております。しかし残念ながら経過中に腎機能が廃絶してしまい再び腎不全に至ることもあります。日本移植学会がまとめた12,208例の統計では移植後に腎臓が機能している生着率は、生体腎移植において1年で90.2%、5年で75.3%、10年で57.5%、15年で44.4%、献腎移植において1年で78.9%、5年で60.6%、10年で44.5%、15年で33.3%でした。