早産児合併症予測ツール
周産期医療の発展により、妊娠中の母体管理や早産児に対する治療や管理が向上しているとは言え、妊娠32週未満の早産児が年間約1万名(全妊婦の約1%)も産まれております。
さらに、その背景には切迫早産や妊娠高血圧症候群など、日々早産の危険にさらされている妊婦が約2~5倍いることが予想されます。 しかしながら、早産で生まれた児が短期的・長期的にどのような合併症に、どれくらいの確率で罹患するのか、一般産科診療では正確に妊婦さんやご家族に説明できていない現状にあります。
そのため、私たちは新生児臨床研究ネットワーク(NRNJ)のデータベースを用いて、出産前の母体情報のみから出生後の早産児の合併症を予測するツールを作成しました。
妊婦さんやご家族に対して出生前に説明する際の補助として産婦人科医や新生児科医がこのツールを使用していただけたらと思います。なお、本ツールは医療従事者による使用を想定しており、使用前に「使用上の注意」をご参照ください。
予測ツール(エクセル日本語版 version 2023/1/18)のダウンロードはこちら
<予測ツール詳細>
使用データ:新生児臨床研究ネットワーク 2006-2015年
予測モデル作成:多重ロジスティック回帰モデル
原著論文:
Ushida et al. Acta Obstet Gynecol Scand. 2021 Mar3
(https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/aogs.14136)
「Antenatal prediction models for short- and medium-term outcomes in preterm infants」
使用上の注意:
本プログラムはあくまで日本における平均的な新生児合併症率を計算したものであり、個々の症例での新生児予後を予測したものではありません。そのため治療方針の決定に本プログラムを使用しないこと。過去のデータベースに基づいて作成したモデルのため、今後の周産期医療の進歩により合併症のリスクは現時点より改善する可能性があります。また本プログラムは周産期医療に従事している者による使用を想定しております。本プログラムによる結果をどのように解釈し、どのように医療現場で利用するかは、その医療従事者の判断・責任であり、本プログラムの使用により生じたいかなるトラブル・損害等について、一切の責任を負いかねます。上記の内容をすべて同意した上で、本プログラムを使用するものとします。
一般公開の許可:
愛知県保健医療局生活衛生部 医薬安全課の許可あり
連絡先:
名古屋大学 産婦人科 牛田貴文
E-mail: u-taka23@med.nagoya-u.ac.jp