ホーム > 神経内科医を目指す皆さんへ:入局案内

入局案内

はじめに

総回診写真社会の高齢化に伴い、神経変性疾患、認知症患者は年々増加傾向にあります。医療のあり方も、従来の病院中心の医療に加え、介護保険の導入以後、在宅医療や地域医療の重要性が増しています。その中で神経内科医に対する期待と要請はより一層強まっています。また神経内科は我が国の三大死因の1つである脳卒中の急性期治療から回復期リハビリ療養までを担っており、神経内科医に対する需要は非常に高いものがあります。さらに近年、神経科学における基礎研究の発展は目覚ましく、多くの成果が臨床レベルに還元されるようになってきています。

名古屋大学神経内科では、オリジナリティを大切にしつつ、橋渡し研究、コホート研究、コンソーシアム型研究などを基本とする先進的な基礎研究と臨床研究を推進するとともに、関連病院と一体となって高度医療を提供出来る体制を推進してきました。人材育成としては、優れた関連病院の存在、異分野融合型教育の実戦、国際性の重視、若手の交流活性化、個別メンター型教育を併せることで、国際性に溢れ、多様な将来像を描くことが出来る、高度医療人としての神経内科医、すなわち、(1)高度な医療を実戦して地域と社会に貢献する臨床医であるExpert physician 、(2)多面的な臨床解析による病態抑止療法を実現に導く臨床医であるPhysician scientist、(3)治療標的を見つけ病態抑止療法を開発出来る研究医であるMedical scientist養成を目指しています。

これらを実践するために、名古屋大学神経内科では、平成16年度より実施されている卒後研修制度に沿った形で初期研修として一年次研修、二年次研修をローテートすることとなります。また三年次研修以降の後期研修も、豊富な臨床経験を有する神経内科専門医・指導医からの直接的な指導を受けることが可能です。名大病院および関連病院では全国的にも優れた臨床研修プログラムを用意しており、質の高い臨床研修を受けることが可能です。

専門医の取得について

認定内科医取得のためには初期臨床研修(教育病院)の2年間の後、教育病院あるいは教育関連病院での内科研修を1年以上必要とします。神経内科専門医は内科認定医を取得した上で、さらに神経学会認定施設において、初期臨床研修を含む6年以上の臨床研修が必要です。現在、専門医の重要性が強調されており、受験資格を得るには学会指定の教育施設での勤務が義務づけられるようになっていますが、関連病院の多くが教育施設・准教育施設であり、単独施設の研修で専門医の受験が可能です。

神経内科専門医の取得に向けて大学病院と関連病院が相互に協力し、学会や研究会を通じて研鑽を行い、毎年10名を超える多くの神経内科専門医を養成しています。神経内科専門医試験の合格率は90%以上で全国でもトップクラスです。

キャリアパス

名古屋大学神経内科では、様々なキャリアパスを選択することが可能で、それぞれの方の希望に沿ったキャリアパスを一緒に考えていきます。

名古屋大学神経内科では名大病院もしくは関連病院で2年の初期研修を行い、多くの場合同施設で後期研修を行い、その後数年他施設でも経験を積み、卒後6~8年目程度で大学院へ入学するかたちで帰局されることが多くなっています。

基本的なキャリアパス
基本的なキャリアパス

初期研修

初期研修は名大病院もしくは関連病院にて2年間行います。

名大病院およびその関連病院の初期研修の大きな特徴は、2年間で全科ローテート、引き続き内科ローテートを行うことが一般的で、神経内科医のみならず医師として最低限必要な知識や手技などを学ぶことができることです。これによりどのような患者さんに対しても最低限の医療を提供できる能力が習得できるようになります。

内科のみならず外科系、マイナー系の診療科もローテートすることができる貴重な機会であり、今後の神経内科医療のためにも極めて重要な研修期間です。

詳細は、名大病院もしくは関連病院のホームページを参照ください。

後期研修

多くは初期研修を行った病院で、引き続き神経内科医として後期研修を行います。また初期研修を名大病院や関連病院以外で行った先生も、後期研修として広く受け入れています。東海地区で神経内科医として後期研修を行いたい先生は医局までご連絡ください。

名大病院およびその関連病院には、全国でも1、2位を争うほどの多くの神経専門医・指導医が所属しており、その専門医・指導医のもと豊富な臨床経験を積むことが可能です。また、豊富な学会、勉強会、研究会などを通じて、他施設の先輩神経内科医から学ぶこともでき、同期の神経内科医と切磋琢磨できる環境を整えています。神経専門医の合格率は毎年90%以上と非常に高いレベルにあり、当地区における教育レベルは全国トップレベルであると自負しています。

後期研修の目標として下記を挙げています。

  1. 神経学的症候や病態の意味を正しく理解し、適切な神経学的所見をとることができる。
  2. 神経生理、神経放射線、神経超音波、神経病理、神経遺伝学をはじめ、各種神経学的検査結果の意味・解釈や治療の内容を理解出来る。神経伝導速度検査や筋電図脳波、髄液採取などの検査や手技は自ら施行し、適切な判断を下すことができる。
  3. 上級医の指導の下、適切な確定診断を行い、主治医として診療を行うことができる。
  4. 診断・治療方針の決定困難な症例や神経内科救急をはじめ迅速な対応が必要な症例などにおいて、自科の専門医、他科の医師に適切にコンサルトを行い、適切な対応ができる。
  5. コメディカルと協調、協力する重要性を認識し、適切なチーム医療を実践できる。
  6. 患者から学ぶ姿勢を持ち、患者と患者の周囲の者に対するメンタルケアの大切さを知り、実践できる。
  7. 神経学的障害をもった患者の介護・管理上の要点を理解し、在宅医療を含めた社会復帰の計画を立案し、必要な書類を記載できる。
  8. 神経内科救急疾患における診察の仕方、処置の仕方について学び、実践できる。
  9. 医療安全、倫理、個人情報保護の概念、医療経済について必要な知識を有する。
  10. カリキュラムの修得度を定期的に自己評価するとともに、指導医の評価も受けつつ、自己研鑽を積み重ねる。
  11. 自施設における習得が不十分な内容は、神経学会をはじめ関連学会の主催する教育講演、生涯教育講演、ハンズオンセミナーなどに積極的に出席し、学習する。

また例として、名大病院における週間予定は下記のとおりです。

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前
  • 外来
  • 脳波判読
  • 病棟回診
  • 抄読会
  • 病棟回診
  • 外来
  • 超音波検査
  • 自律神経検査
午後
  • 生理検査
  • 病棟回診
  • 総回診
  • 症例検討会
  • 病棟回診
  • 放射線検査
  • 読影会
  • 病棟回診
  • 専門外来
  • 生理検査
  • 病棟回診
  • 新入院症例カンファレンス

後期研修は専門医受験資格を得ることができる卒後6年目までが標準的な研修期間となります。原則、名大病院および関連病院で後期研修を行っていただくには医局への入局が必要となります。

詳細は、名大病院もしくは関連病院のホームページを参照ください。

後期研修以後

原則として大学院生として大学への帰局し学位取得をお勧めしています。学位取得も大きなキャリパスであり、臨床医としてだけでなく、大学や研究機関で集中的に研究を行うことは貴重な経験であると神経内科では考えています。大学院への入学は現在のところ卒後6~8年目が目安となっています。

大学院生入学

初期研修、後期研修で学んだ経験や知識を生かし、大学院生4年間で大学病院ならではの希少疾患の診断、治療を行い、神経専門医としての技量を向上し、その中から自分にあったサブスペシャリティーを見つけ、研究を行います。

後期研修以後

1年生

大学病院ならではの希少疾患を含め、広く神経疾患を1、2名の専門医の指導の下、病棟主治医として担当します。大学病院には神経内科の中でも、さらに特殊なサブスペシャリティーを持った日本でも有数の専門医が多数在籍しており、一般病院では経験することのできない検査やレベルの高い症例検討、治験なども含めた最先端の治療法を学ぶことができます。

標準的な大学院1年生の週間予定は下記のようです。

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前
  • 教授外来
  • 脳波判読
  • 病棟回診
  • 抄読会
  • 病棟回診
  • 病棟回診
  • 超音波検査
  • 自律神経検査
午後
  • 生理検査
  • 病棟回診
  • 総回診
  • 症例検討会
  • 病棟回診
  • 放射線検査
  • 読影会
  • 病棟回診
  • 専門外来
  • 生理検査
  • 病棟回診
  • 新入院症例カンファレンス
2~4年生

大学院1年生の間に自分にあったサブスペシャリティーを見つけ、各研究グループに分かれ、教授およびグループ全体で研究テーマを考え、研究を行います。2~4年生の機関は研究に専念し、卒業と同時に学位を取得することを目指します。研究グループについてはこちらを参照ください。

毎年、6、7名の大学院生を募集しています。入学希望のある先生は所属の神経内科責任者を通じてご連絡ください。関連病院以外の先生で名大大学院へ入学希望の方は直接医局まで連絡ください。

大学院卒業後の進路として、

  1. 大学で診療・研究を継続する
  2. 海外への留学
  3. 関連病院への赴任
  4. その他

を選択します。

臨床医コース

原則大学院生として帰局をお勧めしていますが、個別の事情により、関連病院での異動を通じて臨床を継続します。

女性医師の方へ

現在、女性医師の割合は増加の一途をたどっていますが、神経内科は女性医師に人気の高い診療科の一つです。

神経内科は、脳梗塞超急性期などの緊急性の高い診療から、脳梗塞慢性期のリハビリ診療など慢性期の対応も行う、診療の幅の広い診療科です。その他、研究者を選択することも可能であり、ライフスタイルに合わせた職場の選択を相談することが可能です。

また、神経内科は特殊な技術を必要とする診療が少なく、どちらかというと経験や知識を必要とする診療科であるため、妊娠・出産などによりブランクができても、復帰しやすく、活躍しやすい診療科でもあります。

ご希望があれば、大学病院の大学院生として所属している女性医師と相談できる機会を設けますので連絡ください。

一人でも多くの女性医師が神経内科で診療を行ってくれることを期待しています。

入局に関して

名古屋大学神経内科では、神経内科に興味を持ち、ともに神経疾患に立ち向かってくれる若手医師の方を広く募集しています。

総回診写真臨床研修病院で、「神経内科医になりたい」と思った時点で、当神経内科へ入局することをおすすめします。皆さんが臨床研修への研鑽を積みながらも、一方で神経内科に入局していただくことによって、神経内科専門医取得に向けて医局としてもサポートしたいと思っています。たとえ神経内科への入局を決めたとしても、引き続き研修病院で勤務を続けることに何らの支障もきたしません。また、後期臨床研修を別の病院で行いたい場合は、名大神経内科および関連病院間の人事交流を利用して異動することも可能です。またトラブルや不慮の事故などの際には医局全体でサポートすることが可能となります。

入局することで、先生方の神経内科医へのスタートを教室として全面的にバックアップすることができます。入局を希望される場合には、研修病院の神経内科責任者を通じて連絡ください。関連病院以外からの入局希望の先生は直接医局まで連絡ください。

原則として初期研修後に神経内科専門医となるための後期研修を続けるためには入局が必要となります。できる限り3年目の8月までに入局をお願いしています。

研修医の先生の声

研修医 川口高朗先生

私は初期研修中一か月間、神経内科で研修させていただきました。研修中は基本的に病棟当番の先生と一緒に行動し、入院患者さんを診ながら疾患の特徴や診察の仕方、腰椎穿刺などの手技について、丁寧な指導を受けられる体制が整っています。さらに、内科外来や救急外来からの緊急コールの対応や医局長による救急疾患の講義があり、脳梗塞などの神経内科的緊急疾患への対応の仕方も勉強することができます。

名大病院の神経内科の特徴は、神経変性疾患の患者さんが多いことです。筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症など、多種多様の症例を経験することができます。神経変性疾患の多くは治療法が確立していないので、今後の研究で治療法の開発が望まれている分野です。名大病院は、この分野で日本をリードする大学ですので、最新の研究動向や研究設備についても詳しく教わることができます。

熱心で優しく指導してくれる先生方も多く、神経内科の醍醐味を存分に味わえる研修を受けることができ、大変感謝しています。

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