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神経内科へのいざない

外来内部写真 医学生や研修医の先生方は神経内科が「難しい」、「取っ付きにくい」、「治らない」などのイメージをお持ちでしょうか。神経内科が評される時に、よく聞く言葉ですが、私たち神経内科医からすると、これらはいずれも「No!!」と言いたい言葉です。

まず、「難しい」

神経内科の診療は神経診察と各種検査からなります。神経診察からどこに病気があるのか(where)を見つけ、検査から病気は何か(what)を診断します。これらの過程は、どのような診療科でも行っていることですが、特に神経内科では前者の神経診察を大事にしています。

神経診察は、学生や研修医時代には難解な印象を持たれるかもしれませんが、極めて系統付けられており一度覚えてしまえばそれほど難解なものではありません。例えば、外科で様々な手術の手順や手技を覚える必要があると思いますが、それと大きな違いはありません。神経診察が行えるようになれば、最初は異常所見からその意義を理解できなくても、上級医と相談しながらその意義を覚えていき、いずれはご自身で理解できるようになるはずです。

神経診察から得られた病変部位を中心に、各種検査を行い、病名を特定するわけですが、こちらもそれほど難解なものではありません。例えば、内科や外科の先生がCTやMRI、超音波検査などから疾患を特定することと大きな違いはありません。

当然、珍しい疾患で難しい疾患が潜んでいることはありますが、このように神経内科が特別「難しい」科であるとは考えていません。

次に「取っ付きにくい」

神経内科は上記の「難しい」イメージがあるので「取っ付きにくい」といったイメージがあるかもしれませんが、実際、医師になってみると神経疾患ほど遭遇する機会の高いものはありません。

医師になって救急外来を行っていると、必ずと言っていいほど頭痛やめまい、意識消失などの患者さんがおみえになりませんか。これらはいずれも神経内科を初診とする疾患です。さらに、神経内科では社会的に関心が高まっている脳梗塞、認知症、てんかんなどの診療にも中心的な役割を果たしています。これらのいわゆるcommon diseaseは、認知症460万人、脳卒中200万人、てんかん100万人、頭痛は800万人に上ります。今後の高齢化社会に向け、認知症などはさらに増加し、現在の糖尿病に匹敵するほどの患者数になる可能性があり、神経内科医の診るべき患者さんは増加の一途をたどっています。今後の神経内科医に課せられた社会的役割は極めて重要となっています。

このように神経内科は「取っ付きにくい」科であるとは考えていません。

最後に「治らない」

神経内科の疾患は「治らない」というイメージは根強いものがありますが、これこそ最も我々が否定したいものです。

現在でも、多数の患者さんが存在する頭痛やめまいなどは完治することができますし、多発性硬化症や重症筋無力症といった疾患は治療により劇的に症状が改善し、再発予防などを行うことで一般の人と変わりない生活を送ることができます。さらにパーキンソン病は神経変性疾患ですが、多数の内服や手術などを組み合わせ、かなりの疾患コントロールが可能となっています。脳梗塞など後遺症を残す疾患もありますが、その後の患者さんの生活を、医療を通じて一緒に支えていくことになり、医師としての本分と思えるような医療を提供することになります。

確かに神経難病と言われる神経変性疾患には根本的治療がありませんが、現在の研究の進歩から根本的治療に手が届きそうなところまでやってきています。これらの疾患の治療法を開発していく研究を通して、患者さんに貢献することができるのも神経内科の魅力の一つです。

このように神経内科は「治らない」科であるとは考えていません。

患者さんとの触れ合いを大切にしたい、難病の治療を少しでも進めてみたい、などを考える先生は神経内科医として働いてみませんか。皆様と一緒に診療、研究を行えることを楽しみにしています。

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