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御挨拶

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勝野教授写真神経内科は、脳・脊髄・末梢神経・筋などの神経系(システム)の病気を扱っています。神経系の病気には変性疾患、感染症、自己免疫疾患、血管障害、腫瘍、機能性疾患(てんかんや頭痛など)が含まれており、非常に多彩な病気に対応しています。神経内科を取り巻く環境は近年極めて大きく変化してきています。第一に、これまで病気のメカニズムが不明であった多くの神経難病について、分子レベルでの病態解明が進み、少なくとも一部は分子を標的とした治療法が開発されつつあることです。とくにアルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患については、神経細胞の変性を止める治療法(disease-modifying therapy:疾患修飾療法)が開発され、患者さんへの応用研究が進められています。また、iPS細胞や幹細胞などの再生医療技術や、各種の遺伝子治療、人間工学を応用したブレインマシンインターフェイス(BMI)など、新しい技術の開発が進み、病気の治療やリハビリに応用され始めており、治療法の選択肢が大きく広がりつつあります。一方で世界的な高齢化を背景に、脳血管障害や認知症を初めとする多くの神経疾患が増加しており、その傾向は少なくとも今後20~30年以上にわたって続くものと推測されています。こうしたことから、神経内科は社会的にもニーズが高まっていると同時に、新たな治療法の開発・応用に対する期待がこれまで以上に膨らんでいる状況です。

 名古屋大学神経内科は30年以上の歴史を持つ教室であり、中部・東海地区の神経内科の教育・研究・診療の中心的存在を担ってきました。教育については、学部(卒前)ではベーシックな内容から最新の動向も含めて理解して頂けるようなカリキュラムを組んでいます。とくに、臨床実習では患者さんに接しながら診察や検査、治療が学べるよう、学生の主体性を尊重しつつも、的確なフィードバックを提供して、神経内科の魅力を感じていただけるよう努めています。卒後教育においては、専門医として必要な知識や技能を習得して頂いた上で、血管内治療やリハビリ、遺伝診療など様々な専門領域を身につけていただけるような教育を実践するとともに、学内外の連携を進めることで、国際性豊かな研究者の育成を目指しています。

 研究については、神経変性疾患を中心に、末梢神経疾患、筋疾患など幅広い疾患を対象として、細胞・動物モデルを用いた基礎研究と、患者さんから得られるデータを用いた臨床研究、さらには基礎研究で得られた成果を臨床試験で検証するトランスレーショナルリサーチなどを進めています。それぞれの研究分野において、世界をリードすることを目指し、国内外の研究拠点とも積極的に連携しています。また、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)とも人材交流・情報交換を行っており、薬事行政やレギュラトリーサイエンスにも関与しています。

 診療については、様々な疾患に対し、最先端の画像診断を含む多角的な手法で診断を進めると同時に、エビデンスに基づいた治療の実践を行っています。また、患者さんや家族とのコミュニケーション、スタッフ間のコミュニケーションを密にすることで、医療の質の向上、維持にも努めています。

  神経内科は人々が人らしく生きていくためになくてはならない重要分野であり、今後ますます発展していく医学領域です。若い先生方と一緒にこの分野の進歩に貢献していきたいと思っています。

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