▽研究テーマ

I) ヒト肺癌の分子病態の解明を目指して:

iii) 浸潤・転移の分子機構

がんは浸潤と転移によって人を死に至らしめます。当研究室で樹立された極めて高い血行性及びリンパ行性転移能を持つヒト肺癌細胞亜株(LNM35株)を用いた転移研究モデル系の確立に成功し、その網羅的発現解析データを基盤に癌細胞の浸潤・転移の分子機構に関する様々な研究を展開して来ました。CIMと名付けた分子は、ERに局在し微小環境の低酸素・低栄養などが惹起するERストレス応答に重要な働きを担っており、極めて有望な分子標的です。CIM分子の細胞内シグナル伝達の解明を目指し、我々が得意とするプロテオミクス解析やバイオインフォマティクス解析技術を駆使した、CIM結合分子の網羅的探索・同定や下流遺伝子群・パスウェイの同定による機能解析を進めています。同様に、私たちが癌転移関連分子として単離・同定したCLCP1遺伝子の機能についても、愛知県がんセンターの長田博士らとともに詳細な検討を進めています。
 また、分子標的薬の創薬開発を進める上で有利なキナーゼや細胞膜受容体分子に焦点を絞った最先端のプロテオミクス解析をLNM35株に適用し、さらなる分子標的の探索・同定も進めつつあります。