■顎顔面外科学・咀嚼障害制御学(旧口腔外科学講座)の沿革
名古屋大学大学院医学系研究科、頭頸部・感覚器外科学講座、顎顔面外科学・咀嚼障害制御学の前身は、大正6年に愛知県立医学専門学校に設置された歯科部に始まります。その後、同校は愛知医科大学、官立名古屋医科大学を経て名古屋帝国大学医学部となり、さらに終戦後の昭和22年には名古屋大学医学部と改称されました。これらの変遷の中にあっても歯科としての臨床活動は連綿と引き継がれ、今日の教室の基盤が作られたのであります。そして昭和42年3月には名古屋大学医学部口腔外科学講座が開講され、岡達が初代教授として就任し、現在の口腔外科学講座の礎が築かれました。岡教授のもと、顎関節症に対して精力的な研究がなされ、顎関節研究会(現在の日本顎関節学会)を発足させることになりました。今では、日常の臨床において用いられている顎関節症の症型分類がこの研究会から生まれたことからも、当教室の顎関節症治療の先駆的役割が理解できると思われます。
昭和60年、岡の後任として金田敏郎が教授に昇格しました。助教授の頃より金田は血液疾患患者における口腔出血管理に取り組み、この分野において数々の業績を残してきました。そのため顎関節とともに、口腔出血管理に対する研究は教室の重要な研究テーマの一つとなりました。この頃から、より高度な研究を進めるために口腔腫瘍の専門グループや全国的にも注目された培養粘膜の作成を成し遂げた形成グループなどが結成されました。昭和62年に上田講師がスウェーデンのイエテボリ大学に留学し、オッセオインテグレーテッドインプラントの研修を受けて帰国しました。これが当教室のインプラント研究の発端となり、平成3年の高度先端医療承認の原動力となりました。
平成6年には助教授の上田が第3代の教授に就任し、四半世紀以上に及ぶ伝統を踏まえつつ、研究活動はさらに加速しつつあります。平成8年度には教室として初めての国際学会第3回ティッシュインテグレイション・コングレスを主催しました。平成9年度には日本顎顔面機能再建学会、平成10年度は日本組織工学会を主催し、仮骨延長と組織工学の分野において先駆的役割を果たしつつあります。また、教室ではいちはやく培養口腔粘膜移植、培養皮膚移植、培養骨再生など再生医療研究に着手、平成14年には国際組織工学会を主催し、平成15年には神戸先端医療振興財団 先端医療センター歯科口腔外科、東京大学医科学研究所 幹細胞組織医工学 歯胚再生学 寄附研究部門が開設され、再生医療分野の拠点として活動しております。また、平成16年11月には名古屋大学医学部細胞治療学寄附講座の教授に藤内 祝が就任し、口腔癌に対する活性化リンパ球療法をすすめています。
平成11年4月より、大学院の重点化に伴い、当講座も新たに名古屋大学大学院医学系研究科、頭頸部・感覚器外科学講座、顎顔面外科学・咀嚼障害制御学として生まれ変わることになりました。これは、研究をより重視した大学の再編であるとともに、講座としては歯科的な要素を強く意識した部門(咀嚼障害制御学)を医学部の中に新設する画期的な試みといえます。
歴代教授 岡 達 昭和42年3月16日〜昭和60年3月31日
金田敏郎 昭和60年6月 6日〜平成 6年3月31日
上田 実 平成 6年 6月16日〜