以下のような疾患を対象とします。
熱傷 最初に戻る
全身の新鮮熱傷・何年か前のやけど後のひきつれ(瘢痕拘縮)・ケロイドなど
受傷してまもない時期は軟膏療法が中心となります
軟膏療法で治らないような深い熱傷に対しては植皮術といって皮膚移植術を行います。(通常は自分の皮膚を用いますが受傷面積が広い場合などは両親など他人の皮膚を用いる場合もあります。ただしこの場合は永久生着はしないことが多く、一時的な被覆剤として用います)治癒した後にひきつれ(瘢痕拘縮)が生じた場合は新たに厚い皮膚に置き換える手術(再植皮)や場合によっては皮弁という皮膚のみならず脂肪などを含めた厚みのある組織で置き換える手術が必要になることもあります。ケロイドに対しては痒み・痛みを抑える飲み薬を用いたり、軟膏・注射などをおこなってそれでも治りにくい場合はもういちど皮膚を置き換えるなどの手術が必要になることもあります。
顔面外傷 最初に戻る
顔の傷(瘢痕を含む)・顔の骨の骨折・顔面神経麻痺など
よく形成外科の外来に診察に来院された患者さんから「この顔の傷を消したいのですが」とか「この怪我は跡が残りますか」などという質問を受けますが、形成外科で治療を受けても残念ながらいわゆる傷跡は一生消えることはありません。ただし、傷跡のなかには非常に目立つものとほとんど他人から見てもわからないような目立ちにくいものがあり、形成外科では前者のものを後者に出来るだけ近づける手術方法を工夫して行っています。エアーバックを備えた車が増えるにつれて今後少なくなっていく可能性はありますが、喧嘩でなぐられたり転んだりなど顔面の損傷・骨折は依然多いようです。
骨折の手術も傷跡をさらに増やさないように鼻の中、口の中や髪の毛の生えている部分などに切開を加えることによって頬や鼻などの骨の整復を行っています。
顔面神経麻痺は外傷によりおこることもあれば原因不明で突然おこることもあります。明らかに神経が切れていれば神経縫合や神経移植などを行いますがはっきりしない場合はひとまずはリハビリなどにて様子を見ていくことが多いようです。回復が期待できる場合はそれでよいのですが全く変化が見られない場合、眼が閉じにくい、物を食べると物が口からこぼれる、笑うと顔が左右非対称でゆがんで見えるなどの症状がある場合は治療の対象となります。治療の方法はいくつかあり、筋肉や皮膚を糸などでつり上げる見た目の手術から、筋肉と神経を(体の他の部分・大腿などより)移植してやることにより動きを再建する方法まで患者さんの年齢、症状、全身状態(長い手術に耐えられるかどうか)などにより取捨選択されます。
切断 最初に戻る
指・手足・耳介(耳たぶ)・鼻・陰部など
体から突出した部分は外傷により部分的にあるいは完全に切断されてしまうことがあります。体の組織は爪と髪の毛をのぞく全ての部分は血液の循環により生きているため、血流が遮断されると(組織により多少差がありますが)遅かれ早かれその部分は壊死して(死んで)しまいます。死んでしまった組織を蘇らすことは現代医学をもってしても不可能であるためなんとか死んでしまう前に血流を再開する必要があります。
切断された組織の量が小さい場合(例えば指先5mm程度あるいは鼻の先5mm程度)であればそのまま元の場所へ戻して縫合するのみで生着することもあります(これは切断された周りの組織から伸びてくる血管により栄養されるためです)。しかし、指一本くらいの組織の量では切断された血管を吻合(つなぎ直すこと)しなければなりません。現在は顕微鏡による微細な手術が可能となっており、形成外科に於いても顕微鏡を用いることにより血管の直径が1mm以下でも吻合ができるようになってきたためこれらの切断された組織の再接着に応用されています。(ただし切断された組織が挫滅を受けている場合は成績は悪いのが実情です)
感染+褥瘡 最初に戻る
褥瘡(床ずれ)・糖尿病性壊疽(えそ)・難治性潰瘍(かいよう)
大きな外力による外傷ではありませんが寝たきりのお年寄り、脊髄損傷などによる下半身麻痺の方などには褥瘡いわゆる床ずれは必発で大きな問題です。動けない、栄養状態が悪い(脊髄損傷は別)などの条件が症状をさらに悪化させます。形成外科的には手術により壊死組織を取り除き感染に対するケアが必要で、さらに皮膚の欠損に対しては皮膚移植あるいは皮弁(筋肉・脂肪など厚みのある組織)による被覆を行うのですが再発したり、術後に傷が治りにくかったりということも多く、また看護婦さんによる除圧のための体位変換の労力も必要で、今後介護体制の改善や介護機器の開発の待たれる分野ともいえます。
糖尿病の方は足先・下腿などしばしば直りにくい潰瘍が発生します。それは足の感覚がなくなったり、末梢の血行が悪くなったり、また副腎皮質ホルモンを服用されている方などは皮膚が非常に薄くなっているかたがいらっしゃいます。ある一定の血流が行かなくなると足先・下腿などでは部分的に壊死に陥ってくる場合があり、またそういった部位や皮膚が薄くなった部位などは少し机の角などでぶつけてできた小さな傷がなかなか治らずに感染を伴うとそこから治療抵抗性の潰瘍となることもあります。そのような傷に対してできるだけ切断ではなく、保存的に残せる部分は残すような治療を行っています(ただし切断を余儀なくされることもあります。)