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ご挨拶
元老年科教授・名古屋大学医学部附属病院院長 井口 昭久
65歳以上の人口が国民の7%を超える社会を高齢化社会といい、14%を超えると高齢社会とよびます。超高齢社会とは25%を超える社会をいうのですが、日本は現在高齢社会にあり、着々と超高齢社会に向かっています。人類はいまだそのような社会を経験したことがありませんが、日本は世界で最初にそのような社会を迎えようとしております。このような中で今日老いに寄せられれている関心の盛り上がりは今までになかったものであらゆる分野に及んでいます。社会科学、人文科学、自然科学など各学問分野はこれまでなおざりにされてきた「老い」というテーマの中に、ひとの一生にかかわる本質的な要素をみつけだそうとしています。
医学が特徴的な例でありますが、医学は何千年も昔から老化の原因を探り、老化を遅らせることに力を注いできました。しかしこの自然な運命に対して無力なまま、老人の典型的な病理を列挙して、老いを不治な病いの中に分類してことたれりとしてきました。
老化が身体が衰弱していく以上の何ものでもない不可避の現象であり、まじめに取り組む価値もないと思われていた時代が長く続いてきました。しかし今ではおおくの実験データや老化理論により老化プロセスは遺伝因子、あるいは環境因子の制御によって操作可能であると考えられるようになってきています。しかし一方では多くの高齢者は障害を抱えたまま悲惨な日常を送っているのも現実であります。
老化は非常に広範な機能に影響を及ぼす複雑な過程であり、老化のメカニズムについてはいまだ判明してはおりません。しかし医療は目覚しい進歩をとげており老年医療の進歩もここ数年目をみはるものがあります。高齢者疾患には高齢者に特有な症候があり、その診断、治療には専門性が必要であるという認識が定着してきました。老年医学は高齢者の疾患にとって非常に有用な手段を提供しています。
老年医療に関わる医師は老年者疾患の診断と治療に精通していなければなりません。そして優れた決断力が要求されます。チーム医療の統率力がいります。そのような医師に育っていただくのが私の希望であります。
また本教室では老化のサイエンスから医療の最先端までを学ぶ機会を提供できるようにしています。また介護を含んだ高齢者の医療に関わる様々な問題を研究しております。老年科に関わる研究には制限がありません。その人個人の希望を最優先にして研究のテーマを決めております。また医師のみならず多くの分野の方々に参加していただき今後の日本の進むべき方向を探っていくような教室にするのが私の願いです。
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