小脳の形成過程に関する新知見をまとめた論文の紹介.
Miyata, T., Ono Y, Okamoto M, Masaoka M, Sakakibara A, Kawaguchi A, Hashimoto M, Ogawa M. Migration, early axonogenesis, and Reelin-dependent layer-forming behavior of early/posterior-born Purkinje cells in the developing mouse lateral cerebellum. Neural Dev. 5, 23 (2010)
小脳の形成過程に関する新知見をまとめた論文が出版されました.
概要:
<背景>
小脳は,体のバランスや運動の調節にとって重要な働きをします.
「プルキンエ細胞」は,小脳のなかでそうした神経機能を担う回路の中心的な
ニューロン(神経細胞)として重要です.プルキンエ細胞は小脳表面近くにき
れいに並ぶことが知られており,この「並び」がうまくいかないと,小脳全体
の形成に異常が生じ,回路の配線が乱れるために,神経機能も障害されます
(例えば歩く時にふらつくなどの問題が起こります).プルキンエ細胞の「並
び」のために「リーリン」というタンパク質が必要であることが10年以上前か
ら分かっていました(まずマウスでそのことが分かり,次いで,ヒトにとって
もリーリンが重要であることが明らかになりました-----先天性疾患のなかにリ
ーリン欠損の例があることが分かったのです).しかし,リーリンが具体的に
どういうことをプルキンエ細胞にさせているのか,謎のままでした.
<成果>
今回,組織培養などいろいろな方法を用いて,これまで知られていなかったマ
ウスのプルキンエ細胞の挙動を観察しました.実は,幼若なプルキンエ細胞が
どういう形をしているかも不明だったのですが,まず,それを明らかにし,次
いで,リーリンの存在する場所に向けて並ぶ様子をつぶさに観察することに成
功しました.
<将来的な期待>
小脳の神経機能の原理,先天性疾患の病因の理
解に役立つとともに,幹細胞や移植技術を用いた再生医療の基盤としても重要
な意味を持つと考えられます.
インターネットアクセス:
PubMed (abstract,どなたでも自由に閲覧可能)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20809939
掲載先:Neural Development 誌(どなたでも無料でダウンロード可能)
http://www.neuraldevelopment.com/content/5/1/23
“highly accessed” paperに指定されました.
新聞掲載:
本成果について,新聞に紹介記事が掲載されました(中日新聞,10月4日)
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